自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その183)

2012-11-18 | ジャコウアゲハ

『ジャコウアゲハ観察記(その178)』(11月10日記事)で触れた個体について報告しましょう。

11月14日(水)正午。観察に出かけました。「もしかすると……」と期待を抱いて行ったのですが,まだ蛹化していませんでした。自然界で,今の気温で無事にいのち長らえようとするのはたいへんなことに思われます。

11月15日(木)午前10時。棲息地はカラスガイの放流排水路に近いので,放流するついでに立ち寄りました。やっぱり前蛹のままです。頭のあたりを指でほんのすこしだけ触れてみました。大丈夫,動きました。しかし,臭角は出ませんでした。

 

11月16日(金)。勤務のため観察に行けず。

11月17日(土)午前7時。雨模様。昨日観察できなかったので,今朝見に行きました。やっぱり前蛹のままです(矢印部分)。今日も指を触れてみました。ゆっくり動きました。まだ大丈夫のようです。

11月18日(日)午前8時30分。我が家の前蛹が蛹化したので,「もしかすると,これも蛹になっているかもしれない」と思って確かめに行きました。すると,どうでしょう。そのとおり,オレンジ色の蛹に姿が変わっていたのです。こちらも無事に! 

変化が重なった理由を考えると,けっして偶然ではないように思えます。家の個体は,もしかすると同時期に産み付けられた卵から孵化した幼虫であって,それをここから持ち帰ったものではないでしょうか。 そう考えると,成長加減が自然環境から同じように影響を受けてこの日を迎えたことになります。正直な結果が出たわけです。

成長には個体差が出てくるのがふつうなのですが,今回はふしぎにも似通った結果になりました。

ともかく,寒さを克服して蛹になれました。来春の羽化をたのしみに待ちましょう。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その182)~植木鉢作戦Ⅲ⑮~

2012-11-18 | ジャコウアゲハ

11月18日(日)午前7時。見ると,蛹のオレンジ色が目に入りました。「ヤッター!」。無事に蛹になれたのです。いのちは懸命に脈打っていたのです。ヤキモキしていましたが,これでヤレヤレです。

観察しながら写真を撮りました。どうやら蛹化後2,3時間程度は経っていそうです。ということは,帯糸を紡ぎ出してから,たぶん9日と9時間ほど経過したのではないでしょうか。寒さが影響して,こんなに時間が過ぎたのです。

からだの表面には雨粒が溜まっています。夜半から明け方にかけて小雨が降ったのでしょう。脱皮してからも雨がかかったことがわかります。脱皮直後の軟らかい体表面に冷たい雨。想像しただけで辛い感じがします。

 

下には,脱いだ皮が落ちていました。

 

拡大して写すと……。きれいに脱いでいることがうかがえます。

このまま越冬して,来春4月終わりに羽化すると思われます。雨や雪に見舞われながら,厳しい冬を乗り越えていくのです。この個体を入れて,我が家の庭には7個体の蛹が確認できています。冬の観察もまたたのしみの一つです。

なお今日,これまでの最低気温は8.6℃(午前7時24分)です。


科学教室,子らよおいで!

2012-11-18 | 日記

“?(ふしぎ)を考えると,科学の目が育つ”“?(なぜ)と問えば,自然と友だちになれる”。

これが児童館事業『わくわく科学教室』に込める,わたしの思いです。教室で何かを教えようとするわけではありません。ただ,こう思うのです。事象をとおして「おやっ?」と思い,それを口にする機会の少ない子どもは,科学のたのしさに触れることができないのではないか,と。これをなんとかしなくちゃ,とよく思います。それでこちらが教えなくても,子どもが自分で着眼し,着想できる道筋を,わたしなりに付けておきたい気持ちを強く持っています。

昨日11月17日(土)は,この教室で浮沈子を使って水族館を作りました。参加者小学校2,3年の子5人,おとな2人。

ペットボトルにタレ瓶を入れる,当たり前の理科工作です。原理はたいへん簡単。よくわかるように説明しながら,「作りたい」と思う気持ちを引き出し,そして「なぜ?」と問えるように仕組んでいきました。

手順は以下のとおり。

  1. 完成品に紐を付けて,マジック風の演出をして提示する。 
  2. タレ瓶に水をいっぱいに入れてみる。
  3. 浮沈子を2個作る。
  4. 浮沈子にマジックで着色する。
  5. 浮沈子に入れる水の量を調節する。
  6. 水族館を完成させて遊ぶ。
  7. 浮沈子を観察し,浮き沈みのしくみを考えるおもしろさを感じる。
  8. 1000mlのペットボトルを2本つないで,水と空気の入れ替わりを活動をとおして実感する。

子もおとなも熱中しました。見る場面では,事象の本質をとらえた見事なことばが出てきました。「空気と水が戦っているんやな」「ボトルを押さえたら,魚の中に空気が入っていくのがわかる」……。

1時間半後には,きれいなきれいな,世界で一つだけの自分の宝が完成! 持ち帰って,家族の前でマジックを演じ,きっと話に花が咲くことでしょう。

こんなふうに,たのしい教室づくりに努めています。「たくさんの子に来てほしいな」。