虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

恥の上ぬり 記者有論

2012-02-15 | 新聞・テレビから
2日前に朝日の橋下インタビュー記事は無内容で、もう1度出直せ、と書いたが、今朝の朝日の「記者有論」というコラムには、あのインタビューをした政治部次長鮫島浩が「橋下徹さま、ぜひ第2ラウンンドを」という見出しで、文を書いている(言い訳か?)。

鮫島記者は、東京本社の政治部次長だが、論戦力のある橋下氏には「とても一人では太刀打ちできまい」と思って、オピニオンの編集委員をひきつれ二人で質問した、とある。他に政治部の同僚達も同席した、とある。

「不毛な論争にはしたくない」。そう打ち合わせて市役所にのぞんだ、と書く。橋下氏もまた、「不毛な論争は避けたにちがいない」とある。その結果が、あの無内容な記事。しかし、市長就任後、新聞では初めての単独インタビューだ、とまるで手柄顔。

だれが記者に論争をしてほしい、などと思っているだろうか。読者は、ただ、記者が、取材相手から、どれだけその本音を、隠された必要な情報を、引き出すか、それを期待している。そのためには、記者は取材相手が答えざるを得ないような周到な事前調査と、鋭い質問力、記者の力量が試されるのだ。

このインタビューの翌日に、維新の会の「船中八策」の骨子が発表された。あのインタビューでは、「船中八策」の具体的なことは何一つ聞き出せていない。記者として恥ずかしくないのだろうか。

おそらくこの鮫島浩は、何の用意もなく、ただ「政治部次長」という肩書きだけで、橋下氏にのぞんだにちがいない。まったく脳天気だ。

たしか、あの時のインタビューで「そのエネルギーはどこから?」と質問し、橋下氏は「朝日新聞があるからですよ」と答えている。つまり、朝日が批判するから、負けるか、と思って、エネルギーを出す、という意味だ。朝日は、橋下氏については何の批判もしていないので、おそらく返答に困ったはず。続けて、「なぜ、橋下氏はメディアから厳しく批判されるのですか?」と質問していた(馬鹿な質問だ)。橋下氏は、「メディアは権力を批判するのが仕事です。メデイアが権力に同調したら、存在意義はないでしょう」とまるで小学生に教えるように言われていた。

さて、この政治部長鮫島浩は、「橋下徹・大阪市長はいまや日本政界の主役である」とこのコラムを書き始め、初めて会った印象を「意外にも小さかった」と書く。「威圧感がなかった」ということらしい。「あえて自分を小さく見せるのは本当の自信がなければできない」と橋下氏を持ち上げる。
鮫島氏は、ただただ橋下氏が首相への意欲があるかどうかを知りたかったようで、「橋下氏は首相を狙うのか、1時間半で確信するに到らなかった。橋下さん、第2ラウンドはいかがですか?」が結びだ。

これが毎日購読している朝日新聞の政治部次長の力量。無惨、というに尽きるではないか。