虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ゲルツェン  

2005-04-16 | 読書
ゲルツェンはロシアの「虎尾の会」(幕末の清河八郎が作った会なんだけど)の創立者といってもいい人かも。

この人の「過去と思索」という自伝が世界文学大系(筑摩書房)の83巻、84巻にあり、今日、図書館から借りてきました。すっごい分量。トルストイの「戦争と平和」くらいの長さ。あきっぽいので、とても読めないと思う。図書館にある、ということがわかっただけでよしとしよう。

ここに、デカプリストの乱からパリコミューンまでの時代のロシアやヨーロッパの時勢、思潮、人々の様子がつづられていて、これは、この時代の貴重なドキュメントです。ゲルツェンは小説も書く文学者だから、ざっと見た感じ、文章も読みやすそうです。清河八郎のように交際範囲の広いゲルチェンは、バクーニンやトルストイはもちろん、ガリバルヂ、ロバート・オーエン、ルイ・ブラン、マルクスなど当時のヨーロッパの最高の知性との接触もあります。少年の時に、親友と丘ににのぼって、デカプリストの遺志を継ぐことを誓い、大学に入って、「虎尾の会」〔笑)を結成して、同志をふやそうとしたことや、当時の貴族の生活、農奴の様子、なんでも書いてあります。

生涯をロシア農民の解放のために捧げたゲルツェンですが、生意気な若い世代からは、「あなたたちは、飢えを知らない。莫大な財産があるのに、解放運動をしている。それは、必要からではなくて、道楽だ」などといやみをいわれこともあったようで、何よりも、革命家個人の心情、苦悩も知ることができます。

16年にわたって断続的に書かれたものであり、回想、手紙、日記、エピソード、時代の動き、いろいろなジャンルをぶちこんだ独創的な文学で、トルストイはゲルツェンをロシア五大作家の一人にあげているそうです。

この年になるまで、こんな作品があることを知りませんでした。出版年を見ると、昭和39年とある。当時の出版界は、まだ隆盛していたのですね。

今の出版屋さん。「右能を鍛える漢字ドリル」だと? 斬る!(^^)


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