虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

復活せよ 河出のグリーン版世界文学

2009-11-20 | 読書
古本屋で河出のグリーン版世界文学全集の「静かなドン」を見つけた。

わたしが持っているのよりも、函も中身もきれいだ。このシリーズの本は、中央公論社のチェーホフ全集とともに、好きな本の装幀だ。片手で持てる手頃な大きさ。シンプルで固い函、ビニールカバーがついた緑の表紙(函も緑)。実にセンスがいいではないか。懐かしくてまた買ってしまった。昭和30年代のシンボルだ(以前にも書いたっけ?)。

このシリーズ、昔は本屋にはいつもずらりと並べられていた。本棚の前にたたづんで、どれを読もうかと迷ったもんだ。1970年代にもまだ平積みにされていたこともある。「静かなドン」の奥付けを見ると、昭和35年初版発行、昭和46年22版と書いてある。10年以上も本屋の店頭に並べられていたのだ。今、そんな本があるだろうか?

今、世界文学の古典を見つけようとすれば、文庫のコーナーのほんの狭いスペースにしかない。それもドストエフスキーやトルストイならあるけど、有名作家の一部だけ。見つからないものも多い。たとえば、この河出の世界文学にもあるが、ロマン・ロラン、ショーロホフ、カロッサ、ゴーリキ、ムシル、エレンブルク、バルザック、サルトル、メイラー、リルケなどないだろう。ショーロホフの「静かなドン」やロマン・ロランの「魅せられたる魂」などは絶版状態だぜ。

この河出の世界文学全集は、今、復刊して本屋の棚に並べてもきっと売れるはず。


文庫、新書ばやりで、編集者の求めに応じて2,3時間で書き上げられたようなゴミばかり本屋に並べていては、だれも本屋に足を運ばないのは当然だ。

固い函入りというのもなかなかいい。なんといっても、それぞれの世界文学は人生が、人の情熱、悲しみ、喜びがいっぱいつまっている。函の中に入れなくては、あの作品世界はとてもおさまり切らないと思うのだ。

固い函の背をなぜ、ちらっとページを開いて、その作品の世界、人生の匂いをかぎ、では、今度ね、いつか読むからね、と函にしまっておける。

「静かなドン」、今度こそ、函から出してその大河のような物語の流れに飛び込みたいと思っているけど、いつも沈没しています(笑)。本の背をなぜて想像をふくらませるだけでもいいか。


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