虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

「はてなし山脈」

2008-12-04 | 日記
友人が本を出版し送ってくれたので、紹介する。
編集工房ノア出版、竹中正著「はてなし山脈」。
主に紀州熊野を舞台にした短編小説集だ。
自費出版ではない。関西文学新人賞を受けた作品もあり、一定の評価は得ている作品ばかり(とは、著者の弁)。編集工房ノアとは、関西では知る人は知る良い出版社だ。

著者の竹中氏は、わたしが大阪に働きに出てから、最初に知り合った人物。
学校を出て(といっても、卒業したわけではなく、1単位落としていたので、卒業せずに)就職したのが南森町のビルの一室にある農業関係の業界紙。従業員は社長から事務の女の子、わたしも含め、たったの5人。東京支社には、3人。それでも、月間雑誌と月間新聞紙を出していた。竹中氏はそこで編集長(兼営業)をしていた。新聞広告で見つけた職場だが、小さな会社のいいところは、例えば、卒業予定だったのに、内定してから、卒業できませんでした、と伝えても、OKしてくれる。落とした単位は(体育だった)、夏に東京出張という名目で東京にいかせてもらって、単位(登山)をとらせてもらった。思えば、危ない橋を渡ったものだ。

仕事が終わると、竹中氏とは梅田駅地下でよく飲んで帰った。
竹中氏は半年ほどでそこの会社をやめ、わたしも1年足らずでやめ、それぞれちがう業界紙に勤めた。
わたしが業界紙から足を洗ったころからは互いに忙しくてもう顔を会わせることもなくなり、その後20年以上、年賀状を交わすだけだった。竹中氏は、その後もずっと一人で業界紙(専門紙というべきか)を運営し、今日に至っている。当時から小説を書いていたが、純文学志向で、歴史好きなわたしとは趣向が違い、うまいのかへたなのかはよくわからない(笑)けど、「読んだら、感激するぞ」と竹中氏はいっている(笑)。これから読もう。

この本は、田村書店(千里中央や箕面)やジュンク堂にも置いてあるそうだ。紀州の人は読むべきかもしれない。
竹中氏は紀州の人である。
出版祝ということで、酒を送った。
本の帯を書いておこう。
「紀州熊野はてなしの闇と風 山びとの生と死を伝える出自小説。少年の日々、母の棺、老人の牛乳、木地師探求へと縦横に織り成す。金沢浅野川河畔を付す。全8編」