らんかみち

童話から老話まで

銃規制社会への挑戦が聞いて呆れる

2014年05月09日 | 社会
 3Dプリンターを使って銃を作った男は、「銃規制社会への挑戦。日本で初めて3Dプリンターを使って銃を作ったことを誇りに思う」という旨の発言をしていたらしい。
 う~ん、自己満足は結構だけど、ぼくとしては褒めてあげる気になれないね。今だから明かすけど、ぼくも小学生のころ銃規制社会への挑戦をしていたから。

 40年ほど前の男子小学生ってのは、祭とか縁日には銀玉鉄砲を撃ち合って遊んだものだ。火薬を使って本物らしい火花と音が楽しめる、おもちゃの鉄砲も売られていた。当時、銃刀法がどんなものか知らなかったけど、ちょっと改造したら実弾を撃てるモデルガンも売られていたし、村のおっちゃんたちは空気銃でキジやスズメを撃って焼き鳥にしていた。

 あの頃の空気銃はポンプで空気を圧縮するものだったけど、鳥を狩るには十分な能力があった。空気銃の鉛弾は大と小の2種類が荒物屋に売られていて、子どもでも買うことができた。それ自身で爆発するわけじゃないからね。その弾を使った鉄砲を作るのが子どもたちの間で流行ったことがある。

 まずは弾が入る内径の真鍮パイプを入手。それを鉄砲型に削った木の本体に固定。小さい弾の直径と爆竹の大きさがほぼ同じだったので、弾を込めてから爆竹を挿入。適当にフタをしたら導火線に火をつけて発射する。
 いわば火縄銃だったけど、現在市販されている空気モデルガン程度の威力だったと思う。しかしあんなデタラメな物で遊んで、よくぞ怪我をしなかったなぁ。

 今回逮捕された容疑者の、自己防衛を大義名分に銃規制社会への挑戦とは、また大きく出たもんだね。小学生時代のぼくらに思想なんてあるはずもなく、子どもだからという理由で空気銃を触らせてもらえなかったから火縄銃を自作しただけだ。
 銃規制がなかったらどうなるのか。小学生が3Dプリンターで銃を作り、いじめっ子を撃ち殺すアメリカ社会のような時代が日本に到来するんだろうか。銃が規制されているがゆえに担保されている安全は、神話へと後退するんだろうか。

 日本の銃刀法は第二次大戦後、GHQの意向で定められたという。それに基づき、警察によって鉄砲狩りが実施されると、当時農業に携わっていた人々はイノシシやシカを撃つことができなくなり、農家は大きな痛手を被ったらしい。やがて野生動物を狩って食べる習慣も忘れ去られてしまうことになる。ほんの50年ほど前のことだ。
 防衛のために銃を所持するアメリカとは根本的に違って、日本は狩猟のため、生活のために銃を用いてきたといえる。それを元に戻すというのなら、わからんでもないけど、開拓時代に遡るアメリカ的発想は日本に馴染まないと思う。

 鉄砲を撃ちたい人は田舎に住めばいい。銃は、高齢化した猟友会のメンバーにもらうといいよ。カラスやイノシシを撃ち、ジビエ料理店で出せば喜んでもらえるだろう。
 ただし、鉄砲を撃ちたいだけの人が田舎に受け入れられるかどうかわからない。言わずもがなだけれど、銃は使う人間によって、人が生きるための農具にもなれば、人を殺戮するための凶器にもなり得るのだから。