らんかみち

童話から老話まで

風呂吹き大根における蛇足の考察

2009年12月20日 | 酒、食
 天声人語が「風呂吹き大根がよろしゅおす」言うので、うちの畑から大根を抜き、洗うつもりでコンクリートの上に放置していたら母がなにやらぶつぶつ言う。そりゃたしかに口に入れるもんだから地べたに置くってのも行儀のいいもんじゃない。でも今しがたまで土の中に埋まってたもんですよ。母にとって畑の中にあれば作物だけど、抜いた瞬間から食物になるって感覚でしょうか。
 
 あんまりごちゃごちゃうるさいので傍にあった石臼の上に乗せたんですが、それでもまだブリブリ言うので、いったい何が気に入らんのか良く聞きました。
「石の上に大根を置いたら、大根がカチカチになって旨ないようになるんぞい!」
 耳を疑うようなことを言うので何度も聞き直したんですが、硬いものの上に大根を置いたら大根が硬くなると言うのです。
 
 上の姉が世界中の美術館巡りを企画しているのだとか。零細企業とはいえ旦那は会社経営者なので、この不況下でもリッチな人はリッチなのかな。
「そんなお金あるわけないやん、死んでから行くんやんか。ルーブルやろ、オルセー、メトロポリタンも外せんし……あぁ今からわくわくする、早く死なんかな」
 こういう御仁が世の中におわすとは薄々気がついておったんですが、身内から輩出していたとは、迂闊でした。
 
 でも母はこういうタイプじゃない、どころか姉も昔はこうじゃなかった。つまり母の言うように、固いものの上に置けば硬くなり、軟らかいものの上に置けば軟らかくなる大根と同じで、姉の旦那つまり義兄も姉と似たようなタイプなんじゃないかな。旦那がブレーキかけとりゃ姉が暴走することもなかった思うんですが、制動の努力をしてなおあれだったとしたら、弟として申し訳もありません。
 
 
 
 風呂吹き大根の上にカイワレ大根を載せてみました。これって蛇足でしょうか、それともお師匠さまの説く「おまけに一つ」でしょうか、情けないけど分からん。