らんかみち

童話から老話まで

修行僧のような先生

2008年04月11日 | 童話
 給食が済んだ午後、英語の授業時間を課外授業として、最寄の神社に行くことになった。
 M先生は英語が専門で、男らしい低い声を教室に響かせたが、お坊ちゃん育ちのナヨナヨしい優美さも合わせ持っていて、女子はそこに嫌悪感を感じていたようだ。
 田舎の少女の目には男らしくないと映ったのかもしれない。でもぼくのように上級生との殴り合いの喧嘩に明け暮れていたような粗野な少年から見たら、まるで修行僧のようにストイックな印象を発散している男性だった。
 
 小春日和、彼岸花の盛りを過ぎてススキの穂が出ようかという澄んだ青空の下を、M先生を先頭に32人の生徒は最寄の神社へと歩いた。川原の土手伝いに10分も歩けば目指す神社がある。その階段を登りつつ、ぼくたちはM先生に何も期待していなかった。所詮ぼくたちは出来の悪い2年3組。まるで成績順にクラス分けしたように、テストの平均点はいつも3番目だったから。
 
つづく