らんかみち

童話から老話まで

練炭奇譚

2007年11月18日 | 暮らしの落とし穴
 西高東低の気圧配置の到来をテレビが予言するので、押入れから慌てて毛布を出した昨夜は、思ったほど寒くはありませんでした。でも今日は確かに冷え込んで、こんな日に限って「金毘羅神社」にお参りだなんて、この村もついてないなって思います。というのは、この神社には「大般若経」なる重要な書物が収蔵されていて、火災を恐れるために暖房がないのです。

 神社もさることながら我が家も安普請ですので、昼間だというのに隙間風に晒され、猫舌の上に冷え性のぼくは足温カーペットと電熱暖房機を設置しました。しかしこんな備えは冬将軍にしてみたら赤子の手を捻るも同然。かといって灯油はかつてのガソリン並みの値が付いているというし、どこかに練炭火鉢がないかと探しましたが見つかりません。

「練炭火鉢ぃ? そんなもんどうするんぞ、石油ストーブがあるじゃないか、バカが!」
 母に見咎められた挙句、バカ呼ばわりされてしまいました。でも寒冷対策先進国の韓国では練炭が見直され、需要が倍増しているんだというと母は怒りだす始末です。どうやら練炭イコール一酸化炭素中毒のイメージが付きまとっているんでしょう。

 確かに練炭は着火の初期段階が最も危険で、見知らぬ者同士が集まって「練炭パーティー」とか云う集団自殺を企てるのに一役買ったりします。でも危険なのは豆炭だろうが備長炭だろうが同じこと。従って我が家もこの冬を乗り切るのに練炭の力を借りようと、ホームセンターに行ったら練炭の山がありました。みんな考えることは同じなんですね。でも肝心の練炭火鉢が置いておらず、片○落ちやなあ! と嘆きながら帰ってきたのでした。

 夕方になり寒さが厳しくなって来たので七輪はないかと探し回ったら、バーベキューに使った角型のものを見つけました。サイズがうまく合いそうもないですが、練炭を輪切りに二等分すれば何とかなりそうに思い、引っ張り出そうとして血相を変えた母に阻止されました。そして母は、半世紀以上も前に隣村で起きたある悲劇を語り始めたのです。

 自分で書いていながらこの先が怖くなってきたので、続きはまた次回に・・・・・・。