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■河瀬陽子油絵展 (2018年4月10~15日、札幌) 4月14日は12カ所(4)

2018年04月15日 12時57分09秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
承前)

 河瀬陽子さんは芦別のベテラン洋画家。
 傘寿(80歳)を記念して、5年ぶりに札幌で本格的な個展を開いています。

 河瀬さんは一線美術と道展の会員。
 マリオネット(操り人形)を題材にした絵に取り組んでいます。
 一線美術には1990年から出品し、翌91年に会友、92年に会員に推挙されています。

 今回の個展には、第68回一線展で文部科学大臣賞に輝いた「マリオネット」と、第66回一線展の都知事賞受賞作「マリオネット」を出品しました。
 前者は第35回一線美術会北海道支部展に、後者は一線美術会第34回北海道支部展に出品した作品です。

 冒頭の画像、左側が、第68回一線展の受賞作。
 河瀬さんの作品には、女性とマリオネットを題材にした絵が多いのですが、ここでは女性がおらず、マネキンにドレスやうち掛けなどさまざまな衣服が掛けられています。花模様が刺繍してあるような絵は、知人に、実際に作ってもらったのだそうです。
 非常に多くの色を使っていながら、破綻せず、黒でしっかりと引き締めています。
 絵の右側に描かれたマリオネットは、まるで生きている人のよう。以前にくらべ、あやつりの紐も見えにくくなってきています。
 背後のカーテンをくぐって向こう側の世界に行こうとする人形。
「マリオネットを自由にしてやりたくて」
と河瀬さんは笑顔でした。


 こちらは、一線展の第66回、道支部展の第34回展に出品した「マリオネット」。
 逆光を生かしたダイナミックな光の描写はいかにも河瀬さんらしいです。

 今回、あらためて見て気づいたのですが、画面の下半分と上半分では、地面の傾きが食い違っています。
 つまり、透視図法的には矛盾しているのですが、べつに写実が命ではないわけですし、そんなことがまったく気にならない構図となっています。

 画像で、右側にあるモノトーンの絵は「スターチス」。


 小品には、アトリエを構える芦別市新城地区の自然を描いたものが多いです。
 河瀬さんは年齢を理由に、札幌での個展はこれを最後にする意向とのこと。
 アトリエは、一時はカナディアンワールド内にありましたが、現在は廃校になった小学校の跡を使っています。
「地元の人が草刈りを年2回してくれたり、いろんな人に支えられています」
と話す河瀬さんの表情は、とても柔和でした。


2018年4月10日(火)~15日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)

参考
□北海道を彩るアーティスト http://saruuni.blog96.fc2.com/blog-entry-666.html


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※以下、画像なし
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