
戦前、3年連続で帝展特選となり、「池袋モンパルナス」の画家としても知られる上野山清貢(江別出身)らが1950年に旗揚げした公募展。増田誠、田中稔、村瀬真治らも結成に加わり、道内とはゆかりの深い展覧会です。
作品はすべて絵画で、21人が計54点を出品。川上直樹さんと黒澤仁博さんが新たにくわわり、昨年の出品者のうち富田忠征さんと西村司さんがいません。
画風や題材は、多彩です。
河瀬陽子「マリオネット」
女性と人形を題材に、光と影のダイナミックな組み合わせで見せる河瀬さん。ことしは、明度の差をやや緩和して、女性の表情もきちんと描写しています。
もう1点は、ご自身の住む芦別市の新城地区を描いたオーソドックスな風景画。
この地区は、棚田の広がる、空知ではあまり多くない、山あいの美しい農村です。ちょうど、函館線と富良野線の中間あたりを南北に貫く谷間です。鉄道が一度も走ったことのない地域にしてはめずらしく集落がいくつもあり、ドライブしていても心和むルートです。
河瀬さんはこの谷を、空気遠近法を生かして描写しています。左手前のススキが、構図に奥行きを与えています。
石山宗晏「夜明けの風景」
石山さんは毎年、特殊な色彩感覚でとらえた風景画を出品しています。
正直なところ、それが成功しているときと、方法論が勝ちすぎるように思われるときがあるのですが、今回は無人の遊園地を俯瞰気味に描いており、青みがかった色調とマッチしているように感じられます。
モティーフの輪郭は白い線でひかれ、全体は青と緑がほとんどを占めています。なにより、左上から右下に走るコースターの軌道が大胆かつ効果的です。
天野千恵子「光彩」
モン・サン・ミッシェルの頂上部を思わせる中世西洋の城郭のような建物が、オレンジと黄緑の混じった海と空を背景に描かれています。ふしぎな色の空には、白く巨大な太陽が浮かんでいます。
特別リアルというわけでもないし、特徴のあるタッチでもないので、最初はそれほど心惹かれませんでしたが、よく見ると魅力のある作品だと思います。なにより、城郭がやや見下ろすような角度でとらえられているのがおもしろいです。
また、海や空の黄色がかった色合いもユニークですが、建物の屋根が落ち着きある青系で、これが全体をうまく引き締めています。
竹津昇「つるされた袋」
異動などもありお忙しいのでしょう、3点とも既発表作です。
このうち「つるされた袋」は、昨年の一線展で東京都都議会議長賞を受けた作品。
竹津さんの絵は、ふつうは絵のモティーフにしないようなみすぼらしいものを描いていますが、その筆使いには「存在の震え」とでも形容したくなるような独特のものがあります。すくなくても、すっと元気よく筆を走らせずに難渋させるなにかが隠されているような気がします。
中村国夫「鼓動『生命の在處(ありか)』」
道展などでは、中村國夫という名になっているのですが…。
中村さんといえば
獣の頭骨がシンボルマーク。これを、かっちりと構成された画面に配置して、生命のたいせつさや危機を訴えるような作品を描いてきた、という印象があります。
今回は、頭骨が消えたわけではありません。2個描かれているものの、やや小さくなってわき役に退いた感があります。そのかわり、画面の中央には、黄色いドレスを着てすわっている女性が、イタリア・フィレンツェの名高い橋のある風景の中にとけ込み、浮かんでいる情景がひろがっています。
女性のすわっているいすなどは描かれていません。彼女は、バラのコサージュをつけ、目をつぶって物思いにふけっているように見えます。
ユニークなのは、川のある風景がクリーム色を基調にしている中で、女性のネックレスや頭骨の角など要所にあざやかなマリンブルーが配され、ちょうどよいアクセントになっていることです。
長尾真規子「baby girl」
幼児の肖像画ですが、微妙な明暗のつけかたが見事。
信岡成子「光の中で」
長くつづけてきた「刻」シリーズからあらたな展開。ただし、絵柄はさほど変わっていないようです。海鳥や魚が全面に散り、その中で、紫のワンピースを着た少女が生き生きとおどっている、明るい絵です。
湯浅工「上架場(小樽)」
修理中でしょうか、2隻の船が陸の上にあがっています。安定した構図、船体の質感など、安心して見られる作品です。
作品は次のとおり。特記していないものは油彩。
天野千恵子(石狩)「光彩」120F 「樹」10F 「壺」8F
石山宗晏 (旭川)「夜明けの風景」100F、「樹影」40F
長内由美 (室蘭)「時」120F 「passion(情熱)」15F 「記憶」8F
川上直樹 (札幌)「星置川の堆雪」100F 「風韻の碑」100F 「柘榴(ざくろ)と燈明」15F
河瀬陽子 (芦別)「マリオネット」100S 「新城の秋(芦別市)」30P
黒澤仁博 (滝川)「望郷」50F 「アダムとイブ」30F
川西由峰 (札幌)「はにわ」100F 「静物」12P
神林仁 (旭川)「晴れ間」80F 「昼下がり」20F 「清夏滴翠」12P
木村好 (苫小牧)「断崖の港」20F 「樹林の道」20F=いずれも水彩
小崎侑子 (札幌)「錦繍の秋」120F 「永幸」50F 「夢想」10F
鈴木利枝子(札幌)「北の大地の冬」120F 「春逢」120F 「北の大地の味」50F
竹津昇 (札幌)「彼の領分」120F 「窓の風景」80F 「納屋の中」80F=いずれも水彩
田仲茂基 (札幌)「悠久の破片(かけら)」130F 「宵待草」10F 「微風」8F
長尾真規子(札幌)「幻想即興曲」120F 「baby girl」10F
中村国夫 (旭川)「鼓動『生命の在處(ありか)』」130F 「クッコロ&ミッコロ」20F 「ポンテ・ヴェキオ」30P
中村美恵子(旭川)「一円想(平和な日々)」130F 「静物」20F
信岡成子 (登別)「光の中で」100F 「初夏」10F
曳地敏行(苫小牧)「初冬のアルテン」12F 「くつろぎ」30P 「北大研究林の朝」50F
水上佳奈子(札幌)「集う」120F 「薔薇とおさなご」10F
湯浅工 (札幌)「上架場(小樽)」130F 「コンテナ船(小樽港)」30F 「初夏の陰映(大通一隅)」15F
渡部泰子 (札幌)「楽屋」100F 「花」20F
08年5月14日(水)-18日(日)10:00-17:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□一線美術会 http://www9.wind.ne.jp/issen/
□アトリエかわせようこ http://www.geocities.jp/atelier_yoko_kawase/index
□TAKUMIの画室 http://www.geocities.jp/takumi7707/index.html
□竹津昇 水彩の旅 http://www.geocities.jp/madrid2002jp/
□個展deスカイ!(川上さんのブログ) http://kotendesky.exblog.jp/
■第25回展
■第22回展
■第21回展
■第20回展
■第19回展
(以上画像なし)
作品はすべて絵画で、21人が計54点を出品。川上直樹さんと黒澤仁博さんが新たにくわわり、昨年の出品者のうち富田忠征さんと西村司さんがいません。
画風や題材は、多彩です。
河瀬陽子「マリオネット」
女性と人形を題材に、光と影のダイナミックな組み合わせで見せる河瀬さん。ことしは、明度の差をやや緩和して、女性の表情もきちんと描写しています。
もう1点は、ご自身の住む芦別市の新城地区を描いたオーソドックスな風景画。
この地区は、棚田の広がる、空知ではあまり多くない、山あいの美しい農村です。ちょうど、函館線と富良野線の中間あたりを南北に貫く谷間です。鉄道が一度も走ったことのない地域にしてはめずらしく集落がいくつもあり、ドライブしていても心和むルートです。
河瀬さんはこの谷を、空気遠近法を生かして描写しています。左手前のススキが、構図に奥行きを与えています。
石山宗晏「夜明けの風景」
石山さんは毎年、特殊な色彩感覚でとらえた風景画を出品しています。
正直なところ、それが成功しているときと、方法論が勝ちすぎるように思われるときがあるのですが、今回は無人の遊園地を俯瞰気味に描いており、青みがかった色調とマッチしているように感じられます。
モティーフの輪郭は白い線でひかれ、全体は青と緑がほとんどを占めています。なにより、左上から右下に走るコースターの軌道が大胆かつ効果的です。
天野千恵子「光彩」
モン・サン・ミッシェルの頂上部を思わせる中世西洋の城郭のような建物が、オレンジと黄緑の混じった海と空を背景に描かれています。ふしぎな色の空には、白く巨大な太陽が浮かんでいます。
特別リアルというわけでもないし、特徴のあるタッチでもないので、最初はそれほど心惹かれませんでしたが、よく見ると魅力のある作品だと思います。なにより、城郭がやや見下ろすような角度でとらえられているのがおもしろいです。
また、海や空の黄色がかった色合いもユニークですが、建物の屋根が落ち着きある青系で、これが全体をうまく引き締めています。
竹津昇「つるされた袋」
異動などもありお忙しいのでしょう、3点とも既発表作です。
このうち「つるされた袋」は、昨年の一線展で東京都都議会議長賞を受けた作品。
竹津さんの絵は、ふつうは絵のモティーフにしないようなみすぼらしいものを描いていますが、その筆使いには「存在の震え」とでも形容したくなるような独特のものがあります。すくなくても、すっと元気よく筆を走らせずに難渋させるなにかが隠されているような気がします。
中村国夫「鼓動『生命の在處(ありか)』」
道展などでは、中村國夫という名になっているのですが…。
中村さんといえば
獣の頭骨がシンボルマーク。これを、かっちりと構成された画面に配置して、生命のたいせつさや危機を訴えるような作品を描いてきた、という印象があります。
今回は、頭骨が消えたわけではありません。2個描かれているものの、やや小さくなってわき役に退いた感があります。そのかわり、画面の中央には、黄色いドレスを着てすわっている女性が、イタリア・フィレンツェの名高い橋のある風景の中にとけ込み、浮かんでいる情景がひろがっています。
女性のすわっているいすなどは描かれていません。彼女は、バラのコサージュをつけ、目をつぶって物思いにふけっているように見えます。
ユニークなのは、川のある風景がクリーム色を基調にしている中で、女性のネックレスや頭骨の角など要所にあざやかなマリンブルーが配され、ちょうどよいアクセントになっていることです。
長尾真規子「baby girl」
幼児の肖像画ですが、微妙な明暗のつけかたが見事。
信岡成子「光の中で」
長くつづけてきた「刻」シリーズからあらたな展開。ただし、絵柄はさほど変わっていないようです。海鳥や魚が全面に散り、その中で、紫のワンピースを着た少女が生き生きとおどっている、明るい絵です。
湯浅工「上架場(小樽)」
修理中でしょうか、2隻の船が陸の上にあがっています。安定した構図、船体の質感など、安心して見られる作品です。
作品は次のとおり。特記していないものは油彩。
天野千恵子(石狩)「光彩」120F 「樹」10F 「壺」8F
石山宗晏 (旭川)「夜明けの風景」100F、「樹影」40F
長内由美 (室蘭)「時」120F 「passion(情熱)」15F 「記憶」8F
川上直樹 (札幌)「星置川の堆雪」100F 「風韻の碑」100F 「柘榴(ざくろ)と燈明」15F
河瀬陽子 (芦別)「マリオネット」100S 「新城の秋(芦別市)」30P
黒澤仁博 (滝川)「望郷」50F 「アダムとイブ」30F
川西由峰 (札幌)「はにわ」100F 「静物」12P
神林仁 (旭川)「晴れ間」80F 「昼下がり」20F 「清夏滴翠」12P
木村好 (苫小牧)「断崖の港」20F 「樹林の道」20F=いずれも水彩
小崎侑子 (札幌)「錦繍の秋」120F 「永幸」50F 「夢想」10F
鈴木利枝子(札幌)「北の大地の冬」120F 「春逢」120F 「北の大地の味」50F
竹津昇 (札幌)「彼の領分」120F 「窓の風景」80F 「納屋の中」80F=いずれも水彩
田仲茂基 (札幌)「悠久の破片(かけら)」130F 「宵待草」10F 「微風」8F
長尾真規子(札幌)「幻想即興曲」120F 「baby girl」10F
中村国夫 (旭川)「鼓動『生命の在處(ありか)』」130F 「クッコロ&ミッコロ」20F 「ポンテ・ヴェキオ」30P
中村美恵子(旭川)「一円想(平和な日々)」130F 「静物」20F
信岡成子 (登別)「光の中で」100F 「初夏」10F
曳地敏行(苫小牧)「初冬のアルテン」12F 「くつろぎ」30P 「北大研究林の朝」50F
水上佳奈子(札幌)「集う」120F 「薔薇とおさなご」10F
湯浅工 (札幌)「上架場(小樽)」130F 「コンテナ船(小樽港)」30F 「初夏の陰映(大通一隅)」15F
渡部泰子 (札幌)「楽屋」100F 「花」20F
08年5月14日(水)-18日(日)10:00-17:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□一線美術会 http://www9.wind.ne.jp/issen/
□アトリエかわせようこ http://www.geocities.jp/atelier_yoko_kawase/index
□TAKUMIの画室 http://www.geocities.jp/takumi7707/index.html
□竹津昇 水彩の旅 http://www.geocities.jp/madrid2002jp/
□個展deスカイ!(川上さんのブログ) http://kotendesky.exblog.jp/
■第25回展
■第22回展
■第21回展
■第20回展
■第19回展
(以上画像なし)
『いよいよプロ並みの活動を始めたね』と言われてうれしかったことを思い出します。
精進して、この会に加えて頂いて良かったと思える作家になりたいと思います。
今度見つけたら、このブログで紹介するかもしれません。
…というわけで、川上さんの5つのコメントにすべて返答したので、右のカラムから川上さんの名前がなくなりましたよ。