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葛宇路 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(57)

2019年12月04日 08時35分23秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 これも前項のキュンチョメ作品と同様、ツイッターなどで世評の高かった作品。

 円頓寺商店街の現地近くまで行ってみたら、会場ボランティアの人たちが
「一番おもしろいと評判ですよ、どうですか」
などと呼び込みをしていたのが面白かった。
 商店街アーケードに面しておらず、そこから路地に入っていったところにある空き店舗が会場だったので、つい熱心になるのかもしれない。

 たしかに、現代アートとしてわかりやすい、痛快な作品であった。

 葛宇路(グゥ・ユルー)さんが、自分の名前を北京の無名の街路に無断で標識にして掲げた結果、いつの間にかそれが定着して「Google Map」や印刷物の地図に載ってしまったという、笑えるプロジェクトの一部始終の記録である。
 会場の外には、本物か再制作かわからないが、標識が立ち、中に入ると、当局にバレてしまって、行われた撤去作業の際の映像や、テレビニュースなどが編集されて流れている。
 「葛宇路」「葛宇路」と、まるでラップのようで、つい笑ってしまう。
 撤去作業を伝える新聞もたくさん展示されている。

 個人的に思ったのは
「ほんとに、こんなことがあり得るのか?」
ということ。
 早い話、日本で
「名前のついていない道路」
というのは、私道以外は存在しない。
 国道は国が、都道府県道は都道府県が、市町村道は市町村が、それぞれ管理しており、どんなに短い、細い道路にもすべて名前がついている。
 災害などで破損すれば復旧工事を行うし、拡幅や舗装などで予算がつくときも必ずそれぞれの議会で審議が行われる。

 なので、北京の街なかに無名の道路があるということ自体、ちょっとビックリしたし、地図製作業者などが、日本よりもいろいろとやかましそうな中国の役所で道路名の確認をしていないとしたら、それも意外としかいいようがない。
 フェイクだと決めつけるつもりはないのだが、う~んと思ってしまった。


 もうひとつ思い出したこと。

 北大クマ研の人から聞いた話で、どこまでほんとうかわからないのだが、クマ研だか山岳部だかの学生が道内のある山で転んだのを周囲がおもしろがって「スッテン谷」だか「どってん沢」だかと名付けて呼び慣わしていたら、いつの間にか定着して、地図にも載ってしまったという。

 葛宇路さんの企みに比べると、確信犯ではないが。





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