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■ 益村信子個展 part22-森羅万象*ALL THINGS IN THE UNIVERSE 2018 (10月2~7日、札幌)

2018年10月06日 07時43分00秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 インスタレーションは1980~90年代に盛んになり、いまはごく一般的な展示の手法になっている。札幌の益村信子さんがインスタレーションを作り続けているのは、別に新しいからとかそういう理由ではなく、自分の体質的なものに合致しているためだろう。
 これまで会場としてきた大同ギャラリーがなくなり、初めてコンチネンタルギャラリーに設置したが、うまくおさまっている。

 壁の中央には、画面のまん中が飛び出して見える抽象画が1点。

 手前の床には、鮮やかな青と黒に塗られた、高さも直径もまちまちなおびただしい数の円筒が不規則に立ち並び、大小の球体が転がっている。
 筒の数はあわせて約130本。サランラップなどの芯を再利用している。
 最近はエコ仕様で芯の紙が薄くなったり、芯が細くなったりすることも多くなっており、以前の発表で使用した物も自宅に取り置いて再び登場させているという。

 球体は、新聞のチラシなどを使った、立体コラージュ的なものも約20個あるが、黒や灰色の毛糸の玉が150個と、大量にある。
 廃業するお店からもらったとのこと。
 なお、毛糸はこの状態で販売されているのではなく、中央が少し細くなった円筒の形をしている。それを一つ一つほどいて球体に巻き直すというのは、ものすごい労力と時間がかかる。

 それらの球体から出ている糸は、床を這って、大きなカラー球体を巻く糸につながるなどしている。

 全体が左右二つの部分に分かれているように見えるのは
「回遊性を持たせたいと思って。いろんな場所から見てほしい。見え方も違うし」
と益村さん。

 なお、単体のコラージュ2点が、手前の壁に飾ってあった。




 この作品に何を読みとり、どう感じるのかは、各人に任されているのだろう。
 文字通り、世界の森羅万象を提示したものともいえるし、ビオトープ的な閉じた世界が地球環境の危機を暗示しているという見方も可能だろう。
 人によっては、遠いところへ行く旅へと、見る者を誘っているようにも感じられるだろうし、あるいはもっと漠然と、肯定的、向日性の感覚を得て、元気をもらえたと思うかもしれない。

 そういう意味では、もともと益村さんのインスタレーションは、自由なものだったが、さらに自由の感覚を増したということがいえるだろう。


 ちなみに筆者が、ここに子猫を数匹放ったらおもしろいだろうなぁ、とか、地震がまた起きたら筒が全部倒れて別の作品になっちゃうんだろうなぁなどと、しょうもないことを考えていたのは、秘密です。
 少し真面目に締めくくると、益村さんのインスタレーションは、見て元気になれる前向きな作品です。


2018年10月2日(火)~7日(日)午前10時~午後6時
コンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)

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第2回野外オブジェ展in栗沢(03年)
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・地下鉄東西線「西11丁目駅」2番出口から約50メートル、徒歩1分
・市電「中央区役所前」からすぐ

・じょうてつバス、ジェイアール北海道バス「西11丁目駅前」から約50~250メートル、徒歩1~4分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「北1条西12丁目」から約490~570メートル、徒歩7分
(手稲方面行きのバス全便が止まります。小樽、岩内行きの都市間高速バスも利用できます)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
暗闇からこんばんわ~ (益村信子)
2018-10-07 00:47:46
ご来場ありがとうございました。
居るところがなかったので、闇からボッと現れてすみませんでした!お互いにびっくりしましたね~
100号の南半球には、9月6日、地震にあった胆振の新聞記事をコラージュしてあります。2018年の大きな出来事でした。森羅万象です。(まじめ)・・・
また、搬出では、思いっきり「ドミノ倒し」してみるか!と、心の底で思っています。
それから・・・猫も遊ばせたいね。毛糸玉大好きだし。
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Re:暗闇からこんばんわ~ (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2018-10-07 00:52:30
益村さんありがとうございます。
新聞コラージュについては全く気がついていませんでした。
いやぁ~、見てるようで見てないんですねぇ。反省の契機にしたいと思います。

ドミノ、楽しそうですね。
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