(承前)
佐佐木方斎さんは、北海道の美術史では、1980年代にほぼ独力で雑誌「美術ノート」を刊行したことで知られているだろうが、もともとは画家であった。
今回は、これまで発表していなかった初期作品を並べている。
いずれも横位置で、最初期には、昆虫のような形状がちりばめられたやや超現実主義的な画風だが、徐々にフォルムが整理されて、明快な色彩とかたちによる純粋抽象画となる。今回の展示作のうちで比較的後の時代のものは、北海道の前衛絵画運動を牽引した渡辺伊八郎の影響を受け、同心円などがモティーフとなっている。
似たような絵を描く人は、ポップアート界隈に、いそうでいない。
個性的な画風だと思う。
佐佐木さんによると、渡辺伊八郎さんに誘われて、北海道抽象派作家協会に参加した。
今回の出品作は、同協会に加わる前のものなので、これまで発表する機会がなかったのだという。そして、たしかに、佐佐木さんがこの数年おおやけにしてきた絵は、渡辺伊八郎の影響が色濃く感じられる、幾何学的な抽象画が多い。
しかし、同協会は後に除名されたとのこと。
「あのころはすぐ除名。まわりは、せめて退会にしてあげたら、なんて言ってたけどね」
と佐佐木さんは苦笑する。まだ政治の時代の名残があったころだ。
(追記)なお佐佐木さんは、最初にモノクロームで下地の絵を描いてから、着彩していたという。
「なんで、そんなめんどうなことをしてたんだろうね」
と佐佐木さん。
あとで、北海道抽象派作家協会の年譜を見たら、1976年の第3回展のところに「新同人 佐々木謙二」とあり、これが佐佐木さんの本名なのかもしれない。
しかし、80年の第7回展で退会となっている。
なお、同じ年には、上野憲男、難波田龍起、村井正誠が招待出品しており、北海道抽象派作家協会という団体が、決して地方のミニグループという枠にとどまらない存在であったことがうかがえる。
2015年10月6日(火)~18日(日)午前11時~午後7時、月休み
TEMPORARY SPACE(札幌市北区北16西5)
■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009)
■佐佐木方斎/版画展 抽象画家「格子群」(2006年)
佐佐木方斎さんは、北海道の美術史では、1980年代にほぼ独力で雑誌「美術ノート」を刊行したことで知られているだろうが、もともとは画家であった。
今回は、これまで発表していなかった初期作品を並べている。
いずれも横位置で、最初期には、昆虫のような形状がちりばめられたやや超現実主義的な画風だが、徐々にフォルムが整理されて、明快な色彩とかたちによる純粋抽象画となる。今回の展示作のうちで比較的後の時代のものは、北海道の前衛絵画運動を牽引した渡辺伊八郎の影響を受け、同心円などがモティーフとなっている。
似たような絵を描く人は、ポップアート界隈に、いそうでいない。
個性的な画風だと思う。
佐佐木さんによると、渡辺伊八郎さんに誘われて、北海道抽象派作家協会に参加した。
今回の出品作は、同協会に加わる前のものなので、これまで発表する機会がなかったのだという。そして、たしかに、佐佐木さんがこの数年おおやけにしてきた絵は、渡辺伊八郎の影響が色濃く感じられる、幾何学的な抽象画が多い。
しかし、同協会は後に除名されたとのこと。
「あのころはすぐ除名。まわりは、せめて退会にしてあげたら、なんて言ってたけどね」
と佐佐木さんは苦笑する。まだ政治の時代の名残があったころだ。
(追記)なお佐佐木さんは、最初にモノクロームで下地の絵を描いてから、着彩していたという。
「なんで、そんなめんどうなことをしてたんだろうね」
と佐佐木さん。
あとで、北海道抽象派作家協会の年譜を見たら、1976年の第3回展のところに「新同人 佐々木謙二」とあり、これが佐佐木さんの本名なのかもしれない。
しかし、80年の第7回展で退会となっている。
なお、同じ年には、上野憲男、難波田龍起、村井正誠が招待出品しており、北海道抽象派作家協会という団体が、決して地方のミニグループという枠にとどまらない存在であったことがうかがえる。
2015年10月6日(火)~18日(日)午前11時~午後7時、月休み
TEMPORARY SPACE(札幌市北区北16西5)
■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009)
■佐佐木方斎/版画展 抽象画家「格子群」(2006年)
(この項続く)