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■企画展「ゆく年くる年 '17-'18」 (2017年12月19日~18年1月7日、札幌)

2018年01月06日 17時29分13秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 札幌市の中心部にある老舗の貸しギャラリー「さいとうギャラリー」は、7月と年末年始の年2度、道内作家の小品を集めた企画展を開いています。
 夏は「風」「星」といったテーマが毎年変わり、年末年始はとくにテーマを設けていないという違いはありますが、顔ぶれがほとんど同じで、会場の雰囲気はまったく変わりません。
 ジャンル的には、絵画、版画、彫刻、工芸などの作家が出品していますが、作品はすべて壁掛け型の平面です。写真や書の作品は、見たことがありません。
 作品は基本的にすべて販売。「写真撮影固くお断り」の貼り紙があるのも毎年おなじです。
 ことしは72人が出品しました。

 個人的にいちばん胸を打ったのは、石垣渉さんの水彩画「1/365」でした。
 真冬の酪農家を遠景でとらえた風景画です。
 針葉樹の防風林帯の間からオレンジ色の朝日がのぼってきます。厳しい冷気が見る側につたわってくるようです。手前は雪野原。空が水色、薄紫などさまざまな色のグラデーションをなしています。
 おそらく、初日の出なのでしょう。しかし、酪農家には、元旦は関係ありません。牛は正月だからといって乳を出すのを休んだりはしないからです。題には、元日も、1年のなかの1日に過ぎないという意味が込められているのだと思います。

 北山寛一さん「春のソナタ」
 立ってバイオリンを弾く女性と、ピアノを弾く女性の二重奏。背景のライトグリーンが明るく春めいた印象を強めています。

 水戸麻記子さん「おもちの「叫び」」
 お雑煮のおわんのふたをあけて箸でつまんだら、有名なムンクの絵のようなかたちでもちがのび上がった―という、水戸さんらしいユーモラスな絵。
 周囲には緑や黄色の帯が走り、ますますムンクの絵を思わせます。かまぼこやタケノコ、三つ葉などお雑煮の中身が丁寧に描かれています。

 村本千洲子さんのように全道展とは異なる画風の絵を毎回出してくる人もいて、それがこの展覧会の楽しみだともいえそう。
 それにしても、渡辺貞之さん、渡会純价さん、阿部典英さん、林弘尭さん、今荘義男さんなど「アラエー」(80歳前後)の人たちは元気だなあ(ほかにも大勢おられます)。

 毎回恒例の、泉修次さんのおみくじ型作品。今回は「中吉」でした。


 他の出品者は次のとおり。
 阿智信美智 阿部美智子 荒井善則 安永容子 石田真理子
 糸井崇史 宇流奈未 甲斐野市子 柿崎煕 香取正人
 亀井由利 川西勝 川本マサヒロ 丸藤真智子 木村富秋
 工藤悦子 香西富士夫 後藤和司 小林大 小堀清純
 斉藤嗣火 坂みち代 佐久間敏夫 櫻井マチ子 佐々木けいし
 佐藤潤子 佐藤仁敬 佐藤麗子 下沢敏也 白鳥洋一
 末永正子 高野理栄子 高橋智子 武石英孝 富田知子
 内藤克人 永井美智子 中島義博 中田やよひ 中野邦昭
 中橋るみ子 中吉功 南雲久美子 鳴海伸一 西田陽二
 野口秀子 野崎嘉男 林亨 林田理栄子 羽山雅愉
 菱野史彦 福島靖代 前川アキ 水高和彦 宮地明人
 毛内康二 毛内やすはる 山内敦子 山本洋子 吉川勝久
 吉田茂 吉田敏子

 事前に告知されていたうち、早川尚さんは都合により出品していません。


2017年12月19日(火)~28日(木)/2018年1月2日(火)~7日(日)午前10:30~午後6:30(最終日~5時)、月曜休み
さいとうギャラリー(南1西3 ラ・ガレリア5階)

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