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■北の写真家集団DANNP 北の貌(かたち)2019「それぞれの花鳥風月」 (2月8~13日、札幌)

2019年02月13日 12時26分09秒 | 展覧会の紹介-写真
 DANNP(ダンプ)は、雨竜沼湿原の写真で知られる岡本洋典さんの呼びかけで旗揚げした、主に道内でネイチャーフォトに取り組む人の集まりです。
 四半世紀にわたり毎年写真展を開いており、今回は9人が3ないし4点を出品しています。アマチュアのネイチャーフォトというと、よくあるタイプの作品を想像しますが、さすがにこの写真展は、よりすぐりの、あまり見たことのない光景をとらえた作品が多いです。

 なにより驚いたのは、入り口近くにあった村上忠之さん「天華爛漫」でした。
 空には満天の星と天の川。地(画面右下)には満開のエゾヤマザクラ。もしかしたら先行作品があるのかもしれませんが、筆者は初めて見ました。群青の空と桃色の花。完璧な瞬間です。
 村上さんは「俯瞰鳥図」もすてきです。シルエットになった木々の上にすっくと立つ、アオサギらしき1羽の鳥。背景の夕空が、あかね色に薄緑が交じり、すばらしい色あいです。

 以前、おなじ会場で北海道の農業をテーマにした写真の個展を開いた奈良美弥子さんは「薄色の候」と題し、大沼をテーマにした4枚。
 「薄桜」という1点が、桜を水に映して、渋いです。
 いずれも、ピーカンではなく、曇天ならではの落ち着いた美しさを漂わせています。

 鈴木恵子さんは「野鳥の魅力」というテーマで4点。
 「宵の競演」は、隊列を組んで飛んでいくガンの向こうに上弦の月が光り、絵のような一枚。この情景を見ていたときのご本人の至福の気持ちが伝わってくるようです。

 高谷俊一さんは「予感」という通しタイトルの4点。
 「終着駅」は、釧路湿原で発生した霧が北上して、摩周湖カルデラに入り込んでいくようすを撮った珍しい1枚。

 出口大芳さんの「一面の花畑」は、エゾリスが被写体ですが、周辺に一面に広がるカタクリの群落が美しいです。動物だけに焦点を合わせるのではなく、周辺の自然もフレームに入れる写真は、竹田津実さんの作品以降、少しずつ増えているような気がします。

 ほか、伊藤嘉隆、北正明、西村洋子、宮口悦子の各氏も、道内の自然を見事に切り取った写真を出品しています。

 道内ではネイチャーフォトばかりが盛んーということについては批判的な声をちょくちょく耳にしますし、それはわからなくもないのですが、この水準の作品を見せられると、やっぱりいいものはいいなあと素直に思うのです。


2019年2月8日(金)~13日(月)午前10時~午後6時
富士フイルムフォトサロン札幌(中央区大通西6 富士フイルム札幌ビル)

□同サロンの関連ページ https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/sapporo/19020801.html

□北の写真家集団 DANNP http://dannp.jp/

□水の貌(かたち)滝と渓流のフォト・ギャラリー(北正明さんのサイト) http://www.m-kita.com/index.html
□奈良美弥子さんのサイト http://landscape-stories.com/


関連記事へのリンク
2003年の「北の貌」
北の写真家集団DANNP写真展 北の貌2002 partⅡ (6日と11日にそれぞれ掲載)
※以上、画像なし

女流写真家5人展 F エフ in チャオ (2017)
=奈良さん出品

第6回NPM展「MY HEARTFUL NATURE 北海道」第1部(2007、画像なし)
=奈良さん、高谷さん出品




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