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SIAF2020第1弾ディレクターズトーク 「はじめまして、私たちが企画ディレクターです。天野太郎とアグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカです。」

2018年12月10日 21時00分10秒 | 札幌国際芸術祭
 「札幌国際芸術祭2020ディレクターチーム発表」についてで紹介した企画ディレクター3人のうち2人(のこる1人の「コミュニケーションデザインディレクター」は公募中)が皆さんの前でお話します―ということで、さっそく予約して、12月8日(土)午後2時、会場へ行ってきました。アスティ45ビル(中央区北4西5)12階にある札幌市立大サテライトです。

 過去2度の芸術祭で行われたキックオフイベントに比べると、まだ会期に余裕があるせいかどうかはわかりませんが、理念や方向性を語るというより、おふたりの人となりを中心に紹介する、やや緩い感じの催しでしたが、これはこれで親しみやすくてよかったです。テーマや作家第1弾発表、というようなときには、もう少し広い会場で大がかりに実施するのかもしれません。

 話の中身に入る前に、あらためて分かったことを2点書いておきます。

 ひとつは、ディレクターは3人で、この上に総合ゲストディレクターが置かれるのではないということ。いわば「トロイカ体制」で芸術祭の中身を決めていくことになるようです。

 2点目は会期。
 いくら「2020年度」だからといって2021年2月開催では「SIAFサイアフ2020」にならないのではーと心配していたのですが、どうやら2020年12月中旬から21年2月にかけての開催になる見通しです。
 ほっとしました。

 さて、トークは、事務局の細川麻沙美さんに2人がそれぞれ答えるという形式で行われました。
 アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカさんは英語で答え、それを通訳者が日本語に訳していました。

 現代アート担当のディレクター天野太郎さんは、大学の優秀な同級生(誰だろう?)が道立近代美術館に学芸員として先に就職したため、自分もーと思って同館に採用され、学芸員になったとのこと。
 当時のエピソードでおもしろかったのが、同館で「マウリッツハイス王立美術館展」を開いたとき(1984年)、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を展示したそうですが、ほとんど話題にもならなかったとのこと。フェルメール人気は近年のことなんですね。
 その後、横浜美術館を経て、現在は横浜市の住宅街にある横浜市民ギャラリーあざみ野で主席学芸員を務めています。

 一方、メディアアート担当のクビツカ=ジェドシェツカさんはポーランド南西部のヴロツワフで、WROアートセンターの「WROメディアアートビエンナーレ」に携わっています。
 かつて見たドイツ人3人(誰だろう?)の作品に出合い、このような仕事をしてみたいと思ったのがアートの世界に入ったきっかけだそうです。

 天野さんは料理が趣味で、「天野酒場」と題して腕をふるったり、エルメスのファッションショーでモデルを務めたり、さらに漫画「学芸員太郎」のモデルになったりと、多芸多才な方のようです。
 クビツカ=ジェドシェツカさんは石集めが好きで、ハイキングに行くとさまざまな石を拾ってきて、自宅のあちこちに置いているそう。
 ディレクターの話が来たときには「Big,big surprise」だったといい、メディアアート分野で日本人のアーティストと仕事をする機会も増えているとのこと。来日はこれで5度目ですが、北海道は初めて。赤平の炭鉱跡を見たり、博物館でアイヌ文化を知ったり、さっそく精力的に動き回っているようです。

 テーマなどはこれから決めるわけですが、天野さんは先日訪れたオーストリア・ブリスベーンでのアジア太平洋トリエンナーレの会場で、アフリカ生まれ・ベイルート育ち・ベルリンの大学で学んだという作家にいきなり流ちょうな日本語で話しかけられてびっくりしたという体験を語り「自分のアパートにスリランカ人が住んでいて車のデザインをしている。これまでとは違う、国際化の風景が日本で増えるのでは」と語っていました。
 クビツカ=ジェドシェツカさんは、「雪や寒さを受け入れることからコンセプトが始まるのでは」と述べ、東南アジアなどの人にとっては魅力的だと強調。また、初期のWROビエンナーレが冬で開かれていたことから、冬季開催は可能ではーと話しました。

 最後に、抱負を聞かれ、天野さんは
「道立近代美術館で相当鍛えられたので、恩返しじゃないですが、今まで学んできたことを全部ここ(札幌)でつぎこもうかと思っている」
と語り、クビツカ=ジェドシェツカさんは
「ネットワークを駆使し、中東欧などいろんなアーティストと協力していきたい」
という意味のことを話していました。

  
 ほかにもいろいろな話がありましたが、かいつまんで書いてみました。
 文責は、聞き取っていた筆者(ヤナイ)にあることはいうまでもありません。

 この後、懇親会もあったようですが、筆者はほかに見る展示がありましたので、会場を急いで後にしました。


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