美容と健康に悩む人たちと共に歩む

『体の中からキレイに』~便秘について

女性が美容・健康上の悩みの上位3つは「便秘・ニキビ・体重」です。
特に私のクリニックでダイエット治療を行う約半数の人が便秘に悩まされています。そこで今回はダイエットにも関連性が深い便秘について、お話します。

便秘には幾つか種類がありますが、慢性的なものとして、弛緩(しかん)性便秘痙攣(けいれん)性便秘があります。
弛緩性便秘とは大腸のぜん動運動が弱く、大腸での便の流れが遅いため、便の水分が少なく便が硬くなり、排泄するのが困難になった状態を言います。腹部などの筋力が弱くなることが原因のひとつとされています。

一方、痙攣(けいれん)性便秘とは、一般的な弛緩性便秘と反対で 大腸の運動が活発すぎて起きる便秘です。 その痙攣性収縮のため糞便は小さく硬くウサギの糞状態となり、コロコロとした便が出るのが特徴です。
持続的に便秘が続くことは少なく、便秘と下痢が交互に発症することがあります。

いわゆる多くの女性が悩んでいる便秘というのは弛緩性便秘が多く、この症状は便意が少なく、持続的で腹痛が無いのが特徴です。

しかし、想像して下さい。
私たちの体内は温度が36度台で、真夏の酷暑ぐらいです。
腸内に食べ物のカスを溜める事は夏の生ゴミ捨て場と同じ状態になります。腐敗・発酵が起こり悪臭状態になって当然です。
腸内で腐敗・発酵が起こるとアンモニア・アミン・硫化水素・インドール・フェノールなど、有害物質が生じます。これらのうち発ガン性の物質もありますし、神経に害を及ぼす成分もあり、頭痛・肩こり・腰痛を起こし、老化を進めたり、成人病を引き起こす原因にもなります。
ですから、便秘を改善して生ゴミを溜めないことが、成人病を予防し、健康を維持することになります。


では便秘を改善するにはどのようにすれば良いのでしょうか?
簡単にポイントをお教えます。

弛緩性便秘の場合は、食物繊維を十分摂ること。繊維は消化吸収されないので便の量を増やし、便意がつきやすくなります。
このことは皆さんご存知かとは思いますが、ここでのポイントは

”生野菜より加熱した野菜を多く摂る”

ということです。生野菜は見かけより繊維が取れません。
また果物、ヨーグルト等に含まれる有機酸は腸に刺激を与え腸の運動を促進します。


痙攣性便秘の場合、逆に繊維の少ない消化の良いものを摂り、腸の刺激を取り除いて下さい。
柔らかい葉野菜・白身の魚・卵料理などがいいでしょう。


弛緩性と痙攣性の便秘では、その原因が異なりますので、それを見極めが大切です。
また共通の改善法としては朝食後に排便の習慣をつけること。一番便意が起こりやすい時です。
また運動不足を解消し、肺や腹筋を強化すること。腹筋が弱いと大腸がだらんとし、いきむ力も弱くなります。
ストレス・運動不足・ダイエットによる絶食により、便秘がさらに悪化する傾向があります。
その場合、市販の下剤を飲用するケースが多いようですが、これにより腹痛が起きることもありますので、正しく使用する必要があります。


ちなみに当院では、腸内洗浄効果のある点滴もあります。
先日、24歳の女性がダイエットのために私のクリニックで受診しました。1週間便秘が続いていたため、点滴を行いました。翌日、排便がよく宿便も取れたようです。
その結果、体重が1㎏も減量しました。まさに一石二鳥です。
また、便秘の改善により、肌荒れやニキビがおのずと改善される事も多いようです。

体の内面からきれいになる事は、体の外部にも影響し、気持ちがいいですよね。
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”病気を診ずして病人を診よ” 私の学祖の言葉から

8月下旬に54歳の女性が私のクリニックに来院しました。
彼女は身長156cm、体重75kg、体脂肪率38.6%と高度肥満症であり、基礎疾患に高血圧・高脂血症を合併していました。
本来多くの方は基礎疾患の治療で総合病院を受診し、高血圧・高脂血症のそれぞれの専門医を受診して適切な治療を受けていくのが普通です。

しかし彼女は私に、「私は肥満を治療したいと思っているのに、総合病院では降圧剤やコレステロールを下げる薬を勧めてくる。
それと同時にダイエットをした方が良いと言うが、その詳しい方法や薬を処方してくれない。私は肥満が良くなればおのずと高血圧・高脂血症は良くなると思っている。だから治療を拒否した」と言っていました。

私はまず彼女の血圧を計りました。血圧は189/106。確かに高い。
内臓脂肪量を計ったところ11.5kgあったため、そこに目を付け、本来のダイエット治療を勧めました。

内臓脂肪の分布と血圧には相関関係があり、内臓脂肪型肥満は皮下脂肪型肥満と比べて、高血圧のケースが多いことが明らかになっています。
同時に皮下脂肪を減少させるより、内臓脂肪を減少させたほうが血圧が下がりやすいことも明らかになっています。

平均的な内臓脂肪量は2~3kgとされており、彼女の場合は明らかに内臓脂肪型肥満でした。


そこで、今回の治療法として・・・

血圧変動の著しい人に食欲抑制剤は使用できないため、脂肪吸収抑制剤と漢方を処方しました。

その結果・・・

2~4週間で彼女の体重は73kgと大きな変化はありませんでしたが、体脂肪率は33.1%、血圧は150/89と良くなっていました。
私は肥満と高血圧・高脂血症の関係について、『肥満治療が先で高血圧・高脂血症治療が後』なのか、『高血圧・高脂血症治療が先で肥満治療が後』なのかはっきり分かりません。

ただ、今回の経験から、一般的な高血圧・高脂血症の治療も大切ではありますが、『肥満の治療=高血圧・高脂血症の治療』であり、総合病院の治療法だけでなく、私のクリニックのように、患者が求めている治療を行うことも重要だと実感し、同時に学祖の言葉を思い出しました。


ダイエット専門渋谷ディーエスクリニック
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無月経について

 今回は、「肥満治療」の一部を実話を交えて書きます。

ダイエットにつきものの症状の一つとして、「無月経」があります。
これは一般的に「体重減少性無月経」といい、原因はいろいろありますが、分類として、「減食性無月経」と「神経性食欲不振症」等があります。

この2つの疾患にはそれぞれ目的があり、「減食性無月経」が痩せることが目的である一方、「神経性食欲不振症」は、痩せることが目的ではなく、食べないことが目的で、食べてはいけない、また自分は食べるに値する人間ではないと思い込み、自殺願望を強く持つこともあります。

では、どのように治療していけばよいのでしょうか?今回は「減食性無月経」の患者の話です。


8月上旬、19歳の女性が私のクリニックに来院しました。3年前からの無月経とダイエット治療のためです。
彼女には週6回も「吐く」という習慣がありました。しかし、すごく痩せているという訳ではなく、身長156cm、体重50kg、体脂肪率は21.4%でした。
 
また無月経ということで某大学病院を受診したり、またある産婦人科では無月経に対してピルを処方されたため、肥満を気にしていました。さらに週6回も吐いていたことから、右手には「吐きダコ」が数箇所できていました。


私は彼女を「減食性無月経」と診断しました。まず血液検査を行い、高脂血症と鉄欠乏性貧血が合併してることを彼女に伝えました。
「これまでの行為が自分自身の体調を崩している」と話し、ピルの使用と、「吐く」という習慣を何とか止めさせようとしました。

一般的にこういう人は、吐くことを覚えてしまうと、食べてしまっても、自分の体重をコントロールできるという自信を持ち、ついには痩せていくことに酔いしれてしまうことが多いという傾向があります。

そのため、医師の私が「食べなさい」と言うことは、「痩せる」という彼女の生きがいを奪うことになり、彼女とのコミュニケーションが取れなくなることを懸念したため、食欲抑制剤を使用することにしました。「食欲は自然と下がるから心配しなくてもいい、まずは吐く回数を少なくしなさい」と話しました。

3ヶ月弱が経過した現在、体重46.7kg、体脂肪率17.6%と減少しました。そして吐くことは完全に止めることができました。ただ、”吐きダコ”も消えてはおらず、無月経も改善されていません。

現在も高脂血症と貧血の治療を行っています。無月経が改善されないのは彼女の場合、精神的なものが大きいと思われるため、今後は彼女にとって、体重以外に自信をもてるものや、生きがいを見つけられるように協力していきたいと思います。



さて・・・

では、「無月経」にならないようにするには、どれくらいのペースでダイエットをしていけば良いのでしょうか?

個人差がありますので一概には言えませんが、医師の立場から言わせて頂くと、1ヵ月で1~2kg減が妥当であると思います。
もし、1ヵ月に5~6kg減という急激なダイエットをすると、無月経となってしまう可能性が高くなります。


”出来るだけ早く痩せてキレイになりたい”という願望は、女性なら誰でもお持ちだとは思います。

しかし、そのようなダイエットは、例えば”子供を産む”というような、女性でしか得られない幸福を奪いかねない、ということは、女性の皆様にはしっかりと認識しておいて頂ければと思います。


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食欲を抑制する物質

前回述べた、体脂肪の蓄積量の調節に関係している『ある物質』。
それは「レプチン」という物質です。


レプチンは1994年に肥満遺伝子の研究の際に発見されたもので、簡単に言ってしまえば、”食欲を抑制する物質”です。
主に脂肪細胞において合成・分泌される一種の伝達物質で、視床下部の満腹中枢を刺激して、食欲・基礎代謝量をコントロールすることによって、体脂肪蓄積量の調節に関与することが知られています。


=レプチンの働き=

脂肪組織が増えた(太った)時には、レプチンが多く分泌され、食欲を抑えると共に基礎代謝量をアップさせます。つまり、”自然に痩せる力”が働くことになります。逆に脂肪組織が減った(痩せた)時には、食欲がアップすると共に基礎代謝量は下がります。この場合は”自然と太る力”が働くことになります。
(※図参照)


ちなみにレプチンは血液検査により測定される、”血中レプチン濃度”によって判断されます。
標準的な血中レプチン濃度は以下の数字とされています。
    
男性: 2.5~4.2ng/ml   女性: 6.3~10.0ng/ml

脂肪細胞から分泌されることから、血中レプチン濃度は肥満者で総じて高値を示します。

ではなぜ、肥満者は血中レプチン濃度が高いにも関わらず体重が減少しないのでしょうか?これは、レプチンが過剰に分泌されると、視床下部に届かなく(レプチン抵抗性)なってしまうことが原因であると考えられています。そのために、レプチンが多すぎると痩せないどころか逆に太ってしまうのです。

レプチンはリバウンドの原因のひとつとしても考えられています。つまり脂肪が減ってしまうと、レプチンも減ってしまうために食欲が増加し、つい食べてしまうという訳です。

またレプチンは生理にも関係しています。急激なダイエットをするとレプチンが減り、ホルモンバランスが崩れて生理が止まってしまいます。


現在、レプチンについては研究が進んでおり、いつの日か体内のレプチン量を自在に調節することで、痩せたり太ったりすることができるようになるかもしれません。但し、あくまでも研究段階のため、今の時点で出来ることは、レプチンを減らさないようにすることぐらいです。

その方法とは、「睡眠」。

米シカゴ大学のグループによる興味深い実験結果があります。
20代前半の健康な男性12人を対象に、4時間睡眠を2日続けた後、10時間睡眠を2日続けた後、それぞれレプチンの血中濃度を測定しました。その結果、4時間睡眠を2日続けた場合、レプチンの濃度が18%減少したといいます。

このことから、レプチンは睡眠中に分泌され、夜遅くまで起きているとレプチンの分泌量は減ると推測されます。

『十分な睡眠をとること』。これは何にも増して大事なことなのですね。


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初めまして!

皆さん、初めまして。林 博之と申します。
私は昭和62年に大学を卒業して以来、形成外科医として大学病院等で勤務して参りました。
皆さんご存知でしょうか?形成外科というのは体表面の形成を主に行う科です。
私はたくさんの女性と接し、美や健康についての悩みに向かい合ってきましたが、そのほとんどはダイエット・肌に関するものでした。そこで、私は女性の悩みをより専門的に解決する必要性を感じ、今年1月にダイエット・肌のクリニックを開設致しました。

このブログでは、ダイエット・肌に関することを中心に、医学的な話と、クリニックにおける実際の診療の話等々をおりまぜて書いていこうと考えております。
読者の皆様の知識の向上につながると共に、皆様より多くのご意見・ご質問等をお寄せ頂き、このブログが盛り上がっていくことが出来れば幸いです。


さて、記念すべき第1回目は、『肥満』というものについて医学的に述べていきたいと思います。



秋がやってきました。

ボディラインも夏みたいに気にする必要がないし、ましてやこの季節は旬の美味しい味覚がいっぱい。ついつい食事量が増えてしまいがちです。
まるで夏の呪縛から解かれたように、秋になると急に体重が増えてしまう女性が私の周りにも多く見受けられます。そして、太ってしまうと、すぐに食事を抜いてしまったり、医学的根拠のない安易なダイエットに走ったりしがちです。
もし、このようなダイエット方法に何の疑問も持たれていない方は今すぐ考えを改めて下さい。ましてや体にとって良くないと分かっている方なら尚更です。
”太る原因”が人それぞれ違うように、”痩せる方法”もその人の体質等によって異なるのです。
後になって後悔してしまわないためにも、『肥満についての正しい知識』を身につけていって頂ければと思います。


まずは【肥満の定義と肥満の基準】について。

皆さん、肥満と肥満症の違いはお分かりでしょうか?
肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、これにより健康障害と合併し、医学的に減量を必要とする病状を肥満症といいます。すなわち肥満症の方は医学的治療を受ける必要があります。
具体的には、肥満に伴う合併症としては糖尿病(Ⅱ型)・高脂血症・高血圧・痛風・月経異常・心筋梗塞・狭心症などがあり、整形外科的には、変形性関節症や腰痛などがあります。

ところで肥満の判定にはどういった方法が用いられるのでしょうか?  
BMIという言葉をよく聞いたことがあると思います。これは国際的にも広く通用している体格指数です。

BMI (body mass index) =  【体重(kg)】 ÷ (【身長(m)】×【身長(m)】)

で判定することが一般的です。

例えば、身長が160cm、体重が50㎏の場合、BMI値は、50÷(1.6×1.6)=19.5 となります。

       BMI        判定
                   
           <18.5   低体重
   18.5≦ ~ <25   普通体重    
    25≦ ~ <30    肥満1度                      
    30≦ ~ <35    肥満2度        
    35≦ ~ <40    肥満3度 
    40≦ ~        肥満4度 

但し BMI値が25以上だからといって、医学的に減量を要する状態とは限りません。
ちなみに、身長(m)×身長(m)×22が標準的な体重とされています。
(身長が160cmの方は56.3kgが標準体重となります。)

皆さん、ご自分のBMI値を是非計算してみて下さい。(電卓がお手元にない方はこちら
BMI値が25を越えていて、なおかつ次のような状態の時は「肥満症」である可能性が高くなります。

①肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害がある場合。
又は
②一定レベル以上、内臓脂肪が蓄積している場合。

<内臓脂肪がたまっているかどうかの判定は?>
●スクリーニング検査:ウエスト周囲径を測り、男性で85cm以上、女性で90cm以上あれば「上半身肥満」
●腹部CT検査:CTの断面像を撮影し、内臓脂肪面積が100平方cm以上あれば「内臓脂肪型肥満」

この検査は大体の総合病院で行っています。もし不安な方がいらっしゃれば、是非検査を受けてみて下さい。

では、検査で肥満症と判断された方もそうでない方も、それぞれ『痩せる』にはどうすれば良いのでしょうか?


その人の体質によって痩せる方法が異なるということは先ほど述べました。

具体的な一例を挙げてみると・・・

体内には体脂肪の蓄積量の調節に関係している『ある物質』が存在します。しかしこの物質は人によって量が異なります。当然、自分の体内に『ある物質』がどれくらい存在するのかによって、痩せる方法も変わってきてしまうのです。


次回は、この『ある物質』について述べていきたいと思います。


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