フィリピンから帰国後4月13日に1度、フィリピン国鉄について簡単に報告しましたが、詳細については述べておりませんので、写真の掲載とともに説明していきたいと思います。
今回の目玉は何と言っても203系の動向であり、本日は203系について報告したいと思います。
ホリーウィークの4月6日にマニラに到着し、早速、次の日にフィリピン国鉄を訪ねることにしました。訪比する前日にフィリピン国鉄の方に連絡を入れると、7日の列車番号113列車(Tutuban8:05発)に試験的にSucatまで203系を充当させるという情報を入手し、この列車に絶対乗車しようと意気込んでいました。
7日は土曜日であり、ましてやホリーウィークの期間中(日本のお盆のようなもの)ということでマニラ市内は朝でも渋滞がないと確信しておりましたが、それでもホテルからPNRの駅まで予測のつかないこともあるかと思い、Pasay Road駅近くのホテルにチェックインしました。
203系が充当される113列車はPasay Road駅を8:35に発車しますので、10分ぐらい前に駅に行けばよいと思い、ここまで私の計画どおり順調でした。Tutuban方面を目を凝らして見ると前照灯を点灯した列車がこちらに近づいて来るのがわかり、やっと初営業に就く203系に乗車できるのではと期待しておりました。しかし、車両の前照灯がやけに明るく、もしかして単なるRotemのDMUではないのかという予感が涌いてきました。いやな予感は的中するもので列車がPasay Road駅に到着する約500m手前で明らかにRotemの車両とわかると反対側のTutuban方面のホームへ行って少しでも早く車庫のあるTutubanへ行こうと思ったのですが、そのRotemの列車がホームへ入って来ると乗務員室から「井上さん!」と言う声が聞こえ、乗務員室を覗いて見ると地元の鉄道マニアでした。現在のジャカルタのように一般利用者はこのPNRでも勝手に乗務員室に乗り込むことは現在では禁止されていますが、なぜか地元のマニアが乗務員室に乗り込んでおり、運転士も「Pasok ka!(入りなさい!)」と言うので、乗務員室にお邪魔し、Tutubanとは逆方面のAlabang方面へと向かいました。この地元のマニア達は私が訪比する前にFacebook上に7日の113列車に203系が充当されるかもしれないことと、私は乗車する予定と書き込んだため、彼らも初の203系営業列車に乗車したいのかそれともこの変な日本人のマニアに会いたかったのかわかりませんが、妙なところでお会いすることになりました。彼らの話を聞いていると203系は機器の調整中とのことで7日の初営業は無理のようですが、明日8日充当されるかもしれないという情報を入手しました。
203系初営業に乗車できるのではと期待していた113列車はRotemの車両でした。この113列車は通常どおりAlabangで折り返し、Alabang9:05発のTutuban行きとなりました。
Alabangに到着すると大勢の乗客が乗り込んできましたが、私たちはこのまま乗務員室(今度は列車最後尾)に留まりました。1時間程で終点Tutubanに近づくと列車の進行方向右側に下の写真のようにオレンジ色帯を纏った車両を目にすることができました。
この車両のみオレンジ色帯に変更され、Tcに発電機を搭載した車両で、PNRの203系の中では唯一稼働することができる車両です。
ちなみにこの車両の編成はTutuban←M203-14+T203-113+M'202-119+M203-119+Tc203-107→Calambaであり、各車両の向きは統一されています。
Tutuban駅に到着すると、早速、先程見たオレンジ帯に変更された203系を覗いて見ることにしました。
Tc203-107の後位になぜか発電機が設置され、稼働している時はかなり五月蝿く感じます。前位に設置した方が利用者の利便性や安全性で優位ではないかと思ったのですが、車両担当者にこの件で質問することを忘れてしまいました。
Tc203-107の前位の客室へ入って見ると発電機のある部屋とパーテーションで区切られ、隣に機械室があることを感じさせません。この車両は側引戸3箇所分のスペースがあり、女性専用車として利用するのであれば最適なのですが、現在、Rotemの車両はマニラのLRTやMRTと同じように各列車の進行方向先頭側の車両が女性専用として指定されているため、203系の本格的な営業に際して女性専用車の位置がどのように指定されるのか気になるところです。
機械室とのパーテーション部分には意味もないようなちょっと低いつり革が2つだけ設置されています。
Tc203-107以外の4両の客室へ入ってみると発電機を稼働していたこともあり冷房装置も使用されており、車内はRotemの車両よりも冷えていました。私は電気のことについては詳しくないのですが、車両担当者の話しではM’202に搭載されているMGを使用せず、この発電機から1両あたり直接20KVAが供給されていると話されていました。
側引戸のガラス部分は全て潰され、投石防止ネットの設置とPNRのロゴマークが車両番号の上に貼付けられております。
このオレンジ色帯5両以外のエメグリ帯の車両でも投石防止ネットやロゴマークの取り付けが行われておりますので、発電機の搭載や帯をオレンジ色に変更する工事が順次実施されるのではないかと思います。車両担当者の話しでは発電機はもう1つあるものの壊れており、5台分を早々に購入する予定とのことです。
下の写真は発電機の搭載されているTc203-107とは逆方向(M203-14)から見た姿です。
M203-104のパンタグラフが畳まれているものの形状が崩れています。
エメグリ帯の車両も順次整備が行われていますが、発電機の搭載には少々時間がかかるものと思われますし、ディーゼル機関車も限りがありますので、本格的な営業に際してはいろいろな問題をクリアしなければなりません。
車両担当者の話しとして、現在12系ボロボロ客車によって運行されているTutuban~Binan間のCommexをとりあえず203系に置き換えるとのことで、運用区間をBinanからマニラからさらに郊外にあるCalambaまで延ばす予定とのことです。早くて4月9日の週から実施することを述べていましたが、実際にはいまだに実施されておらず、203系の運行に際して多少時間がかかるのではないかと予測しております。なお203系に置き換わってもこの12系客車はすぐにスクラップにしないようです。(とりあえず予備車的な存在となるのでしょうか)
下の写真3点は地元のマニアの方から許可を得て入手した写真で、4月8日に初めて203系が試験的にTutuban~Sucat間に充当されました。私は残念ながら7日夕方、Bicol Exp.でビコール地方へと旅立ち203系初営業のシーンを見ることができませんでした。乗客にとっては好評のようであったようですが、運行するほうとしては現在ではAlabangでの機回しが出来ず、機回しの可能なSucatなどの駅に限られ、機回しに時間がかかり危険性を伴うこと。ホーム有効長が足りず、ホーム上に停車していない車両での乗り降りに際しては子供や女性は困難になることなど、いろいろな問題が発生するのではないかと思っております。
写真はMichael Chacho氏によるものです。
次回はBicol Exp.でビコール地方へと誘いたいと思います。
今回の目玉は何と言っても203系の動向であり、本日は203系について報告したいと思います。
ホリーウィークの4月6日にマニラに到着し、早速、次の日にフィリピン国鉄を訪ねることにしました。訪比する前日にフィリピン国鉄の方に連絡を入れると、7日の列車番号113列車(Tutuban8:05発)に試験的にSucatまで203系を充当させるという情報を入手し、この列車に絶対乗車しようと意気込んでいました。
7日は土曜日であり、ましてやホリーウィークの期間中(日本のお盆のようなもの)ということでマニラ市内は朝でも渋滞がないと確信しておりましたが、それでもホテルからPNRの駅まで予測のつかないこともあるかと思い、Pasay Road駅近くのホテルにチェックインしました。
203系が充当される113列車はPasay Road駅を8:35に発車しますので、10分ぐらい前に駅に行けばよいと思い、ここまで私の計画どおり順調でした。Tutuban方面を目を凝らして見ると前照灯を点灯した列車がこちらに近づいて来るのがわかり、やっと初営業に就く203系に乗車できるのではと期待しておりました。しかし、車両の前照灯がやけに明るく、もしかして単なるRotemのDMUではないのかという予感が涌いてきました。いやな予感は的中するもので列車がPasay Road駅に到着する約500m手前で明らかにRotemの車両とわかると反対側のTutuban方面のホームへ行って少しでも早く車庫のあるTutubanへ行こうと思ったのですが、そのRotemの列車がホームへ入って来ると乗務員室から「井上さん!」と言う声が聞こえ、乗務員室を覗いて見ると地元の鉄道マニアでした。現在のジャカルタのように一般利用者はこのPNRでも勝手に乗務員室に乗り込むことは現在では禁止されていますが、なぜか地元のマニアが乗務員室に乗り込んでおり、運転士も「Pasok ka!(入りなさい!)」と言うので、乗務員室にお邪魔し、Tutubanとは逆方面のAlabang方面へと向かいました。この地元のマニア達は私が訪比する前にFacebook上に7日の113列車に203系が充当されるかもしれないことと、私は乗車する予定と書き込んだため、彼らも初の203系営業列車に乗車したいのかそれともこの変な日本人のマニアに会いたかったのかわかりませんが、妙なところでお会いすることになりました。彼らの話を聞いていると203系は機器の調整中とのことで7日の初営業は無理のようですが、明日8日充当されるかもしれないという情報を入手しました。
203系初営業に乗車できるのではと期待していた113列車はRotemの車両でした。この113列車は通常どおりAlabangで折り返し、Alabang9:05発のTutuban行きとなりました。
Alabangに到着すると大勢の乗客が乗り込んできましたが、私たちはこのまま乗務員室(今度は列車最後尾)に留まりました。1時間程で終点Tutubanに近づくと列車の進行方向右側に下の写真のようにオレンジ色帯を纏った車両を目にすることができました。
この車両のみオレンジ色帯に変更され、Tcに発電機を搭載した車両で、PNRの203系の中では唯一稼働することができる車両です。
ちなみにこの車両の編成はTutuban←M203-14+T203-113+M'202-119+M203-119+Tc203-107→Calambaであり、各車両の向きは統一されています。
Tutuban駅に到着すると、早速、先程見たオレンジ帯に変更された203系を覗いて見ることにしました。
Tc203-107の後位になぜか発電機が設置され、稼働している時はかなり五月蝿く感じます。前位に設置した方が利用者の利便性や安全性で優位ではないかと思ったのですが、車両担当者にこの件で質問することを忘れてしまいました。
Tc203-107の前位の客室へ入って見ると発電機のある部屋とパーテーションで区切られ、隣に機械室があることを感じさせません。この車両は側引戸3箇所分のスペースがあり、女性専用車として利用するのであれば最適なのですが、現在、Rotemの車両はマニラのLRTやMRTと同じように各列車の進行方向先頭側の車両が女性専用として指定されているため、203系の本格的な営業に際して女性専用車の位置がどのように指定されるのか気になるところです。
機械室とのパーテーション部分には意味もないようなちょっと低いつり革が2つだけ設置されています。
Tc203-107以外の4両の客室へ入ってみると発電機を稼働していたこともあり冷房装置も使用されており、車内はRotemの車両よりも冷えていました。私は電気のことについては詳しくないのですが、車両担当者の話しではM’202に搭載されているMGを使用せず、この発電機から1両あたり直接20KVAが供給されていると話されていました。
側引戸のガラス部分は全て潰され、投石防止ネットの設置とPNRのロゴマークが車両番号の上に貼付けられております。
このオレンジ色帯5両以外のエメグリ帯の車両でも投石防止ネットやロゴマークの取り付けが行われておりますので、発電機の搭載や帯をオレンジ色に変更する工事が順次実施されるのではないかと思います。車両担当者の話しでは発電機はもう1つあるものの壊れており、5台分を早々に購入する予定とのことです。
下の写真は発電機の搭載されているTc203-107とは逆方向(M203-14)から見た姿です。
M203-104のパンタグラフが畳まれているものの形状が崩れています。
エメグリ帯の車両も順次整備が行われていますが、発電機の搭載には少々時間がかかるものと思われますし、ディーゼル機関車も限りがありますので、本格的な営業に際してはいろいろな問題をクリアしなければなりません。
車両担当者の話しとして、現在12系ボロボロ客車によって運行されているTutuban~Binan間のCommexをとりあえず203系に置き換えるとのことで、運用区間をBinanからマニラからさらに郊外にあるCalambaまで延ばす予定とのことです。早くて4月9日の週から実施することを述べていましたが、実際にはいまだに実施されておらず、203系の運行に際して多少時間がかかるのではないかと予測しております。なお203系に置き換わってもこの12系客車はすぐにスクラップにしないようです。(とりあえず予備車的な存在となるのでしょうか)
下の写真3点は地元のマニアの方から許可を得て入手した写真で、4月8日に初めて203系が試験的にTutuban~Sucat間に充当されました。私は残念ながら7日夕方、Bicol Exp.でビコール地方へと旅立ち203系初営業のシーンを見ることができませんでした。乗客にとっては好評のようであったようですが、運行するほうとしては現在ではAlabangでの機回しが出来ず、機回しの可能なSucatなどの駅に限られ、機回しに時間がかかり危険性を伴うこと。ホーム有効長が足りず、ホーム上に停車していない車両での乗り降りに際しては子供や女性は困難になることなど、いろいろな問題が発生するのではないかと思っております。
写真はMichael Chacho氏によるものです。
次回はBicol Exp.でビコール地方へと誘いたいと思います。