Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

PNR203系の近況について

2012年04月28日 19時12分39秒 | フィリピン
フィリピンから帰国後4月13日に1度、フィリピン国鉄について簡単に報告しましたが、詳細については述べておりませんので、写真の掲載とともに説明していきたいと思います。
今回の目玉は何と言っても203系の動向であり、本日は203系について報告したいと思います。
ホリーウィークの4月6日にマニラに到着し、早速、次の日にフィリピン国鉄を訪ねることにしました。訪比する前日にフィリピン国鉄の方に連絡を入れると、7日の列車番号113列車(Tutuban8:05発)に試験的にSucatまで203系を充当させるという情報を入手し、この列車に絶対乗車しようと意気込んでいました。
7日は土曜日であり、ましてやホリーウィークの期間中(日本のお盆のようなもの)ということでマニラ市内は朝でも渋滞がないと確信しておりましたが、それでもホテルからPNRの駅まで予測のつかないこともあるかと思い、Pasay Road駅近くのホテルにチェックインしました。
203系が充当される113列車はPasay Road駅を8:35に発車しますので、10分ぐらい前に駅に行けばよいと思い、ここまで私の計画どおり順調でした。Tutuban方面を目を凝らして見ると前照灯を点灯した列車がこちらに近づいて来るのがわかり、やっと初営業に就く203系に乗車できるのではと期待しておりました。しかし、車両の前照灯がやけに明るく、もしかして単なるRotemのDMUではないのかという予感が涌いてきました。いやな予感は的中するもので列車がPasay Road駅に到着する約500m手前で明らかにRotemの車両とわかると反対側のTutuban方面のホームへ行って少しでも早く車庫のあるTutubanへ行こうと思ったのですが、そのRotemの列車がホームへ入って来ると乗務員室から「井上さん!」と言う声が聞こえ、乗務員室を覗いて見ると地元の鉄道マニアでした。現在のジャカルタのように一般利用者はこのPNRでも勝手に乗務員室に乗り込むことは現在では禁止されていますが、なぜか地元のマニアが乗務員室に乗り込んでおり、運転士も「Pasok ka!(入りなさい!)」と言うので、乗務員室にお邪魔し、Tutubanとは逆方面のAlabang方面へと向かいました。この地元のマニア達は私が訪比する前にFacebook上に7日の113列車に203系が充当されるかもしれないことと、私は乗車する予定と書き込んだため、彼らも初の203系営業列車に乗車したいのかそれともこの変な日本人のマニアに会いたかったのかわかりませんが、妙なところでお会いすることになりました。彼らの話を聞いていると203系は機器の調整中とのことで7日の初営業は無理のようですが、明日8日充当されるかもしれないという情報を入手しました。

203系初営業に乗車できるのではと期待していた113列車はRotemの車両でした。この113列車は通常どおりAlabangで折り返し、Alabang9:05発のTutuban行きとなりました。


Alabangに到着すると大勢の乗客が乗り込んできましたが、私たちはこのまま乗務員室(今度は列車最後尾)に留まりました。1時間程で終点Tutubanに近づくと列車の進行方向右側に下の写真のようにオレンジ色帯を纏った車両を目にすることができました。
この車両のみオレンジ色帯に変更され、Tcに発電機を搭載した車両で、PNRの203系の中では唯一稼働することができる車両です。
ちなみにこの車両の編成はTutuban←M203-14+T203-113+M'202-119+M203-119+Tc203-107→Calambaであり、各車両の向きは統一されています。



Tutuban駅に到着すると、早速、先程見たオレンジ帯に変更された203系を覗いて見ることにしました。
Tc203-107の後位になぜか発電機が設置され、稼働している時はかなり五月蝿く感じます。前位に設置した方が利用者の利便性や安全性で優位ではないかと思ったのですが、車両担当者にこの件で質問することを忘れてしまいました。


Tc203-107の前位の客室へ入って見ると発電機のある部屋とパーテーションで区切られ、隣に機械室があることを感じさせません。この車両は側引戸3箇所分のスペースがあり、女性専用車として利用するのであれば最適なのですが、現在、Rotemの車両はマニラのLRTやMRTと同じように各列車の進行方向先頭側の車両が女性専用として指定されているため、203系の本格的な営業に際して女性専用車の位置がどのように指定されるのか気になるところです。
機械室とのパーテーション部分には意味もないようなちょっと低いつり革が2つだけ設置されています。


Tc203-107以外の4両の客室へ入ってみると発電機を稼働していたこともあり冷房装置も使用されており、車内はRotemの車両よりも冷えていました。私は電気のことについては詳しくないのですが、車両担当者の話しではM’202に搭載されているMGを使用せず、この発電機から1両あたり直接20KVAが供給されていると話されていました。


側引戸のガラス部分は全て潰され、投石防止ネットの設置とPNRのロゴマークが車両番号の上に貼付けられております。
このオレンジ色帯5両以外のエメグリ帯の車両でも投石防止ネットやロゴマークの取り付けが行われておりますので、発電機の搭載や帯をオレンジ色に変更する工事が順次実施されるのではないかと思います。車両担当者の話しでは発電機はもう1つあるものの壊れており、5台分を早々に購入する予定とのことです。


下の写真は発電機の搭載されているTc203-107とは逆方向(M203-14)から見た姿です。
M203-104のパンタグラフが畳まれているものの形状が崩れています。


エメグリ帯の車両も順次整備が行われていますが、発電機の搭載には少々時間がかかるものと思われますし、ディーゼル機関車も限りがありますので、本格的な営業に際してはいろいろな問題をクリアしなければなりません。


車両担当者の話しとして、現在12系ボロボロ客車によって運行されているTutuban~Binan間のCommexをとりあえず203系に置き換えるとのことで、運用区間をBinanからマニラからさらに郊外にあるCalambaまで延ばす予定とのことです。早くて4月9日の週から実施することを述べていましたが、実際にはいまだに実施されておらず、203系の運行に際して多少時間がかかるのではないかと予測しております。なお203系に置き換わってもこの12系客車はすぐにスクラップにしないようです。(とりあえず予備車的な存在となるのでしょうか)

下の写真3点は地元のマニアの方から許可を得て入手した写真で、4月8日に初めて203系が試験的にTutuban~Sucat間に充当されました。私は残念ながら7日夕方、Bicol Exp.でビコール地方へと旅立ち203系初営業のシーンを見ることができませんでした。乗客にとっては好評のようであったようですが、運行するほうとしては現在ではAlabangでの機回しが出来ず、機回しの可能なSucatなどの駅に限られ、機回しに時間がかかり危険性を伴うこと。ホーム有効長が足りず、ホーム上に停車していない車両での乗り降りに際しては子供や女性は困難になることなど、いろいろな問題が発生するのではないかと思っております。



写真はMichael Chacho氏によるものです。

次回はBicol Exp.でビコール地方へと誘いたいと思います。


フィリピン国鉄探訪

2012年04月13日 02時04分21秒 | フィリピン
4月6日~11日にかけてフィリピンに滞在しましたが、今回は14系寝台車によるBicol Exp.とキハ52新潟色によるMayon Limited Ordinaryに乗車し、Tutuban~Ligao間を往復しました。
仕事のほうが忙しいため、詳細については落ち着いたあとに述べていきたいと思いますが、まずは簡単に説明したいと思います。
今回の訪比で最も目玉であったのが訪比前にも報告しましたように203系であります。
5両の203系がオレンジ色に変更され、Tc203-107に発電機を搭載し、4月3日にTutuban~Calamba間で試運転が行われましたが、私がマニラに到着した翌日7日に早くも営業されるのではないかということで、フィリピン国鉄の方から事前に教えていただいた203系が充当される列車番号113列車(Tutuban8:05発)をPasay Road駅で待っておりました。
しかしながら、充当されたのは単なるRotem製のDMUで、私の大いなる期待に反して初営業に就く203系の乗車とはなりませんでした。とりあえずこのRotem製造のDMUでAlabangまで行き、折り返してTutubanに行くことにしました。
Tutubanに近づくとヤードの中にはオレンジ色帯に変更された203系5両を目撃することができました。
予定ではこの日に運行開始される予定でしたが、各種機器のチェックなどを行っており、営業シーンにあり付くことはできませんでした。


Tc203-107には発電機が搭載され、客室と発電機が搭載された機械室がパーテーションによって区切られています。
M’202の床下にあるMGはどうも使用していないようで、この発電機から供給しているようです。
実際に車内に入ってみたのですが、冷房がRotem製造のDMUよりも効いておりました。


203系の詳細については、後日、報告したいと思いますが、私がBicol Exp.に乗車し、Legazpiを目指していた8日の列車番号113列車にこの203系が充当され、Tutuban~Sucat間で営業が開始されました。しかしながら、カプラーに問題があり、安全上、補助的にDLとこの203系を連環連結器のようなもので連結することが今後必要とされているようです。
今後の予定としては、車両を担当されている方の話として、Tutuban~BinanもしくはCalamba間に充当し、現在、Commexとして運行されているボロボロ12系客車を置き換える予定で、Calambaに運転士の宿泊施設も整備される予定とのことです。
日中においても機回し可能なSucatまで充当することも計画されているようです。

続いて、キハ52ですが、フィリピン滞在中においては、新潟色4両のほうはTutuban~Ligao間に運行されているMayon Limited Ordinaryに充当されています。運行スケジュールについてはPNRのホームページをご覧いただければと思いますが、実際に私もこのMayon Limited Ordinaryに乗車し、以前、東京と大垣を結んでいた165系による夜行列車のような混雑ぶりで大変でした。乗車記、エピソードはまた後日報告します。


国鉄色3両については、ホリーウィークの期間中、臨時列車がTutuban~Ligao間に運行され、8日はNaga~Ligao間のCommuterにも充当されました。普段はおそらくTutubanに留置されているものと思われます。
下の写真はNaga~Ligao間に充当されたCommuter列車で、終点のLigao駅で撮影したものです。


14系寝台車によるBicol Exp.については、ホリーウィーク期間中、ソロ1両が組成され、Executiveクラスとして運行されました。実際に私もソロを利用してみましたので、時間がありましたら簡単に報告したいと思います。
また、こがね(キハ59)はTutuban~Ligao間でMayon Limited De Luxeとして運行されていました。

以上、簡単に報告しましたが、詳細については後日時間のある時に報告したいと思います。

PNRの203系、試運転開始

2012年04月04日 23時09分54秒 | フィリピン
フィリピン国鉄(PNR)の話題がご無沙汰しておりましたが、ここ最近いろいろと動きがありますので、急遽6日からフィリピンへ行くことにしました。今回、フィリピンでは昨年7月に引き続き14系寝台車によるBicol Express乗車と3月16日からTutuban~Ligao間で運行開始されたMayon LimitedのOrdinary(キハ52)に乗車することを予定しております。また、Mayon火山のあるLegazpiにも滞在する予定ですので、現在、休業中のLagazpi駅や線路の状況も確認したいと思っております。

ところで本日お届けする話題は地元の鉄道ファンから203系に関する情報をいただきましたので、その情報について簡単に報告したいと思います。
昨年、JRからキハ52やキハ59(こがね)とともにPNRへ203系40両が無償譲渡され、1月頃Tc203-107に発電機を搭載する工事がCaloocan工場で実施されましたが、つい最近203系5両に対し帯をオレンジ色に変更し、投石防止ネットの取り付けなどが実施され、営業開始に向けほぼ準備が整ったためか今月3日、Tutuban~Calamba間で整備された5両を使って試運転が実施されました。


下の写真はCalamba駅に停車するDL919で、編成は Tutuban←DL919+M203-14+T203-113+M'202-119+M203-119+Tc203-107→Calamba という構成になっております。
また、編成中にMGは1つしかありませんが、冷房装置関係には問題がないようで、RotemのDMUよりも冷えていたようです。


下の写真はCalamba南側に聳えるMt.Maquilingで、避暑地で風光明媚なTagaytayもここから30分ほどで行けます。


Alabang以南ではローカルな風景が広がっていますが、Calamba付近までは大都市Manilaの通勤圏内であり、今後、Commuter TrainがTutubanからCalambaまで運行されることが計画されています。


以上、簡単に報告しましたが、7日も試運転が予定されているようですので、時間がありましたら試運転の状況をレポートしたいと思います。
(写真は全てMark Chua氏の提供によるものです。)

ダイヤ改正後の103系などの動き

2012年04月03日 10時56分10秒 | 他線区の103系
3月17日のダイヤ改正から3週間が経過し、関西で走る103系や205系などの通勤形車両、運用の状況を調べるため4月1日に大阪へ行って参りました。
今回、注目していたのはやはり103系USJ編成の動向で、3月22日に述べたように8両編成化されるなどの動きがあったのですが、セサミストリート編成、ウッドペッカー編成ともにスパイダーマン編成のMM'1ユニットずつを両編成の中央に挿入されました。両編成ともに混結編成にもかかわらずラッピングであるためか、混結なのかどうか遠目でもわかりません。
やはり103系の魅力は国電基本5色による演出で、ラッピング同士での混結は意外にも映えず、全く違和感のないのが残念です。

下の写真は8両編成化されたセサミストリート編成で、6両編成時代の写真(3月22日掲載)と比較しても全くわかりません。


続いて運用をみると、平日の朝は先程紹介した桜島線用の8連103系ラッピング編成2本とダイヤ改正前まで6両編成として運行されていたTc103-850のオレンジ色編成がT 2両を組み込み計3本が桜島線運用の61M~63Mに充当され、線内を行ったり来たりしています。

下の写真は8両編成化されたTc103-850編成。


日中(正午過ぎ~16時)は61Mが森ノ宮区に帰区するため62Mと63Mが線内を交互に15分間隔で運行されています。
また、朝から正午にかけて天王寺~桜島線へ直通する列車が設定されており、この中に桜島線運用数本が天王寺まで乗り入れ、天王寺で折り返し、桜島線へ戻るというような運用になっているようです。(休日のみ確認)
この他にも桜島線運用が大阪環状線内を廻っていますので、ラッピング編成を目撃できるようです。(詳細なことはわかりませんので)

下の写真は朝の仕事を終え、森ノ宮区に帰区する61Mです。


もう1つ注目していたのは、平日において奈良区ウグイス103系4+4連による大阪環状線内への乗り入れ運用と森ノ宮区103系または201系による関西線へ乗り入れる運用が改正後も残るのかどうかということですが、私のような103系ファンにとっては何ともとも嬉しく改正後も運用が存続しています。
4+4連のウグイス103系は大阪環状線内で、朝は外回りを2周したのち「京橋」行きで森ノ宮区で昼寝となります。
方向幕マニアにとっては「区間快速 大阪環状線」、「大阪環状線」、「京橋」と3種類見ることができ嬉しいものですが、やはり私としてこの「区間快速 大阪環状線」が最もお似合いではないかと思います。
また、2編成を併結した103系は阪和線や広島地区でも近年見られましたが、今ではこの運用とジャカルタだけであり、非常に貴重なシーンであります。(現在、ジャカルタでは4両編成としてKota~Kampung Bandanや環状西線の区間運転に充当されているようです)


3週間前の大阪遠征と同様に塚本駅で205系の並びを撮影したいと思っていたのですが、残念ながらこの日は下り方面の列車が遅れており、並ぶかどうかは確認できませんでした。ということで最初から諦めて上り方面へ向かう205系を撮影しました。体質改善された編成もそろそろデビューするようで、このカラーリングでオリジナルに近い姿は見納めになるかもしれませんので、オリジナル、方向幕好きの私としてはこの姿を少しでも多く撮影しておきたいものです。


この他、奈良区の201系または103系6連が快速に充当される列車がありますので、快速を表示した103系を撮影することも可能です。
下の写真は1350Kに充当された快速「王寺」行きですが、見事に被られてしまいました。それでも201系であったことが救いかもしれません。


最後に3月31日、4月1日と阪和線カラーで長年活躍した113系が「ありがとう113系号」として最後の走りを演じましたが、沿線はどこもギャラリーでいっぱいで気持ちが萎えてしまいました。どうも内気な私には大勢のギャラリーがいるところに入って行くような強靭な精神力がありませんし、やはり日頃の姿を撮影しているほうがお似合いかもしれません。
それでもいつも103系などでお世話になっているmasaさんには、今回現地で同行させていただいて、楽しい時間を過ごすことができました。とても感謝しております。



次回のブログ更新については、今週末フィリピンへ参りますので、帰国後にフィリピン国鉄の話題をお届けしたいと思います。キハ52がMayon Limited Ordinaryに充当され、203系の帯がオレンジ色に変更されていますので、これらの話題を中心にお届けできるかと思います。