Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

DMU8100系第3・4編成、マニラに到着

2020年03月31日 00時51分44秒 | フィリピン
3月28日、INKAで製造されたPNR向けDMU8100系第3・4編成の2編成がマニラに到着しました。前回のDMU2編成がマニラに到着した2月9日は大きな話題となりましたが、今回は世界中がコロナ問題で騒がれている中、マニラ首都圏はほぼ閉鎖され、ほとんど話題にはなりませんでした。


なお、PNRでは2週間前から始まったマニラ首都圏のロックダウンに合わせ、LRTやMRTも含め運休されており、今後、運転再開される見通しが立たない中、今回導入された編成の試運転が実施されるのか注目されますが、日本よりもコロナ問題は深刻な状況で、かつ、経済活動はほぼ機能していない状況では試運転も難しいのかもしれません。

PNR(フィリピン国鉄)近況報告-2020年2月

2020年03月09日 14時52分09秒 | フィリピン
大変ご無沙汰しておりますが、今年1月13日のご報告でもお知らせしましたように、先月2月21日から3月1日にかけて、マニラ、ジャカルタ、ジャワ島東部のマディウンとスラバヤに行って参りました。
マニラではウチの家内と子供たちと会うのが目的でありますが、今回も前回に引き続き、PNR(フィリピン国鉄)訪問を実施し、現状について調べてきました。また、ジャカルタにおいてはこちらも恒例ですが、ジャカルタ周辺で活躍する元国鉄型の205系や203系の現状について調査などを実施しましたが、今回、ジャカルタにおいては実質2日間しか滞在できず、詳細な調査などについては次回に持ち越しとなりました。その他、ジャカルタから列車でジャワ島東部のマディウンにあるインドネシア国営車両メーカーのINKAを訪問し、現在、製造中のPNR(フィリピン国鉄)向け車両を見学し、ついでにジャワ島第二の都市であるスラバヤまで足を延ばしました。
今回、10日間という日程の中で、上記のことをやるとなると非常にタイトなスケジュールで、マニラ〜ジャカルタ間については深夜便を利用したものの、ジャカルタからマニラに到着するやいなや疲れが溜まっていたせいか、だるさと咳の症状が出てしまい、帰国後にもしや最近流行のコロナウィルスによる感染かもと心配し、病院で診察を受けた結果、インフルエンザに感染している恐れがあるとのことで、大きな問題にはなりませんでした。しかしながら、副業の仕事を3日間休まざるを得なくなり、これであれば余裕を持ってスケジュールを組んだほうが充実した調査ができたかもと反省しているところで、睡眠不足と無理なスケジュールでの行動は禁物ということで反省しているところです。

それはともかく、今回もPNR(フィリピン国鉄)について調べてきましたので、まずは簡単に2月下旬時点ということでご報告させていただきたいと思います。
また、Tutuban車庫やCaloocan工場内、PNR駅などの施設内での撮影については、PNRから撮影許可が求められますので、予め撮影許可の申請を行い、PNR本社事務所で撮影許可証の取得を実施した上で撮影を実施しておりますのでご承知のほどよろしくお願いいたします。

まずはキハ59の「こがね」ですが、現在も朝はCalamba〜IRRI〜Calamba〜Alabang〜Tutuban、夕方はTutuban〜Alabang〜Calamba〜IRRI〜Calambaに運行されおり、土曜日夕方と日曜日朝の運転はされていません。この列車の定員は全部で82名で、各駅で乗車制限があります。朝運行される上りTutuban行きはIRRI〜Calambaの1つ手前のPansol間までが定員82名であり、順次早い者順で着席できます。Calambaより北側についてはも席に余裕がある場合は切符の販売が実施され、列車の到着間際に各駅に切符の販売枚数がお知らせされます。また、定員82名という枠はあるものの、運転席後部にあるラウンジ室の席を解放し、定員数を少々超えて乗車させており、かつフィリピン国鉄の社員もこのラウンジ室の席を利用しています。おおむねAlabangより北側の区間においては定員に達するため、この列車に乗車することは難しいですが、降車においては各駅に停車するため、降車は降りたい駅で降りることができます。
逆に夕方のIRRI行きですが、平日において列車はTutuban始発であるものの、Tutuban〜Dela Rosaの1つ手前のVito Cruz間は利用できず、実質回送扱いとなります。(フィリピン国鉄職員は乗車可) Dela Rosa駅では43名、FTI駅では20名、Bicutan駅では19名が利用可能で、Sucat駅とAlabang駅においては席に余裕がある場合は利用可能となります。日曜日においてはTutuban駅で72名、Dela Rosa駅とFTI駅で5名ずつが利用可能で、始発駅のTutuban駅から利用可能で、Bicutan駅、Sucat駅、Alabang駅で席に空きがあれば利用可能となります。


時刻については、
MSC218-MSC821 Calamba4:33〜IRRI5:09 5:22〜Calamba5:59〜Alabang7:13〜Tutuban8:25(運転日:平日と土曜日)
MSC1708-MSC2321 Tutuban17:06〜Alabang18:19〜Calamba19:33〜IRRI20:09 20:22〜Calamba20:59(運転日:平日と日曜日)



続いて、キハ350ですが、PNRの新色に変更されたキハ3519 キハ3518は昨年12月16日よりAlabang〜IRRI間の3往復半の日中運用に充当されていましたが、度重なる投石により乗客にケガを負わせる事故が発生し、私が訪比した1週間前の2月中旬頃には残念ながら運休に追い込まれ、楽しみにしていたAlabang〜IRRI間の列車の乗車はできませんでした。
現在、この新色のキハ350はTutuban車庫に収容され、ガラスからポリカーボネートへの変更が実施され、投石避けネットが外された綺麗な姿を目にすることができます。いずれこの編成は同区間に運行されるものと思いますが、是非とも次回は乗車して、Calamba付近で聳えるMakiling山を見たいものです。


また、その他のキハ350ですが、キハ354 キハ353はCaloocan工場に収容され、キハホワイトの姿で編成がバラされており、残りのキハ3511 キハ358は今回確認していないものの、ビコール地方のコミュータートレインとしてSipocot〜Naga間でDL牽引の元、運用に充当されているものと思われます。


キハ52についてですが、昨年、国鉄色のキハ52-122が一時的にTutuban〜Gov.Pascual間を1両単独で運行されていたものの、床下機器などの不調から運用に充当されることがなくなりました。現在、このキハ52-122についてはCaloocan工場に収容され、なんと復活に向けて整備が実施されています。他の形式と同様にガラスからポリカーボネートへの変更と塗装変更が実施されるようで、今後は新色を纏い投石ネットのない姿でお披露目されるのかもしれません。


その他のキハ52については、キハオレンジのキハ52-127とキハ52-137は修繕の予定がないのか、トラバーサーの南側に留置されたままで、唯一新潟色のキハ52-123は以前と同様に倉の中で部品取用ということでひっそりと眠ったままでした。
キハブルーのキハ52-102 キハ52-120 キハ52-121の3両についても、Naga車庫に留置されたままかと推測されます。



203系ですが、5編成が使用できる状態で、そのうち2編成についてはインドネシアINKA製の冷房装置で従来のAU75と同等の42,000kcal/hrの冷房能力のあるI-CONDのACI-4202に換装され、INKAの従業員が整備と調整のために作業に当たっていました。また、残りの3編成については今後中国製の冷房装置に換装する予定として、冷房装置を目にすることはできませんでしたが、今後は中国製のものに換装されるものと思われます。
この他、他形式と同様にガラスからポリカーボネートへ変更する工事が実施されており、投石ネットのない姿を目にすることができるかと思いますが、この形式においても新色への変更が実施されるものと思われますので、白色基調で青のストライプまたはINKA製造の新型客車と同じオレンジのストライプを纏って登場するのかもしれません。
運用区間は南方線のTutuban〜Alabang間とTutuban〜Calamba間のみで、北方線の終点であるGov.Pascualには機回し線がないため、北方線には入線できません。また、PNRの時刻表には列車が設定されていても、実際には運休中の列車もあり、例えばTutuban〜Calamba間に設定されているMSC621列車とMSC1908は運休中であります。


DL917はPNRで唯一オレンジ色のDLとして活躍し、今後のDLもオレンジ色に変更されるものと思われます。


INKA製の冷房装置はAU75に似ているが、車内の保温にはかなり優れたもので、以前に比べて涼しく快適になりました。


ガラスからポリカ−ボネートに変更されているものが登場しつつある現状、203系でも投石ネットが外され、順次、このような綺麗な姿を目にすることができます。是非、ジャカルタで活躍する日本の中古電車でもこのような姿を見たいところですが、果たして実現するのでしょうか。


203系の編成表については以下のとおりです。(左側がTutuban寄りで、G=発電機、特に記載のないものはAU75搭載、編成番号は発電機(G)が搭載されている車両の編成番号を基準にしています)
Tutuban yard(計32両)
05 M14 T114 M’120 M121 Tc3(G) INKA製ACI-4202に換装
06 M’12 T5 M9 M’9 T'c3(G) INKA製ACI-4202に換装
04 M12 T6 M’15 M10 Tc4(G) AU75搭載
07 M’119 T9 M13 M’10 T'c107(G) AU75搭載(M13=シルバー・オレンジ帯)
02 M’8 T7 M11 M’11 T'c4(G) AU75搭載(発電機故障中)
予備
T113 M’13 T8 M7 M’14(T8 M'14=シルバー・オレンジ帯、T113 M’13は窓ガラスなし)
M15 T10

Caloocan rolling stock(計7両)
予備
01 Tc107(G)
03 Tc5(G)
M119 M’121 M120(M120=シルバー・オレンジ帯)
倉庫の中(ほぼ部品取り?)
M8(シルバー・エメグリ帯)
損傷(復帰はほぼ無理?)
M’7

08 T'c5(G)は確認できず。

続いて2009年に導入されたPNRの韓国Rotem社のDMR1型車両について簡単にご報告します。
導入されてから11年を迎えるDMR1型ですが、現在、北方線のGov. Pascual〜南方線のBicutan間、そしてその運用の入出庫を兼ねてTutuban〜Gov. Pascual間の運用に充当されています。
使用できる編成は3編成のみで、そのうち新色の2編成が運用に充当され、使用できない車両の修繕の予定については未定のようです。
各車両の状況については以下のとおりです。
左がTutuban 右がAlabang/Gov. Pascual

Tutuban yard
DMR-09 ITR-05 DMR-05 使用可能(新色)
DMR-10 ITR-06 DMR-06 使用可能(新色)
DMR-02 ITR-04 DMR-04 使用可能(ブルー)
DMR-03 ITR-01 DMR-07 使用不可(シルバー)
     ITR-02 DMR-08 使用不可(シルバー)
     ITR-03 DMR-12 使用不可(シルバー)
          DMR-11 使用不可(シルバー・損傷)

Caloocan rolling stock
DMR-01 使用不可(ブルー)



最後に昨年12月から導入されたインドネシアINKA製の8000系3両編成と8100系4両編成ですが、現在の運用区間はTutuban〜FTI間に限定され、4両編成の8100系は2月20日〜3月2日にかけてフリーライドが実施され、8000系と同区間で運行されました。
組成状況は3両編成、4両編成ともに先頭車にエンジンが付いており、中間車にはエンジンが付いておらず、これはRotemのDMUとも同じ組成になっています。


2月24日のINKA訪問時においては8100系の第3編成と第4編成が落成し、あとは東ジャワ地区において規定の試運転が実施されるのみの段階でしたので、今月あたりにはマニラに到着するのかもしれません。
今後、4両編成の8100系はTutuban〜Alabang間で使用される予定ですが、クリアランスなどの調整などがあるようで、しばらく本格的な運用には時間がかかるのかもしれません。


また、このINKA製のDMUはINKA基準で車両が製造されたため、車両の巾は2990mmと他の車両に比べると広いために、プラットホームと接触等が生じる可能性があるということで、多くの駅においてレールを軌道センター寄りに約50mm移動させる工事が実施され、まだ乗り入れていないSucat駅においても実施済みです。



以上、PNRの状況について簡単に報告しましたが、INKAではDL(CC300)3両と客車15両の製造も実施されており、おそらく今月あたりには完成するものと思われますが、これらの車両のマニラ到着は今年前半(6月頃)までかと推測され、203系と同様にTutuban〜Alabang間で使用されると同時に大幅な増発が実施されるものと思われます。INKAからの新車についてはマニラ首都圏で使用される予定ですが、従来の車両をビコール地域でのコミュータートレインとして活用することも計画されており、かつ、かつて使用されていた14系もポリカーボネートへの変更が実施されていますので、橋脚の強度の問題が解決されれば、ビコールエクスプレスの復活もあり得るのかもしれません。


それからいろいろと話題になっています東京メトロ丸ノ内線で活躍した02系のFEATI大学への譲渡ですが、私が訪問したのが土曜日ということで、学校には先生や担当者がおらず、学校敷地内へ入って撮影はできませんでしたが、大学のゲートからスマホで撮影してみました。
場所はLRT1号線のCariedo駅からすぐで、マニラの母なる川であるPassig川に面していますので、今であればLRTの電車内から02系を目にすることができますが、車両を建物内に収容するようですので、現状の姿を撮影したい方はお早めに撮影されたほうがよろしいかもしれません。
なお、平日であれば大学の先生もいらっしゃるかと思いますので、ゲートの警備員に聞いて撮影許可をいただくことをおすすめします。