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PNR(フィリピン国鉄)近況報告-2018年6月

2018年06月19日 17時00分30秒 | フィリピン
約2ヶ月ぶりの更新となりますが、先日、5月25日から6月3日にかけて、マニラとジャカルタへ計10日間滞在しましたので、そのご報告ということで簡単に説明などさせていただきたいと思います。今回の遠征はマニラに居る子供の誕生日が5月31日ということもあり、そのお祝いということでマニラへ行くことにしましたが、前回、ジャカルタへの訪問は昨年3月以来であり、かつ、武蔵野線の205系がジャカルタへ譲渡され第1陣が到着とのことで、久しぶりにジャカルタへ訪問することも視野に入れ考えていたところ、やはりフィリピン航空を利用して両都市を滞在することが最も時間的に効率が良く、コスト的にも僅か全部込みで4万円ちょっととレガシーキャリアとしてはお得でしたので、昨年3月時と同様にフィリピン航空で行くことにしました。
マニラ、ジャカルタ滞在時においては今回もフィリピン国鉄(PNR)とKCI(PT.Kereta Commuter Indonesia)の撮影ならびに状況を確認しましたが、本日はPNRの近況報告ということで、述べていきたいと思います。


6月1日時点でのPNRの運行区間はTutuban〜Calamba間の56.16kmとBicol地方のSipocot〜Naga間の37.07kmのみにとどまり、かつて、マニラ〜ビコール間の14系寝台車などによるBicol Express、キハ59によるMayon limited(Isarog Limited Express)、キハ52による運転は現在も実施されておらず、Naga〜Legazpi間の101.43kmについてはキハ350により2015年9月21日から1往復のみ運行が開始されたものの、その後は車両故障と車両不足に伴い運休に追い込まれました。

現在の運行区間であるTutuban〜Calamba間では、Tutuban〜Calamba間に1往復、Tutuban〜Mamatid間に1往復、Tutuban〜Alabang間に19往復の列車が運行され、Tutuban〜Alabang間では朝夕のラッシュ時は毎時30分間隔、データイムにおいては毎時1時間間隔で運行されていますが、今回の訪問時においては車両が整備されたことから、スキップトレインと称される臨時列車が運転されることが多く、データイムにおいても30分間隔で運転されることが頻繁にありました。
また、Calamba発及びMamatid発については朝Tutubanに向けて、夕方、TutubanからCalamba行きとMamatid行きの列車が設定され、Tutuban〜Calamba間は基本的に韓国RotemのDMU3両編成、Tutuban〜Mamatid間については基本的に203系が使用されています。
一方、Bicol地方のSipocot〜Naga間のコミューターについては、今回、急遽日程の都合上、Nagaへ行くことができませんでしたが、キハ350の第2編成であるキハ358+キハ3511がDL牽引の元で運用されていると推測され、元新潟色で現在ブルートレイン色に変更されたキハ52-102+キハ52-120+キハ52-121は休車状態であると推測されます。
ビコール地方のコミューターについては、国道から離れているSipocot〜Naga間のほうが、国道に沿っているNaga〜Legazpi間よりも需要が多いためにSipocot〜Naga間の運転を優先させた結果、Naga〜Legazpi間は運転休止となっていますが、今後、車両に余裕ができればこの区間の運転を再開するとのことです。
この他、マニラ〜ビコール間の長距離列車の運転については先程も述べましたように運休中ということで、運転再開にあたってはLos Baños〜Sipocot間の橋梁の補強、補修工事が必要とのことで、今後、工事に取りかかる予定とのことです。


続いて、車両の使用状況ですが、6月1日現在、203系4編成分(01、02、05、06編成)、韓国RotemのDMU3編成分(1編成分は予備)、キハ350形1編成分(キハ3518+キハ3519)が稼働し、今年1月のマニラ訪問時に比べて、稼働できる編成は多くなっていました。
キハ350形の運用状況は1日に2〜3往復し、2両編成であることから乗車できる人数も限られることから終点に近い駅を除いて、乗車制限がかけられます。(主要な駅で100人、小さな駅では30人が乗車できます)


203系については今年1月の訪問では04編成のみ運用に充当されていたものの、発電機の交換が徐々に実施され、4編成が運用に充当されていたため、車両の運用面でも余裕あるものとなり、データイムにおいては臨時列車が運転されていました。


また、現地ではKiha Orangeと称されるキハ52の3両編成(キハ52-137+キハ52-127+キハ52-122)については、今年1月時点ではDL牽引により運用に充当されていましたが、6月時点では運用に充当されることがなく、Tutubanのヤードに留置されていました。


今後の車両整備と車両計画ですが、今年1月にPNRはインドネシアの車両メーカーであるINKAとの契約により、来年第三四半期を目処にDMU2編成分(1編成3両)が落成する予定で、続いてこれとは別に今年5月末の契約で同じくINKAが来年末から再来年初めにかけてDMU4編成分(1編成4両)と液体式DL+客車5両を3編成分が落成予定とのことで、これらの車両についてはマニラ首都圏のコミュータートレインとして配置される予定です。



同時に現在使用できない203系についても発電機の取り替えを実施し、整備が行われる予定で、Caloocan工場に入場しているキハ350形(キハ354+キハ353)の整備、キハ59こがねについても長期離脱しているものの整備中であり、あとはペイントが実施される予定です。(新色は未定とのことで、塗料の到着待ちの状況です)


その他の話題としては、Caloocan〜Blumentritt間の運転再開に向けて動きがあるようですが、具体的にいつから運転再開になるのか、運転本数は1日何本になるのかについては今のところ発表されていません。

以上、ここまでがPNRの現状であり、少しずつ改善されているものの急増する沿線の利用客を高速かつ大量に輸送するためには抜本的な整備が必要であり、マニラ首都圏及び近郊においては日本政府からの支援が必要とされるところであります。また、当初予定されていたLos Baños以東においても中国の支援の元で整備が実施される予定でしたが、その支援が現在も実施されておらず、今後、これらの区間でも整備が実施されるのか不透明であります。