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PNR(フィリピン国鉄)に登場したHybrid Electric Trainに乗車

2020年02月10日 01時46分53秒 | フィリピン
以前もご紹介しましたHybrid Electric Train(HET)ですが、科学技術省(DOST)の元で主に韓国などからの各種部品を使って組み立てられ、2019年4月24日には初めて営業走行されるということで、Aalabng〜Biñan間でセレモニーを兼ねて営業運転が開始されました。
続いて、その年の5月6日〜12日、5月14日〜23日においても無料による試乗会が実施され、Alabang〜Calamba間に1日3往復が運行されました。
時刻については以下のとおりです。
Loop1 Calamba6:02→Alabang7:13 7:40→Calamba8:51
Loop2 Calamba9:32→Alabang10:43 11:09→Calamba12:20
Loop3 Calamba16:02→Alabang17:13 17:35→Calamba18:46


約半年前にも報告しましたように、私はちょうど運用期間中の5月16日〜21日の6日間、フィリピンに滞在し、計3回に渡ってこのHETに乗車しました。
1回目は5月16日にSan Pedro〜Alabang間
2回目は5月17日にSan Pedro〜Calamba〜Muntinlupa間
3回目は5月21日にAlabang〜San Pedro間

マニラに到着早々、まずはこのHETに乗車したいということで、Alabangのモールへの買い物がてらに乗車してみることにしました。San Pedro駅ではこの列車に乗車するにあたってIDもしくはIDに代わるパスポートの提示がセキュリティーガードマンから要請され、子供を含めて乗車する名前の記入を求められました。手続きとしてはこれだけであり、無料ということからも特に乗車券の配布はありませんでした。列車は定刻にSan Pedro駅に到着すると、車内は日中ということもあるのか、それとも沿線住民にはこの列車の周知が積極的に実施されていないのか、思ったよりも乗客は少なく、座ることもできました。列車はAlabangには定刻に到着し、乗客を降ろすとすぐにCalamba側に引き上げて行きました。この列車は上記の時刻でもわかるように折返Calamba行きということで、11:09に発車するのですが、この前にTutubanから列車が10:48に到着し、折返11:02に発車する列車がありますので、この列車の運行に妨げない措置として、HETが一時的にCalamba側に引き上げたわけでありますが、その一部始終を観察するためしばらくAlabang駅で様子を伺っていました。

下の写真は203系を牽引したDLが機回し線を通っているところで、そのCalamba寄りにはHETが一時的に待避されているところです。


2回目は初回の乗車の翌日の17日にも乗車しましたが、今度はAlabangとは逆方向のCalambaまで行ってみようということで、またまた子供と家内を連れてHETに乗車してみることにしました。San PedroからCalambaまで約1時間、折り返してCalambaからまたまたAlabangまで行くことになるのですが、これが1時間ちょっとと計2時間以上の旅になりますので、飽きてしまうのではないかと思っていましたが、家内はちょっとつまらない様子であったものの子供はそれなりに楽しめたようでした。Calambaまでの列車の旅はあっという間の1時間で定刻どおりにCalambaに到着しましたが、Calambaの後方に位置するMt.Makilingは麓は見えるものの天候が思ったよりも安定していないのか頂上付近は雲で覆われていました。


ここで車内の一部を紹介したいと思いますが、このHETは1両の長さがおよそ12mで、5両編成で組成され、Alabang側の先頭車1両は主に多くのバッテリーが搭載され、この車両には乗客は乗車することができません。残りの4両については乗車が可能で1両につき約50名が乗車できますが、各車両の行き来はできない構造にななっています。

Alabang側の先頭車1両の乗務員室後方にはたくさんのバッテリーが搭載され、一般乗客はこの車両には乗車はできません。


Calamba寄りの残り4両は一般乗客専用の車両として利用が可能で、1両の長さが日本の電車よりも短い車両ではありますが、車両の床面が低いことと高さがあることから圧迫感はそれほど感じません。


妻面の貫通部は非常用でいざという時はここから避難ができるのかもしれませんが、各車両への行き来はできない構造になっています。


各車両間の状況は写真のとおりで、連結装置と高圧ケーブルが通っています。連結装置は斜めの動きに弱いようで、おそらく60km/h以上では走れないのかもしれません。


乗務員室は比較的窮屈でやっと入れる状態で、最近、JR東日本の新車で見られるような車両と比べたら天と地の差ではありますが、太った方が運転士である場合は運転に支障を来すのかもしれません。また、各装置は非常にコンパクトにまとめられています。


話しが途中になりましたが、Calambaから折り返したのち終点のAlabangまで乗車することになるのですが、Calambaを発車した直後、San Cristobal Bridgeを渡ったあたりから強い雨に見舞われました。それでも列車は通常の30〜40km/hのスピードで走っていたのですが、終点Alabang1つ手前のMuntinlupa駅を出たところで、列車は止まってしまいました。前方を見るとやはりこの地域でもにわか雨に見舞われたようで、排水状況が悪いのか水が引いておらず、それがPNRの軌道部分においても浸水しており、水深が約30cmある場合は運転不可能ということで、列車は逆走してMuntinlupaに戻ってきました。残念ながらAlabangまで行けませんでしたが、マニラ到着初日と3回目にこの区間は乗車できましたのでヨシとし、今回のHET初乗車はある程度満足のできる旅となりました。


その後のHETの状況ですが、今まで所有がDOSTであったものをPNRに譲渡し、引き続きPNRで営業用車両ということで運行される予定でしたが、残念ながら何らかの理由で営業には至っておらず、車両はCalambaに留置されたままの状態のようです。引き続き、Alabang〜Calamba間の日中運用として運行されるのではないかと個人的には思っていましたが、先日、お伝えしましたようにAlabang〜IRRI間の日中運用にはキハ350が昨年12月のダイヤ改正から充当され、一時期、投石や車両の不調により、この区間の運行は中止されていたものの、1月下旬から再びキハ350が運行されるようになり、現在もAlabang〜IRRI間で運行されているようです。


最後にもう1つ嬉しい話題ですが、昨年12月にインドネシアINKAから新型8000系DMU3両編成が2本、マニラに到着し、約1週間後に運用に充当され、華やかなデビューとなりましたが、昨日9日にも同じくINKAから新型8000系(8100系)DMU4両編成が2本、マニラに到着しました。今回到着した車両の運用区間については報道されていませんが、現在、新型DMUの運用区間が主にTutuban〜FTI間であり、今回の車両については4両編成ということで、Tutuban〜Alabang間に充当されるものと思われます。
また、残りの新型DMU4両編成2本のマニラ到着は東ジャワ地域での規定時間の試運転を経たのち、スラバヤから船に載せられ約1週間で到着しますが、おそらく来月あたりにはマニラに到着するのかもしれません。この他、DL+5両客車の3本についてもDMUに続き現在製造中かと思いますが、今年前半にはマニラに到着するのかもしれません。