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フィリピン国鉄(PNR)、乗務員室に添乗-その3

2024年04月28日 16時20分35秒 | フィリピン
フィリピン国鉄(PNR)の乗務員室に添乗の記事が途中でしたので、本日はその続きということで進めていきたいと思いますが、マニラ首都圏における先月28日運休後から現在までの動きを簡単に説明しますと以下のとおりとなります。

先月3月27日を最後にPNRはマニラ首都圏の運行を続けてきましたが、28日から運行が休止され、休止後の最初の2、3日は運休準備や南北通勤鉄道(NSCR)の建設に伴う資材等を運ぶ列車が回送されたものの、南方線のTutuban〜Alabang間は4月あたま頃から列車の運行は不可能になり、鉄道敷地界にはフェンスの設置とレールや枕木の撤去作業が徐々に実施されています。
一方、北方線のTutuban〜Gov.Pascual間については、NSCRの建設に伴う動きがない模様で、時々、回送列車が通過するのが目撃されており、Caloocan WorkshopとTutuban Yardの行き来も確保することから、こちらのほうは南方線のような措置は実施されていないようです。


乗務員室に添乗ということで前回はSta.Mesaまで来ましたのでその続きですが、Sta.Mesaからは複線になり、マニラの母なる川であるPasig川を渡ります。ここにはSta.Mesa地区とPandacan地区を結ぶ多くのスケーターがPNRの線路を使って以前から営業しており、時々、列車と接触等の事故が発生していました。スケーターを営むのは沿線周辺の住民で、竹や木工で作成した手作りのスケーターを元に簡単に営業できるのかもしれませんが、特にこのPasig川ではスケーターが多く行き交う姿が見られます。南方線は先程も説明しましたようにNSCR等の整備によりレールや枕木の撤去作業が実施されていますので、いつまで営業できるのか、また、スケーターで生活の糧を得ていた人達の生活はどうなるのでしょうか。


Pasig川を渡るとPandacanに到着です。Pandacanから進行方向右側にSkywayと言われる高速道路がAlabangまで並走するのですが、このSkywayはマニラ北方のNLEXとマニラ南方のSLEXの2本の高速道路を結ぶ道路であり、マニラ首都圏では重要な道路でもあります。
また、Gov.PascualからPNRに沿って位置する高速道路であるNLEX Connector Rd.もPandacanまで近い将来延びることになり、マニラ首都圏を南北に移動する上では2つのルートで利用が可能となります。
下の写真は2010年1月にPandacan付近で撮影したもので、この頃は韓国輸出入銀行の融資により、フェーズ1としてTutuban〜Alabang間の軌道補修、駅舎修繕及びホームの整備、韓国ROTEMから新型気動車18両の導入などが実施された直後でした。
ROTEMの新型DMR1型はTutuban〜Bicutan間で8往復が運行され、一部単線区間が残る中で運行されていましたが、翌月には2倍近い増発とSucatまで延長運転が実施されました。


続いてPacoに停車しますが、Pacoには立派な旧駅舎があり、その隣には新駅舎の建設が途中で長期間ストップしてしまったのか、廃虚化した駅舎が現在も残されていますが、Skywayを挟んで駅舎の反対側にある日本のキリシタン大名である高山右近の銅像もきっと嘆いているのかもしれません。


Pacoを出発し最初の踏切があるPedro Gil St.を過ぎると、列車は左に大きくカーブしますが、それを過ぎるとBicutanまで約10kmの長い直線区間となります。
San Andres、Vito Cruzを過ぎて、以前の駅名はBuendia(Gil Puyat)、現在はDela Rosaに停車します。
駅名で言ったら主要な道路名でもあるBuendia(Gil Puyat)のほうが、小さな通り名であるDela Rosaよりも有名なのですが、以前、ホームがあったBuendia駅はホームの有効長が3両分しかなく、203系等の列車はホーム直近の踏切に停車してしまうことになりますので、新たに旧ホームの南側にホームを整備し、駅名も直近の踏切の道路名からDela Rosaとして、2017年9月より使用されています。
下の写真は手前がBuendia駅のホームで、Buendia(Gil Puyat) Ave.とDela Rosa St.の各踏切に挟まれた位置にあり、向こうに見えるのはDela Rosa駅のホームです。

下の写真は2008年3月に撮影したBuendia駅で、Rotemから新型DMUの導入により、ホームの嵩上工事が実施されていました。
この当時から私は列車が長編成化された場合はこの位置にホームがあるとどちらかの踏切の閉鎖時間を長くするので、Buendia Ave.の北側かDela Rosa St.の南側にホームを整備すべきと思っていたのですが、あとになってからDela Rosa St.の南側に新たにホームを設置するとはフィリピンの人々は深く考えていないのかもしれません。
NSCRのゲージも当初は1067mmゲージで計画されていたものの標準軌の1435mmを採用し、また、Monumento〜North Ave.間の運行をなぜMRT3号線にせず、LRT1号線にしてしまったのか、本当に不可解なところが多くあり、我々日本人には理解に苦しむところがあります。


今日はこのへんで失礼しますが、次回はもう少し乗務員室での運転士さんや助手さんの仕事の様子についてご報告したいと思います。


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