散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

ハイエナ的野性を持つ「サガン鳥栖」のボール奪取~尹晶煥前監督の指導

2015年05月24日 | スポーツ
改装なった等々力陸上競技場に初めてサッカー観戦に出掛けた。二ヶ領用水に沿って約30分歩いて等々力公園に到着だ。食べ物屋の出店が並ぶ中を見つくろって買いながら通り抜けると、改装後に階層化されたスタジアムが目の前だ。

試合で目立ったのは開始直後からのサガンのボール奪取だ。素早く敵に寄り、仕掛ける体勢を採り、相手を追い詰める。少しのボールコントロールの乱れを突いてタックルに入る。繋ぎの横パスを出させて、その受け手に次の守備者が詰め寄る。これでタックルに入れる状態を作り出せる確率は高まる。

タックルも深い。川崎Fの選手がタックルに入れないだろうと予測している状況においても、その予測よりも深く入るから、かわせずに引っかかる場面が見られた。そこで中盤を支配してボールをちらし、右サイドから白選手のボールコントロールとスピードで突破を図る。また、カットして速攻を狙える場合は、中央から豊田の動きに合わせる。その攻撃でフロンターレを押し込んだ。

この鳥栖のボール奪取スタイルは野生に生きるハイエナの狩りを彷彿とさせる。一言で云えば“出足・狙い・連携”だ。
先のW-Cupでは、このやり方が常識化していた。特に第一ディフェンダーが敵の動きを制限すると共に、追い詰める体勢に入り、次ぎのディフェンダー以下が連携して予測を統一させ、最終的なボール奪取に向かう。
 『日本チームが野生動物だったら餓死140615』
 
一方、日本チームは出来ず、続く日本での大会においても意識の向上が見られなかった。しかし、サガンは前監督尹晶煥(ユン・ジョンファン)の指導によって身につけたボール奪取から速攻への切り替えに余りにも見事に成功し、J1へ昇格、昨年度の前半、首位の地位を占めた。しかし、監督を突然解任される。真相は藪の中だ。その前々年度5位の成功によって人件費の高騰を招いて経営難になったとも云われる。それよりももっと下世話な話かもしれない。

前半の同点シュートは、看板としている得意の速攻から豊田選手が僅かに空いていたゴールのニアを狙ったものだ。

ハーフタイムに用を足しに席を離れた。しかし、前日の切符手配で、正面での客席で、向かって中央右側、回りが殆ど空席の処を選ぶ。従って、日経に載っていたハーフタイムの15分間で全員が用を足せる「トイレ」のコンセプトを確かめられない。満員で初めて効果が判るから。3階の客席に対してトイレは2階、その数から万里の長城の様に連なる便器を想像していたが…数は場所毎に区切られ、一つの規模は大きくない。他のエリアではもっと長い処もある?

前半開始早々、川崎Fの逆襲で右サイドから大きく曲がるクロスを入れられ、GKが飛び出したが、ボールを取れず、その混戦からバー直撃のシュートを打たれる。鳥栖の課題がさらけ出された場面だ。

先取点もクロスを入れられた混戦から、杉本にフリーでボレーを許して入れられた。シュートそのものは、やや高いボールを瞬間待ってやや低い処で叩いた見事なものだ。しかし、サガンのゴール前、DFはゴールを守るとの意識から切り替えが出来ず、前に出て体でシュートを防ぐ動きを見せない。杉本にボールの高さをやや低くする余裕を与えしまった。
クロスに対するGKの予測、ゴール前での混戦でのDFの判断、課題を残す姿であった。

後半、サガンは早めに選手交代を行う。しかし、主力選手の疲れが徐々に表れる。前半の“出足・狙い・連携”を、交代選手が全体にトリガーを掛けるまでは至らない。川崎Fのボールさばきに、サガンの動きの遅れが目立つようになる。

結局試合は後半、川崎Fが大久保から杉本へトップを入れ替え、サイドを広く使って、特に左MFの突破からクロスを生かすやり方に切り換えた。川崎Fは活路を見出し、サガンは弱点を突かれ、こぼれ球から大久保に決められる。
その後、サガンは左からの突破で、川崎FのOGを導いて同点にしたが、FKから杉本にヘッドで合わされ、突き放された。

尹晶煥の韓国代表監督就任が噂されている。
かつての朴智星(パクチソン)に見られるように、韓国サッカーは激しい動きと忠実な守備から速攻に移る方式に適合するように思う。今はどうであろうか、これからのW-Cup予選が楽しみだ。