朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

京都賞 2017

2017-11-12 | 京都の文化(秋)

毎年、京都賞の表彰式が11月にあり今回が33回目です。京セラ創業者の稲盛和夫氏が私財を投じて創設した稲盛財団が、先端技術、基礎科学、思想・芸術の3つの分野から受賞者を選定します。



「京セラ」とは、当初は京都セラミックという名称でした。京都の伝統技術である清水焼と同じ原理で作られる、高純度のセラミックスは熱に強く、微細加工にも適しているので、トランジスターの集積回路(IC)の基盤として採用されてきました。その初期の頃から優れた技術力で京セラ社はIC製造の急速な進歩と大量生産の波に乗って、大きく成長し世界的な企業になりました。



受賞者に贈られる工芸品メダル(金、再結晶エメラルド、ルビー)、表彰状(ディプロマ、「一生与抽釘抜楔」[一生ひとのために釘を抽(ぬ)き楔(くさび)を抜く](臨済宗妙心寺派管長墨書)が展示されていました。賞金はお一人に5,000万円。表彰式会場は京都国際会館です。



高松宮妃が名誉総裁として臨席されました。安倍首相の祝辞は、経産省政務官の某氏が代読(役所としては地位のあまり高くない政治家を送ってますね。稲森さんがかつて民主党が政権を取った時に、JAL再建などに協力したせいかもしれません??)

受賞者は3名、内お一人は日本人で超高性能トランジスタを開発した三村氏、植物の光合成の研究者ファーカー氏(オーストラリア)、そして音楽史研究者タラスキン氏(米国)です。



京都聖母女学院小学校の生徒さんが合唱を披露してくれました。

最後の曲は「青い地球はだれのもの・・」で、この歌は第1回の表彰式から歌われているそうです。

私は最も下っ端の専門委員を十数年前から担当しているので、自分の研究分野の人が表彰される年には招待状が送られてきます。

式が終わると、お向かいにあるグランドプリンスホテルで晩餐会が開催されます。

それが始まるまで、広い別室でカクテル、ワイン、清酒、ジュースなどがふるまわれました。



お坊さんも何人か参列していました。

たまたま目があった外国人ご夫妻と会話を交わすことができました。オランダ国の大阪総領事さんで、最近大阪に着任したとのこと。数年前には東京に勤務したそうで、日本の事情には詳しいかたでしたが、テクノロジーは分からないと言われたので、京セラ稲盛氏の成功譚、セラミクスとはどんなものか、ICとはなど「講義」してしまいました。汗 



この写真はご了解を得たのでupします。

さて宴会場への入り口には、主催者のトップの稲盛氏が金屏風の前で出迎えていました。

これが晩餐会のテーブルセッティング。指定席になっていて周辺には同業者の方々がいました。お隣は古巣の研究者からでしたが、私より相当若い世代でした。

メインゲストの方々、高松宮妃の入場があり、しばらくすると、・・



祇園甲部の芸妓さんが多数、拍子木を打ち鳴らしながら入場してきました。この花街の芸妓にだけ許された芸だそうです。



食事がかなり進んだところで、次は舞妓さんが美しい着物姿で登場し、もみじの枝を手にして日本舞踊を踊りました。



料理の写真を少しだけ掲載します。乾杯の直前にはウエイター、ウエイトレスが数十人一列に並んで壮観でした。



オードブル

牛肉のフィレステーキ



デザート



ホテルの車寄せで、舞妓さんの姿が見えました。

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翌日には、特別講演会がありました。



京都国際会館の庭のもみじは色づいていました。



講演は三村氏から始まりました。



一般市民も事前申し込みで聴講できます。

子供時代の話から始まり、小学校のころ親に買ってもらった本を読んで理科が好きになった、小学校の卒業文集に将来は科学者になりたいと。関西学院大学の理学部物理学科入学、その後大阪大学大学院で修士修了し、富士通に入社。今回の業績につながる発明までには失敗の連続だった。トランジスターの高性能構造を試作して国際学会で発表したところ、米国の研究者が同様なアイディアにたどり着いていることが判明した。わずか数ヶ月の先行差で勝てたそうです。その後、製造方法の改良があり、衛星放送テレビの受信機に使われることになって一挙に社会に貢献することができたとのお話でした。



この博士はオーストラリアのタスマニア島の農業技術者の家に生まれ、大学では物理学と数学を専攻。大学院では当初からの計画どおり植物学を研究しました。光合成の機能・数学モデルを作り上げ、地球環境問題の分析に活用されているとのこと。京都議定書の会議で初めて京都に来たときはオーストラリア政府チームの一員だった。驚いたことに、彼は若いときからクラシックバレーにも専門家、ダンサーとして活躍していて、現在もバレー劇団の運営者だそうです。



タラスキン博士はニューヨーク生まれ。祖父母はソ連出身(現ウクライナ)ユダヤ人。音楽家一族の両親に生まれ、音楽の歴史を「オックスフォード西洋音楽史」として5000ページに及ぶ著作を完成させました。

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