終戦の詔勅で「・・朕は時運の趨く所、堪へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ、以て万世の為に太平を開かむと欲す。・・」とありますがこの「堪へ難きを堪へ、忍ひ難きを忍ひ」の部分は全生庵・平井玄恭師がNHK心の時間で、稀代の禅僧山本玄峰老師が時の鈴木貫太郎首相に送った手紙に正法眼蔵・行持の言葉(注1)を引用して「・・結局、鈴木総理に玄峰老師が「忍び難いをよく忍び、行じ難きをよく行じて、一つ身体に気を付けて、今後の日本の再建のために尽くして頂きたい」 と書いたのを元にしている」と話されていました。調べると正法眼蔵の達磨さんの言葉は更に華厳経等の引用でもありました(注2)。
(注1)正法眼蔵・行持に、「初祖(達磨)、あはれみて、昧旦(まいたん、二祖慧可)にとふ、『汝、久しく雪中に立つて、当に何事をか求むる』。かくのごとくきくに、二祖(慧可)、悲涙ますますおとしていはく、《惟(ただ)願はくは和尚、慈悲をもて甘露門を開き、広く群品(ぐんぽん)を度すべし》。
かくのごとくまうすに、初祖曰く、《諸仏無上の妙道は、曠劫に精勤(しようごん)して、行じがたきを能く行じ、忍び難きを能く忍ぶ、豈(あに)小徳小智、軽心慢心を以て、真乗を冀(ねが)はんとせん、徒労(いたずら)に勤苦(ごんく)ならん》。
このとき、二祖ききて、いよいよ誨励(かいれい)す。ひそかに利刀をとりて、みずから左臂(さひ)を断て、置于師前(ちうしぜん)するに、初祖ちなみに、二祖これ法器なりとしりぬ。・・・」
(注2)・大方廣佛華嚴經卷第二十九・入不思議解脱境界普賢行願品に「諸菩薩行は行じがたきを能く行じ、忍びがたきを能く忍ぶ。」とあり。
・大般涅槃経高貴徳王菩薩品六にも「もし善男子善女人ありて大涅槃のために是の如き五事を具足し成就せんとして作しがたきを能く作し、忍び難きを能く忍び、施し難きを能く施す。いかんが菩薩よく難作をよく作す。もし人一つの胡麻を食して阿耨多羅三藐三菩提を得る者ありと聞ば、この言葉を信ずるゆえに無量阿僧祇劫常に一麻を食す・・・」とあります。
(注1)正法眼蔵・行持に、「初祖(達磨)、あはれみて、昧旦(まいたん、二祖慧可)にとふ、『汝、久しく雪中に立つて、当に何事をか求むる』。かくのごとくきくに、二祖(慧可)、悲涙ますますおとしていはく、《惟(ただ)願はくは和尚、慈悲をもて甘露門を開き、広く群品(ぐんぽん)を度すべし》。
かくのごとくまうすに、初祖曰く、《諸仏無上の妙道は、曠劫に精勤(しようごん)して、行じがたきを能く行じ、忍び難きを能く忍ぶ、豈(あに)小徳小智、軽心慢心を以て、真乗を冀(ねが)はんとせん、徒労(いたずら)に勤苦(ごんく)ならん》。
このとき、二祖ききて、いよいよ誨励(かいれい)す。ひそかに利刀をとりて、みずから左臂(さひ)を断て、置于師前(ちうしぜん)するに、初祖ちなみに、二祖これ法器なりとしりぬ。・・・」
(注2)・大方廣佛華嚴經卷第二十九・入不思議解脱境界普賢行願品に「諸菩薩行は行じがたきを能く行じ、忍びがたきを能く忍ぶ。」とあり。
・大般涅槃経高貴徳王菩薩品六にも「もし善男子善女人ありて大涅槃のために是の如き五事を具足し成就せんとして作しがたきを能く作し、忍び難きを能く忍び、施し難きを能く施す。いかんが菩薩よく難作をよく作す。もし人一つの胡麻を食して阿耨多羅三藐三菩提を得る者ありと聞ば、この言葉を信ずるゆえに無量阿僧祇劫常に一麻を食す・・・」とあります。