第三節、
二、人ははからいからすべてのものに執着する。冨に執着し、財に執着し、名誉に執着し、命に執着する。
有無、善悪、正邪、すべてのものにとらわれて迷いを重ね苦しみ、悩む。
ここに一人の人がいて、長い間旅をつずけ、とあるところで河を見て思った、「このかわのこちら岸は危ういが向こうは安らかに見える。」そこで筏を作り向こうの岸につくことができた。そこで「この筏は、私を安らかにこちらの岸へわたして . . . 本文を読む
第三節、真実の姿
一、この世のすべてのものは皆、縁によってあらわれたものであるから、もともとちがいはない。ちがいをみるのはひとびとの偏見である。
大空に東西の区別がないのに人々は東西の区別をつけ、東だ西だと執着する。
数はもともと一から無限の数までそれぞれ完全な数であって量には多少の区別はないのに、ひとびとは欲心からはからって多少の区別をつける。
もともと生死はないのに生死の区別を見、人の行 . . . 本文を読む
<第10番札所・田無山総持寺(田無不動尊)>西東京市田無町3-8-12
<第11番札所・亀頂山蜜乗院三寶寺(石神井不動尊)>東京都練馬区石神井台1-15-6
<第12番札所・寶勝山蓮光寺南蔵院(志村不動尊)>。東京都板橋区蓮沼町48-8
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第二章 人の心とありのままの姿
第一節 変わり行くものには実体がない
三、この世において、どんな人にもなしとげられないことが五つある。一つには老いないということ、二つには病まないということ。三つには死なないということ。四つには滅ばないということ。五つには尽きないということである。
世の人々はこの得がたいとこに突き当たり、いたずらに苦しみ悩むのであるが、仏の教えを受けた人々は避けがたいことを避 . . . 本文を読む
第二章 人の心とありのままの姿
第一節 変わり行くものには実体がない
二、この身は永遠に変わらないものなのか、それとも無常であるのかと問うならば、だれも無常であると答えるに違いない。
無常なものは苦しみであるのか、楽しみであるのかと問えば、生まれた者はだれでもやがて老い、病み、死ぬと気ずいたとき、だれでも苦しみであると答えるに違いない。
このように無常であって移り変わり、苦しみであるものを . . . 本文を読む
第二章 人の心とありのままの姿
第一節 変わり行くものには実体がない
一、 身も心も因縁によってできているものであるからこの身には実体はない。この身は因縁の集まりであり、だから無常なものである。
もしも、この身に実体があるならばわが身は、かくあれ、かくあることなかれとおもってその思いのままになし得るはずである。
王はその国において、罰すべきを罰し、賞すべきを賞して自分の思うとおりにすること . . . 本文を読む