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福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

なぜ今世界では疫病や異常気候が多発するか?

2020-07-14 | 法話
結論は世界の指導者の悪辣さが原因ということです。

妙法蓮華經文句では「瞋恚は戦争を起こし、貪りは飢餓を起こし、愚癡は疫病を起こす・・」とあり、
守護國界主陀羅尼經では「疾疫災難無量百千なるは国王の心掛け次第」とあります。以下に出します。

1、妙法蓮華經文句(隋の天台大師智顗の講義を弟子の灌頂が記録)に「瞋恚は戦争を起こし、貪りは飢餓を起こし、愚癡は疫病を起こす・・」とあります。「瞋恚増劇刀兵起。貪欲増劇飢餓起。愚癡増劇疾疫起。三災起故煩惱倍隆諸見轉熾。麁弊色心惡名穢稱。摧年減壽衆濁交湊・・」今は世界の指導者の貪瞋痴の三拍子が揃っているので、疫病の次は戦争・飢饉も相次いでおこるのかもしれません。

2、守護國界主陀羅尼經・阿闍世王受記品第十では父王を殺すほど非道であった阿闍世王が「なぜ自国では疾疫災難無量百千なるや」とお釈迦様に問います。お釈迦様は国主の心がけに依るとおっしゃいます。
地球規模でコロナや災害が多発している現在の状況は世界の指導者がいかに心掛けが悪いかを証明しています。

守護國界主陀羅尼經卷第十
罽賓國三藏沙門般若共牟尼室利譯
阿闍世王受記品第十
爾時會中摩伽陀國主阿闍世王。即從座起
偏袒右肩。右膝著地合掌恭敬。頂禮佛足而
佛もうして言く。
「世尊如來は今菩提樹下の我之國土にいまして。
陀羅尼及曼荼羅を説きたまふ。既に是のごとく無量功徳あり。何を
以ってか摩伽陀國は。風雨が不節にして旱澇が調わず。饑饉相仍ついで
怨敵侵擾し。疾疫災難無量百千なるや。唯願くは世尊我疑斷を網ちたまはんことを。」
爾時世尊阿闍世を讃じて是の如くの言を作したまふ。
「大王よ、善哉善哉。快く斯の義を問えり。未來世において能く多く一切衆生を利益す。
大王諦聽諦聽、善く之を思念せよ。吾れ當に汝がために分別解
説すべし。大王よ王の所言の如きは。我國中において常に飢饉怨敵等ありと。此の守護國界主陀羅尼は。十六倶胝那由他陀羅尼をもって眷屬となす。此の大金剛城曼荼
羅は。三千五百曼荼羅をもって眷屬となす。然も彼の一切は皆
信心をもって根本と為し。深般若をもって先導と為す。大菩提心及び大悲心をもって莊嚴となす。大王よ一切善法は皆
悉く此の陀羅尼より生ず。一切の罪惡は因果を信ぜざるをもって根本とす。大王よ汝は今、因果を信ぜず。五欲樂に耽ること大猛風のごとし。其信心及菩提心を欠き大悲總持を悉く皆な遠逝す。
大王よ今、眼耳ありといえども雖も、聾盲の人の雷霆を聞かず日月をみざるがごとし。何を以っての故に。汝が王の名字は尚ほ自ら聞かず。況んや餘の聲においておや。何んが王名と謂うや。夫れ王というは即ち囉惹の義なり。囉字の聲は
所謂苦惱の聲。啼哭愁歎して主無く歸無く救護無き聲なり。
王は當に慰喩して是のごとくの言をなすべし。
『汝苦惱することなかれ。我れ汝の主となり、當に汝を救護すべし。涙を拭い、慈愍而之撫育すべし。』惹字聲の声と言は是れ最勝の義。是れ富貴義の義、是れ自在の義。是れ殊勝の義、是れ勇猛の義。是れ端正の義、是れ智慧の義。是れ能く一切衆生憍慢自高にして他を陵篾するを摧滅するの義なり。
大王よ汝は今にしても因果を信ぜず。惡友提婆達多に親近して。所生の父を殺に、囚繋して
飢餓渇乏せしめ、死せざるに其の足を刖る。復た調達をして佛身より血を出し。和合僧を破せしむ。復た護財(酔った象の名)を放ち。狂醉惡象をして如來を暴踐せしめんとす。大王よ汝には今復、極大重罪あり。所謂、一切衆生清淨法眼を挑壞し。諸佛の眞正の法を斷滅し、人天涅槃の門を關閉し、三塗の生死の惡趣を開示す。いかんとならば汝は是れ國王なればなり。園苑に出遊するに。象駕を嚴備すること一萬二萬巾。車馬を馭すること二三十萬。以って翊從となす。復た百姓所有の膏血をもって用いて象馬に塗る。」
時に阿闍世王は此語聞き已って。而佛に白して言く。
「世尊。我は今惟忖するに曾って以百姓膏血をもって用いて象馬に塗ることを省ず。世尊よ何を以ってか是の如き説をなしたまうや。」
佛言はく「大王よ王の象馬に一一皆欝金龍腦栴檀沈麝をもって、和して香埿となし、用いて象馬に塗る。是の如き等の香は皆な百姓より出ず。百姓を徴科すること油麻を壓するごとし。貧匱困苦にして千戸の資財も一象の費に充給すること不能。是の故に當に知るべし、百姓の膏血は甚だ得ることやすしとす。是の如くの香等は之を求むること甚だ難し。大王よ若し疑はば當に自ら一切の囹圄(れいご・・牢獄のこと)萬姓の受苦を巡按すべし。大地獄に過ぎたり。大王は百姓所有資財を逼奪して豪貴に賞賜し。遂に富者をして。日に益す奢侈ならしめ。貧乏の者は轉た益す貧窮ならしめ。諸の貧人をして孤惸困苦ならしめ。足を投ぐる地無からしめ、皆な出家を求めしむ。是の如きの人は和上及阿闍梨有ること無(師僧をもたない偽の僧侶)。自ら袈裟を被り、禁戒を受けず、無法にして自ら居す。諸の有情心をして輕賤を生ぜしめ、見聞することを欲せず。固より是れ大王が其法眼を挑して(みだして)佛法を斷滅し。人天の路を閉じ、惡趣門を開くが故なり。是故に我れ言う大王は自己の名字を聞かずと。是の因縁をもって如何が更に此陀羅尼神力加護を得んや。大王よ我れ今、當に古昔因縁を説くべし。王よ當に諦らかに思解し其義を了すべし。大王よ乃ち往古の世に佛ありて出現したまふ。迦
葉波如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊と名ずく。彼の佛の説法は初善、中善、後善にして梵行を開示したまふ。彼の時に王あり、名ずけて訖哩枳(きりき)という。彼の如來に深く淨信を生ず。王は中夜に二種の夢を得たり。一は夢に十獼猴(みこう・・猿)あり。其の九の獼猴は城中の一切人民妻妾男女を攝亂し、飮食を侵奪し什物を破壞し。仍て不淨を以って之を穢汚す。唯一の獼猴のみ心に知足を懷い。樹上に安坐して
居人を擾さず。時に九の獼猴は心を同じくして此知足者を惱亂し、諸の留難を作し、驅逐して獼猴の衆會を出す。
第二の夢者には一白象を見る。猶し大山の如くにして帝王門に当たる。首尾に口あり。皆な水草を食す。恒に飮噉すと雖も身は常に羸痩す。時に王は寤已って大恐怖を生じ。占相者を召して以って其夢を原ねしむ。占者王に白く、「九の獼猴は即ち是れ九王なり。其知足者は即ち是れ大王なり。是れ則ち九王が心を同じくして大王の寶位を簒奪すべし。象の二口は即ち是れ九王が自國邑を食らい、兼ねて王國を食うなり。」
王は此語を聞いて驚怖毛竪て心未だ決せず。佛に見えて以って疑う所を断ぜんと思い。即ち左右に勅して種種供養の具を嚴備し。一心に迦葉佛所に往詣し到り已って作禮して。諸供を持して具如來に上獻し。曲躬し合掌して佛に言して白く。
「世尊よ我昨夜不善夢を得たり。唯願くは世尊、我為に解説し、疑網を斷ぜしめ給はんことを。」

時に王は具に夢みるところを陳て佛にもうす。
佛言く「大王よ、王之夢見る所は王に非ず。憂懼を生ずること勿れ。王よ善く諦らかに聽け。當に王の爲に説くべし。此れは是れ未來五濁惡世に佛ありて出現し釋迦牟尼と號す。滅度之後の遺法の相なり。大王よ十獼猴は即ち是れ彼の佛の十種の弟子なり。王は佛に言して白く。「世尊よ、何れかを彼の佛の十種弟子と名くるや。」
迦葉佛の言く。「一には貧にして活ることを畏れて沙門となる。二は奴たる怖畏有って沙門となる。三は債負を怖畏して沙門と作る。四は佛法の過失を求て沙門と作る。五は他に勝れんがために沙門と作る。六は名稱の為に沙門と作る。七は生天の爲に沙門と作る。八は利養の爲に沙門と作る。九は未來の王位を求めんと欲するがために沙門と作る。十は眞實心にして沙門と作る。」

時に彼の大王は彼の佛に言して白く。
「世尊よ、此の十の沙門は其の相云何。」

彼の佛の答えて言く。
「大王よ。貧にして活きざるを畏れて沙門と作る者は。多く衆生あって因果を信ぜず。財寶を貪求して互相に侵奪し。遂に天地の感ずるに雨澤時ならず。五穀登(みのら)ず。官税を充さず。飢貧に逼られて男女を鬻(ひさ)ぎ賣り。投寄する所無く、樹上に遺棄せる袈裟を披挂して。自ら鬚髮を剃り、沙門の像を作るに。阿闍梨も無く、亦和上も無し。無戒無法の相似の沙門なり。長時に一切惡法を受行し。僧伽藍に入りては自ら我は是れ律師なり禪師なり法師なり大徳なりと称し。衆首に坐居し、餘僧に謂いて言く。『汝等は皆な是れ我が弟子なり。』清信士(男性信者)の族姓の長者婆羅門の家に。出入し遊從して多く過失を造る。是を第一の貧にして活きざるを畏れて沙門と作ると名ずく。」

「大王よ云何んが名ずけて奴となる怖畏有って沙門となると作すや。」

謂く「下賤のは是の思惟をなす。云何が一生に他の驅策を受けんや。逃竄して出家す。是を第二となす」。「大王よ云何が名て債負を怖畏して沙門となるとなすや。謂く「衆生有りて公私の債負あり。息利既に多く酬還を遂げず。既に逼迫せられ逃逝して出家す。是を第三となす。」

「大王よ云何が名て佛法の過失を求めて沙門となるとなすや。」

謂く「諸の外道の心に嫉妬を生じ、遂に共に集議して。誰か聰明利根辯慧あるものを佛法中に入れ、彼の所有の世出世の法を學び。其是非を窺って我衆に還歸し。國王大臣長者に對して。論議幢を樹てて其過失を出し。彼の佛の正法を摧壞破滅せんとす。是を第四と名ずく。」

「大王よ云何んが名つ゛けて他に勝ることを求むるが故に沙門を作すと為すや」。謂く「或は衆生有りて某甲が衣を披け、落髮し。多く伎能有って三藏に通達すること有るを聞き、心に熱惱を生じ便即ち出家して經律論を學び、所修の善法は皆な彼に勝せんことを欲す。是を第五と名ずく。「大王よ云何が名て名稱のための故に沙門となると為すや」。
謂く「或人りて竊に自ら思惟すらく、。我れ若し家にあれば名稱あることなからん。我應に剃落披衣出家し。勤學多聞して禁戒を受拾蒔いし、。於大衆中において坐禪し入定して物をして名を知らしむべし。是を第六となす」。

「大王よ云何んが名ずけて生天を求むるが故に沙門を作るとなすや」。「謂く「或は人ありて諸天の中に長壽快樂有りと聞き。我に方便として上生を得ること無し。遂に即ち剃髮染衣して出家し。善法を修持して皆な生天を願ふ。是れを第七と為す」。

「大王よ云何んが名ずけて利養のための故に沙門と作るとなすや」。謂く「或は人有りて先に財寶有り更に勝處を求めて。好しき精舍、房院の華飾を得て。以って棲遲し(のんびり暮らす)自他所有財産を受用すべし。是を名ずけて第八とす」。

「大王よ、云何んが名ずけて未來帝王位を欲求するが故に沙門と作ると為すや」。謂く「衆生有りて國王の自在、尊崇、富貴、安樂なるを見て。便ち愛樂を生じ、遂に出家を求め。所修の善根もて惟だ願くは當生に王位に居することを得んことを。是を第九と名ずく。」

「大王よ云何が名ずけて眞實心の故に沙門と作るとなすや」。謂く「衆生ありて、刹利大臣族姓婆羅門家に生じ。或は長者居士商主富貴之家に生じ、盛年のとき美貌なりといえども諸の財色富貴榮顯を觀るに猶し浮雲泡幻電光の如く生滅して住らず。遂に厭離を起こして菩提心を發こし親友珍財一切を皆捨てて出家し道を慕い、律儀を秉持し法を學び禪を修し精勤して懈匪ず(おこたることあらず)。凡そ作所あるときは皆な衆生の為にして唯だ無上菩提の果を求むるのみなり。是を第十眞實心の故に沙門と作ると名ずく。」

「大王よ當に知るべし。王が夢みるところの如く。一の獼猴は少欲知足にして。獨り樹上に処り人を擾せざる者と見るは。即ち是れ釋迦如來の遺法の中の眞實の沙門なり。其九の獼猴は衆人を擾亂(じょうらん)し。心を同じくして一の獼猴を驅擯するは。即ち是れ釋迦如來の遺法の中の前の九沙門なり。沙門の法無きが故に總じて名ずけて相似沙門と為す。同じく惡行を行じ共に一眞實沙門を驅って衆外に出す。大王よ此の惡沙門は破戒行惡。一切族姓の家を汚穢し。國王大臣官長に向かって。論説して眞實の沙門を毀謗し。横に是非を言う。云に是の惡人にして破戒行惡なるものは。我が持戒比丘と同じく共に止住すべからず。布薩説戒も亦た同じく一の寺舍に居し一の國邑を同じくすべからず。一切の惡事を皆な彼の眞實沙門に推與して(おしつけて)。國王大臣官長を蒙蔽し。遂に眞實沙門を驅逐して盡く國界を出しむ。其破戒者は自在に遊行して。國王大臣官長と共に親厚を為す。大王よ彼の釋迦牟尼如來所有の教法は。一切の天魔外道惡人五通神仙も。皆な乃至少分も壞すこと能はず。而して此名相の諸の惡沙門は。皆な悉く毀滅して餘りあることなからしむ。須彌山の如く假使(たとひ)三千界中草木を盡して薪とし。長時に焚燒すれども一毫も損することなし。若し劫火、火を起こして内より生ずるも。須更に燒滅して灰燼を余すことなし。」・・(続)爾時、迦葉波佛は訖哩枳王のために。重ねて偈を説いて言く。
貧にして活きざるを畏れて剃落し、敬養を得て貧窮を脱れんと言う
散亂高擧して多財を務む。 内虚にして不實なること蘆葦(るい」のごとし。
煩惱眷屬に迷醉せられ 斯の人は大菩提を遠離す
眞金を負うて翻って棄捐し、 薪を拾って荷擔して歡喜を生ずるがごとし
名利縈纒(えいてん)して嬾惰(らいだ)を増し  惰り増して淨信の心を滅盡す
信心既に滅して淨戒無なし 無戒なれば人天の果を斷滅す。
闌若閑林(らんにゃかんりん・・森林)に自ら安居し、 本より名利及親知を求む。
戒定智慧の心を遠離して  但だ豪貴親識によりて住するのみ
自ら三惡及八難をもとめ 貧窮下賤にして邊地に生ず
譬ば生盲が寶洲に至るも 石を取って如意寶を捨つるが如し
放逸馳蕩して勝負を増し 戒行正念心を遠離して
阿鼻獄極怖中に墮し 倶胝劫を經ても解脱し難し
内心に恒に名稱を求めんが為に身口を現に説き菩提と為す
鳥の空を飛んで猛風に遇うが如く 生死の大苦海に飄落す
薄福にして天人女に耽染し 破戒して善業因を遠離す
佛の教は皆な欲火のために燒かるること 須彌山の劫火に遇うが如し
菩提の味無く、唯利のみ求め、 恒に人の為に菩提を求むると説く
心は解脱中に住せざれば 獼猴の堅き椰子を得るがごとし
如來は正法の寶を求めんがために 懸崖大火坑に投身す
既に法を聞き已って隨順して修し、 怨親平等に皆慈濟す
云何んが佛の諸の功徳を聞いて 一念好樂の心を生ぜざるや
唯、非法を愛して菩提を遠ざくるは 生盲の人が他に道を示すが如し
迦葉如來は此偈を説き已って、復、訖哩枳(きりき)王に告げて言く。
「大王よ汝が夢にみる所の帝王門前の二口の白象は。恒に水草を食して身が
羸痩(るいそう)するというも。亦た王の事に非ず。即是釋迦如來遺法之中の
五濁惡世に因果を信ぜざる百官令長は。上は帝王の光寵榮祿を受け。下は百姓に非理を追求す。復た貪求すと雖も多く匱乏(きぼう)して賦税に度無く、萬民は貧窮して。子孫を貿易して家業を蕩盡し。寺に投じて剃落す。寺は復た荒蕪して。多くの惡比丘は發心するに地無く。遂に外道の路伽耶(ろきゃや・・・順世外道)等の斷常の諸見異學に投じて出家す。邪見の因縁によって師徒は皆な墮して自ら地獄に入る。復、多の人のために地獄門を開き。相引き奔馳して三惡道に趣き。人天の路を閉じて解脱するに無由。大王よ當に知るべし。此の二夢は並びに是れ釋迦如來遺法之相にして。王の事に非ず」。
訖哩枳王は此の説を聞き已って。永く疑網を斷じ歡喜踊躍せり。復た種種の上妙の供具をもって。迦葉如來を恭敬供養し。佛足を頂禮し右遶して退けり。
爾の時、釋迦如來は此語を説き已んぬ。摩掲陀國主阿闍世王は復た佛に白して言さく、

「世尊佛の言うところの如く。諸の惡しき衆生は地獄に入る。云何んが知ることを得んや。誰人か曾って見るや。復た云何んが當に餓鬼及與畜生に墮すべきを知るや。當に人天に生ずべきを並びに誰人か見るや」。爾の時、世尊は阿闍世に告げて言く。

「大王よ應當に一心に諦に聽くべし。我れ王のために説き。
王をして現前に知見することを得しめん。大王よ當に知るべし。若し人が命終せば當に地獄に墮するに十五相あるべし。當に餓鬼に生ずるに八種相有るべし。當に生畜に生ずるに五種相有るべし。當に人天に生ずるに有十相有るべし。

大王よ何等をか名ずけて正に地獄に生ずべき十五種相となすや。
一は自の夫妻男女眷屬において惡眼もて瞻視す。
二は其手兩を擧げて虚空を捫摹(もんぼ)す。
三は善知識の教に相い隨順せず。
四は悲號啼泣嗚咽して流を涙す。
五は大小便利不覺不知。
六は閉目不開。
七は常に頭面を覆う。
八は側臥して飮噉す。
九は身口臭穢。
十は脚膝戰掉(せんじょう・・ふるえる)。
十一は鼻梁欹側(いそく)。
十二は左眼瞤動(じゅんどう・・ぴくぴくする)。
十三は兩目變赤。
十四は面を仆(たお)して臥。
十五は踡身(検診・・身をかがめる)して左脇を地につけて臥す。

大王よ當に知べし。若し臨終に十五相具することあらば此の如く衆生は決定して當に阿鼻地獄に生ずべし
爾の時、釋迦如來は此語を説き已んぬ。摩掲陀國主阿闍世王は復た佛に白して言さく、

「世尊佛の言うところの如く。諸の惡しき衆生は地獄に入る。云何んが知ることを得んや。誰人か曾って見るや。復た云何んが當に餓鬼及與畜生に墮すべきを知るや。當に人天に生ずべきを並びに誰人か見るや」。爾の時、世尊は阿闍世に告げて言く。

「大王よ應當に一心に諦に聽くべし。我れ王のために説き、王をして現前に知見することを得しめん。大王よ當に知るべし。若し人が命終せば當に地獄に墮するに十五相あるべし。當に餓鬼に生ずるに八種相有るべし。當に生畜に生ずるに五種相有るべし。當に人天に生ずるに有十相有るべし。

大王よ何等をか名ずけて正に地獄に生ずべき十五種相となすや。
一は自の夫妻男女眷屬において惡眼もて瞻視す。
二は其手兩を擧げて虚空を捫摹(もんぼ)す。
三は善知識の教に相い隨順せず。
四は悲號啼泣嗚咽して流を涙す。
五は大小便利不覺不知。
六は閉目不開。
七は常に頭面を覆う。
八は側臥して飮噉す。
九は身口臭穢。
十は脚膝戰掉(せんじょう・・ふるえる)。
十一は鼻梁欹側(いそく)。
十二は左眼瞤動(じゅんどう・・ぴくぴくする)。
十三は兩目變赤。
十四は面を仆(たお)して臥。
十五は踡身(検診・・身をかがめる)して左脇を地につけて臥す。

大王よ當に知べし。若し臨終に十五相具することあらば此の如く衆生は決定して當に阿鼻地獄に生ずべし。大王よ當に知るべし。若し臨終に十五の相を具することあらば是の如く衆生は決定して當に阿鼻地
獄に生ずべし。大王よ當に知るべし若し復、人ありて命終の時に臨み、八種の相あらば、當に必ず焔摩羅界の餓鬼趣中に堕すと知るべし。云何が八となすや。一には好く其の脣を舐む。二には身の熱すること火の如し。三には常に飢渇を患い好んで飮食を説く。四には口を張って合わさず。五には兩目が乾き枯れて、孔雀のごとし。六には小便有ることなく、大便遺漏す。七には右膝先ず冷ゆ。八には右手が常に拳たり。何をもっての故に、心に慳吝を懷き、乃し、水に至るも人に與えざるが故なり。大王よ若し八相を具すれば。命終すれば決定して餓鬼中に生ず。

大王よ當に知るべし若し復人ありて。命終時に臨んで五相の現ずることあらば。是人決定して畜生趣に墮す。云何が五と為す。一には妻子を愛染して貪視して捨ず。二には手足指踡(かがむ)。三には遍體流汗。四には麁澁聲を出す。五には口中に沫(つばき)を咀む。
大王よ若し此五者を具すれば。命終すれば決定して畜生趣に墮す。

大王よ當に知るべし、若し復た人有りて。命終の時に臨んで十相の現ずることあらば。是の人は決定して人趣中に生ずべし。云何が十となす。
一には臨終に善念を生ず。。謂く柔軟心、福徳心、微妙心、歡喜心、發起心、無憂心を生ず。
二には身に痛苦なし。
三には少しく能く語るに似にて一心に所生の父母を憶念す。
四には妻子男女に憐愍心を作し。常に瞻視するがごとく無愛無恚。耳に兄弟姉妹親識の姓名を聞かんと欲す。
五には善においても惡においても心錯亂せず。
六には其心が正直にして諂誑あることなし。
七には父母親友眷屬の善く我を護念するを知る。
八には營理するところをみて心に讃歎を生ず。
九には家事を遺囑し、藏の財寶を擧げて之を示して出さしむ。
十には淨信心を起こし、佛法僧を請うて對面して歸敬して、『南謨佛陀、南謨達摩、南謨僧伽、我今歸依す』という。若し無佛の世には五通仙に歸す。

大王よ若し命終に臨んで此十相を具せば。決定して人趣中に生じることを得。

「大王よ當に知るべし。若し復た人有りて、命終時に臨んで十種の相有らば定んで生天することを得るなり。

云何が十となすや。一には憐愍心を起こす。二には善心を發起す。三には歡喜心を起こす。四には正念現前す。五には諸の臭穢無し。六には鼻の欹側(いそく)すること無し。七には心に恚怒無し。八には家財寶妻子眷屬に心が愛戀すること無し。九には眼色清淨。十には仰面して笑を含み天宮當に來りて我を迎うと想念す。

若し臨命終に此十相を具せば決定して生天せん。大王よ是のごとく臨終善惡之相を汝は應當に知るべし。」

時に阿闍世王は佛の説けるを聞き已って、竊に自ら思念すらく。
「如來の此説は是實事とやせん。是れ虚邪とやせん。世尊は辯才を具足して權に此理を説きたまへり。」
爾時如來阿闍世王心之所念を知り、即ち神力を以って阿闍世をして其惡相を見せしむるに、忽ち地獄あり。苦器は充滿し、諸の獄卒あり。苦具を執持し、無量の衆生が地獄に顛墜すること駛雨(しう・・にわか雨)の點ずるが如し。爾時獄卒瞋目して威を振い、阿闍世を指して是の言をなす。
「此は是れ惡逆殺父之人。速に擒え來って阿鼻大地獄中に付し、之を苦治すべし。」

時に阿闍世聞は是語を聞き已って、極めて大惶怖し、身毛皆竪遍體汗流し、遽(にわかに)座より起ちて走り逃竄せんと欲し、悶絶擗地(へきち・・地上にへたりこむ)し、都て覺知せず。譬えば猛風が無根の樹を伐つに久しくして蘇らざるが如し。。乃ち以種種方宜をもって之を救い、漸く蘇息することを得たり。連聲唱言していわく、

「世尊世尊、願は壽命を賜はらんことを。願はくは壽命を賜らんことを。願はくは壽命を賜らんことを。我が今日のごときは無依無怙なり。今よりは決定して佛法僧に歸すべし。ここにおいて如来は神力を還攝して諸相を現ぜず。阿闍世に問て言く。

「大王よ、向に入地獄者の諸の苦事を見る耶。」

時に阿闍世は悲を含んで答えて言く。

「我今已に見たり。世尊の所説は其少分を擧ぐるのみ。我向に所見の苦事は甚多し。如來世尊は是れ眞語者なり。是れ實語者なり。世尊よ我は此身において諸の惡業を造れり。今世尊よ諸の大菩薩衆僧の大會に対して發露懺悔す。諸惡を止息し、相續心を斷ぜん。我れ今日より乃し菩提にいたるまで、誓って五戒を持ち、優婆塞と爲り、佛所説の一字陀羅尼の一切の功能のごとく、菩提心をもって先導となし、今よりさき一日三時に精勤修習して、此善根をもって悉く皆一切衆生に迴向せん」。
佛は王を賛じて言く、「善哉善哉。大王諦聽、我今王のために過去佛の微妙の伽陀を説かん。
即ち偈を説いて言く。
「若し五逆極重罪を 造るとも、發露懺悔せば罪は輕微なり。
永く相續を斷って罪根を滅す。 壯夫の連根樹を拔くが如し。」

佛は偈を説き已って復た王に告げて言く。

「大王よ當に知るべし。譬えば團鐵を水に投ずれば沈沒す。若し鉢器と爲して水に置けば則ち浮ぶがごとし。大王よ。智慧ある人は彼の鉢器が苦海に沈まざるが如し。汝は惡業を造り、阿鼻大地獄中に入って一劫の苦を受くべきなり。汝は智あるにより、發露懺悔して暫く入りて便ち出でたり。壯男女が手を以って毬を拍つに、暫時著地して即ち騰起するがごとし。此より命終して兜率天に生じ、慈氏尊に見えて便ち授記を得べし。」

時に阿闍世は佛の説けるを聞きって、心に淨信を得、種種の供具をもって佛を供養し已って本座に還復す。如來が此法を説きたまふ時に当たり、無數倶胝那由他衆生は皆な、阿耨多羅三藐三菩提心を發こし、三十三倶胝那由他の菩薩は、隨順忍(柔順忍ともいう。諸法の真理に素直に順って法に安住すること)を得たり。

守護國界主陀羅尼經如來囑累品第十(終わり)

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