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登山 写真撮影等多趣味ですが最近は卓球で登山のためのトレーニングして 山岳写真撮影に励んでいます。

1970年代初期に開発したカツオ釣り機は最先端マイコンを使った油圧サーボ技術だったの巻

2014-11-09 | 日記
先日A社が1970年に開発したカツオ釣り機の記事が新聞に掲載されました。
当時A社では商品開発事業部が発足し、ユニークな商品を続々開発していましたがその1つです。
私はその頃入社しましたがまだ少ない電子系技術者として自動車部品の開発Gに配属されたので近くで見ていなかったのですが、彼らがインテルの4ビットマイコンを採用していたことは知っていました。
当時マイコンを使ったシステム開発をしたのは最先端だったのです。
以下その時システムのまとめ役をしたNさんの談です。
釣り機は当時インテルから出された4ビットマイコンを用い竿のローリング補正、あやし、カツオの自動引き込みを行いました。
その当時半導体メモリー(世界初)250バイト×4でした。
アセンブラーが無かったのでメモリーに打ち込むのにテレタイプライターを使い1Kバイトの打ち込みに1時間位かかったのを覚えています。
ソフトの開発はK君がやってくれました。
マイコン制御の鰹釣り機は油圧サーボを用い、釣り検知センサーは今迄のマイクロスイッチに替わり自作のテンションゲージを用い、釣った魚の重量を検知し魚を引き上げるスピードのコントロールもしたことを覚えています。
総重量は確か機械式に較べ1/5位で画期的な物でした。
システム、センサー開発をしたのは私ですが、機械設計は誕生会に良く来るS君です。
このシステムは当然特許として出しました。
後年特許庁から知らされたのですが日本で初めてのマイコン応用したダイナミック油圧サーボ制御システムでその後の展開状況の聞き込みがありました。
残念な事に鰹釣り機は当時船として250隻位しかなく、開発時には飽和状態に近かったそうで日の目を見ることはありませんでした。
その後に感動したのは南氷洋の釣りの状況を8ミリカメラでT君が撮ってくれたのを一コマずつ拡大鏡で分析すると、鰹は糸のテンションが無くなると口を開けるという習性があり、この習性を利用してかえりのない針を如何に漁師が工夫して外れやすくウェイトバランスさせていたことに感心させられたことでした。
これを写真で現認できたことに感激しました。
その後私は技術企画室に配属され当時の商品開発事業部の活動を分析したことがあります。
この商品開発の事例もそうですが素晴らしい新規性のある技術開発をしながら事業としては成果が出なかったのはマーケティング戦略が不足していたのです。
A社は元々OEM中心に事業を伸ばしてきた歴史があり、自社で顧客や社会のニーズを把握しそれを事業化する知恵が圧倒的に不足していたと私は理解しました。
その頃商品化し今でも大きな事業として残っているのはシャワートイレで(ウオシュレットではありません)イナックスさんのOEM商品として成長したのです。


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