英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『嫌われる勇気』 第1話、第2話を観て

2017-01-24 23:31:29 | ドラマ・映画
★胡散臭いアドラー心理学
(“アドラー心理学”そのものをを“胡散臭い”と言っているわけではなく、ドラマで語られる“アドラー心理学”についてです)

★魅力が感じられない主人公・蘭子
番組サイトによると
 難事件を解決に導いてきた実績を持つ警視庁捜査一課8係のエース。組織になじまない一匹狼タイプで、周囲の意見には耳を貸さず、自分が信じる道を行く。上司や捜査本部の方針に反することもあるが、本人はそれを悪いことだとは感じていない。他人からの評価や評判を気にせず、自己中心的だと言われても全くひるまない、アドラー心理学を地で行く、いわば“アドラー女子”。独身、彼氏ナシ。幼少期にある事件に巻き込まれた過去がある。

ウィキペディアの『嫌われる勇気』の人物紹介記事の方が具体的に記されている
 警視庁捜査一課8係所属の刑事。彼氏無しの独身で丁寧な口調で話す。相棒は青山。一匹狼で滅多に笑顔を見せない不愛想な性格。その上、捜査会議に出ず捜査員の推理を「(その推理) 明確に否定します。」の言葉とともに一蹴し自分の意見を貫くアドラー心理学で提唱される特徴をそのまま具現化した様な人物。
 又、携帯電話を所持しているが捜査中に持ち歩く事は無く、実質彼女が何処にいるのかを探る為の鍵が青山である。青山には「先輩」呼ばわりをせず、それ以外で自分の事を呼ぶ様に命令する。
 1999年、14歳の時誘拐され1週間後に救助されたが学校に登校すると自分の机に花瓶を置かれる嫌がらせにあった。だが、彼女は元々教室にあった花瓶にその置かれた花を活け直す等、精神的に乗り越えた結果、今の様な性格になる。
 事件の鍵となる証拠を発見した時、いつも一つ括りにしている髪を解き、「見つけた。」と口にする癖がある。上記にもある通りかなり人間関係を築くのが非常に困難な個性を持つ性格であるが、アドラー心理学の知識を用いて犯人やその周りの人々に意見を言う等、変わり者ながら正義感の強い女性である


アドラーについては、Amazonの書籍紹介記事から引用
 世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー。
「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学


 『アドラー心理学』は、対人関係がややこしい現代社会に於いて、悩み解決のヒントになりそうだと思われるが、「組織になじまない一匹狼タイプで、周囲の意見には耳を貸さず、自分が信じる道を行く」「他人からの評価や評判を気にせず、自己中心的だと言われても全くひるまない」ことが、アドラー心理学を地で行く“アドラー女子”ということのなるのか、私にはよく分からない。

 さて、通常とは少し離れた、言わば“変人”女性が主人公(ヒロイン)の場合、無表情でずけずけとモノを言うタイプである事が多いと思うが、どうだろうか?
 思い浮かぶ例としては
『ヒガンバナ ~警視庁捜査七課~』来宮 渚(堀北真希)2016年1月13日 - 3月16日
『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』永光麦秋(大島優子)2015年4月16日 - 6月18日
『ゼロの真実 監察医・松本真央』松本真央(武井咲)2014年7月17日 - 9月4日
 ゼロの真実の松本真央(武井咲)は、若干、柔らかめ。
 また、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』藤堂比奈子(波瑠)2016年7月12日 - 9月6日 は、表情は豊かだったが、感情がないと自覚していた比奈子が感情を模倣して表情を作っていたという設定なので、比較できない。

 キャラクターを際立たせるのに都合がいいのかもしれないが、あまり、魅力を感じない。それでも、回が進めば、無表情の裏の感情が見えてきて、こちらも感情移入などが出来ていくので、それはそれでいいのかもしれない。
 このドラマの蘭子は、上記の3作以上に魅力を感じない。今後、回を重ねれば、魅力を感じてくる可能性もあるが………
 もしかしたら、演じている香里奈さんに問題があるのかもしれないが、それより問題に感じたのは、彼女の行動パターン。まず、「明確に否定します」という決め台詞?。“明確”と言えるほど根拠が薄く、説得力がないこと。
 例えば、2話の転落現場の壁紙に擦れたような新しい傷を、「机を動かして入ってきた警備員からの死角を作って隠れていた」と断定。しかし、これは単に可能性にすぎず、“明確に否定する”根拠にはならない。これでは、魅力どころか、印象を悪くするだけである。
 事件の鍵となる証拠を発見した時、いつも一つ括りにしている髪を解き、「見つけた」という決め台詞も、嵌っていない。最近、主人公が、推理がまとまった瞬間、決め台詞を吐くというパターンが多いが、個人的には好きではない。
 青山(加藤シゲアキ)を無下に扱うのも、どうなのか?……「アドラー心理学を地で行く」=(他人を振り回すことを厭わず)我が道を行く」なのだろうか?
 パートナーにロクに説明をせず、携帯を持たずに捜査一課8係に報告や、指示を仰ぐ意思は全くなし。その為、連絡兼監視役で青山を配備するという無駄な人員配置。
 

 そんな蘭子の我が道を行く行動を、大文字哲人(椎名桔平)が“アドラー心理学”を駆使して擁護するが、彼が語る“アドラー心理学”が胡散臭い。(「“アドラー心理学”が胡散臭い」のではなく、「大文字が語る“アドラー心理学”が胡散臭いという意味です)
 たとえば、目的論
「感情とは目的を達成する手段でしかない。人は皆、何かしらの目的に沿って生きている」
 例えとして、
「何十年も引き籠っている男がいたとして、彼がなぜ引き籠っているか?」
 青山が考えた答えは
「いじめとかで、外での人間関係がうまくいかない」
 しかし、アドラーはこれを否定していると。
「人は経験の中から“目的にかなう”モノを見つけ出す」
      ↓
引きこもりの男は、“外に出たくない”という目的があって、不安や恐怖を作り出している
 でなければ、いじめを受けている人は、全員が引き籠っていないとおかしいということになる」
「(外に出たくない目的は)ずっと引き籠っていれば親が心配する。親の注目を一身に浴びて、腫物に触るように丁重に扱われ、特別な存在にいることができる」
人は、いろいろと不満があっても、“このままの私”でいることの方が楽であり、安心なんです

 “いじめを受けている人は、全員が引き籠っていないとおかしいということになる”というのは、かなり理論に飛躍がある。
 “自分の克己心”、“家族の期待に応える”、“外部にある自分の欲求(趣味など)が大きい”など、引き籠らない理由は考えられる。
 でも、“人は、いろいろと不満があっても、“このままの私”でいることの方が楽であり、安心なんです”というのは、分かるなあ。

 しかし…
「あなた(犯人・竹内)は、成美さんを弔いの為に殺害したのではありません。
 市川さんを殺すという目的の為、成美さんを死に追いやった感情を利用したのです。
 あなたはただの犯罪者です。人殺しを美談にすり替えないでください」
と糾弾。人殺しを美談にすり替えるなというのは良いとして、ここで目的論を持ち出し、“市川さんを殺すという目的の為、成美さんを死に追いやった感情を利用した”というのは、詭弁である。

 さらに、絵実華(大後寿々花)に対しても、
「成美さんと同期で、一番仲の良かったあなたなら、彼女が苦しんでいたことを理解していたはずです。
 なのに、何もしなかった」
「間違っていると分かっていても言えなかったんです。余計なことを言って市川さん(被害者・人間的にはクズ)に嫌われるのが怖かった」
 
 ここで、青山が
「人は、いろいろと不満があっても、“このままの私”でいることの方が楽であり、安心なんです」(大文字)
「変わらないという決断を下している」(蘭子)
「“不満はあれど、変わろうとしない人たち”…そこに事件解決のヒントを見出したのではないでしょうか?」(大文字)
のことばを思い出す。

「あなたたちは、“変わらないという目的”の為に、“市川さんに嫌われたくないからという言い訳”を持ち出していただけじゃないですか。
 変わろうとすることは勇気がいるし、自分を変えることは楽じゃないから、変わらないための言い訳を探して、逃げていたんですよ」

と、理解困難な目的論を持ち出し、ダメを押す。

 その上、
「上司に逆らって評価を下げたくない、周囲から白い眼で見られたくない……死ぬくらいなら、嫌われれば良かったんです」と蘭子。
 場の雰囲気は最悪……


 こんな、訳の分からない説教、要らないよね。
 せめて、大文字の青山への個人講義だけにして欲しい。いや、アドラー云々も要らないか。



【第2話の疑問】
・絵実華は市川のどこが良くて好きになったのだろうか?
・マジックで自 殺の理由を消すのを、竹内は何故、手伝ったのだろうか?
 1年後に殺すより、竹内の悪行をばらした方が、成美の遺志を継いでいる。
 あの場でできなくても、絶対消えないマジックなので証拠隠滅は出来ないし、いつでも告発することは出来たはず。


【ストーリー】番組サイトより
 「絶対に消えないペン」などのヒット商品があるメーカーの執行役員の市川が、深夜に会社の窓から転落死した。現場の状況や第一発見者の証言から、浦部(丸山智己)は自 殺だと断定するが、青山(加藤シゲアキ)とともに現場に駆け付けた蘭子(香里奈)は、それを否定。自殺に見せかけた殺人で、犯人は被害者と同じ会社にいると推理した。遺体を司法解剖しためい子(相楽樹)も、蘭子の見立てを支持する。
 市川が率いていた商品開発部には、絵実華(大後寿々花)や竹内(笠原秀幸)ら10名ほどの社員がいた。聞き込みに来た蘭子は、社員たちのデスクに目覚ましドリンクやグッズが置かれていることに気づく。さらに、1年前に市川が転落した窓がある小部屋で、同じ部の成美という若い女性が自殺していたことが判明。1年の間に同じ部屋から2人の死者が出たことを怪しんだ半田(升毅)は、小宮山(戸次重幸)と浦部に人間関係の洗い出しを、三宅(桜田通)には事件当日の市川の足取りを追うよう指示。自分は何をすればいいのか、と聞く青山には、蘭子に従えと言う。
 社内を歩き回り事情を聴く蘭子を、追うように付いていく青山。何か分かったことがあるか、と聞くと、蘭子は社員たちが“変わらない”という決断をしている、と返した。まるで意味が分からない青山は、大文字(椎名桔平)を訪ね、そのことを報告。すると、大文字は、蘭子が意図するのは「目的論だろう」と言うと、話し始めた。

脚本:徳永友一
演出:池澤辰也
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