あけましておめでとうございます。
年末の疲れで、元日はぼぉ~としています。そんな中でのニューイヤー駅伝観戦。
正直に言うと、元日はもっとぼぉ~としていたいし、2日、3日は箱根駅伝。3日連続の駅伝観戦でお腹いっぱいになります。ただ、1月はこのあと全日本総合バスケット、春高バレー、高校サッカー、高校ラグビー、卓球日本選手権と盛りだくさんなので、元日でいいのかもしれません。
大会前の評判は、2連覇中のトヨタ自動車と2年連続2位のコニカミノルタ。
トヨタ自動車は窪田が故障欠場ではあるが、ルーキーの服部勇馬がその穴を埋めるポテンシャル。宮脇、大石、田中など他のメンバーも充実している。
コニカミノルタは、2001年~2008年の8年間で優勝6回、準優勝1回と駅伝王者として君臨。その後の8年間も優勝2回、準優勝4回と名手と呼ぶべき実績を重ねている。昨年は犬と接触し転倒するアクシデントがありながら準優勝している。
エース設楽啓太を筆頭に、宇賀地、山本の実力者を揃え、更に、箱根駅伝の“山の神”神野を加え、強力な布陣で臨めそうだ。ただ、設楽と宇賀地の調子が上がっていないとの情報もある。
これを追うのが、トヨタ自動車九州、DeNA、旭化成あたりか。
トヨタ自動車九州は、元祖“山の神”の今井が健在。2013~2014年連続準優勝、昨年も3位とチーム力も高い。
DeNAは、昨年、上野が激走し中盤トップに立った。2区区間賞候補で26人抜きの記録保持者(2014年)のカロキもいる。ただ、若干、層の薄さが気になり、優勝には届かないだろう。
旭化成は、言わずと知れた“名門”。ただ、ここ18年間は優勝から遠ざかっている。昨年はかなり自信を持って臨んだが、前半で遅れて流れに乗れず7位に終わっている。
村山兄弟、鎧坂、大六野と若手実力者に加え、佐々木も安定感がある。この布陣に、今年は市田兄弟が実力アップしている。市田兄弟は、大東大で活躍したが、区間3~5位ぐらいの成績だったと記憶している。昨年入社していたが、起用されなかった。市田孝は10000m27分台にタイムを縮めている。
有力チームの中で、唯一、外国人ランナーを擁しないチーム。しかし、第2区のインターナショナル区間で順位を下げ、波に乗れない展開が続いている(昨年も)。第2区を終えた時点で、10~13位ぐらいで踏みとどまり、上位争いにすぐ加われれば、チャンスがある。
1区(12.3km)
2区で苦戦が想定される旭化成・村山紘太が仕掛けるが、長続きしない。紘太が失敗するパターンだ。
1500mの日本チャンピオンの日清食品グループ・戸田雅稀が区間賞。以下、カネボウ、九電工などがなだれ込み、3秒内に7チームという大激戦。
トヨタ自動車九州は8秒差の9位、トヨタ自動車は9秒差の10位、旭化成は11秒差の13位、DeNAは21秒差の21位、コニカミノルタの設楽啓太は32秒差の28位と沈み、出遅れた。
2区(8.3km)
この区間は、外国人ランナーの参加が認められている区間。特に、五輪ランナー級選手を擁するチームは一気に順位を上げてくる。逆に、日本選手のみのチームはここでかなりのビハインドを覚悟しなければならない。区間賞ランナーとは1分30秒~2分、普通の外国人ランナーとも1分~1分30秒くらい差をつけられてしまう。
区間賞候補はDeNAのカロキ(26人抜き)、日清食品グループのレオナルド(2015年区間賞)、小森コーポレーションのケモイ(リオ五輪1500mケニア代表)、九電工のタヌイ(リオ五輪10000m銀メダル)など。テレビ中継の受け売りだが、タヌイが4番目の候補なのが不思議だったが、アキレス腱を痛めているという情報。
区間賞はカロキ(DeNA)で区間賞に迫る快走で18人を抜き、一気に21から3位に浮上させた。区間2位はディク(日立物流)で、1区の4位からトップに立った。区間3位はタヌイで3位から2位に順位を上げた。日清食品グループのレオナルドは区間4位だったが、1位から4位に順位を下げた。
1区で28位と出遅れたコニカミノルタはムワンギが区間5位で16人抜きで12位に浮上。逆にトヨタ自動車はガディアが不調で、区間27位、10位から23位に順位を落とす大ブレーキだった。
トヨタ自動車九州はズクが区間12位で1区8位からひとつ順位を下げ9位、旭化成は鎧坂が区間25位で13位から順位を7つ落とし20位。一見、鎧坂が不振のように思えるが、日本人トップで、外国人ランナーを6人上回った。タイムは2009年以降では、日本人の歴代3位で、これまで最高日本人記録より3秒下回っただけだった。この区間の構成は、日本人は7人のみで、30名が外国人選手だった。
2区を終了次点で1位日立物流、2位九電工。有力チームでは、DeNAが3位、トヨタ自動車九州9位、コニカミノルタ12位、旭化成20位、トヨタ自動車23位。
3区(13.6km)
3区の区間賞候補は、トヨタ自動車キャプテンの大石(2015年5区区間賞)、DeNAの上野(昨年この区間区間賞)、旭化成の大六野(昨年この区間で7人抜き)。
DeNAの上野が最初から飛ばし2.4kmでトップの日立物流に肩を並べる。3.5kmで日立物流が後退し始めた後も、ガンガン飛ばし後続を置いていく。
区間賞は上野で決まりかと思われたが、後続で上野を上回る走りを見せていたのがトヨタ自動車の大石。最初の1kmを2分30秒と猛烈なペースで追い上げ、5kmで17位に浮上。追い抜かれた旭化成・大六野も大石について行くのがやっとの状況。大石の魂の走りは続き7.5kmで10位まで順位を上げる。大六野も20m近く離されている。
また、12位でタスキを受け取ったコニカミノルタ・菊池も8.6kmで5位集団に追いつく。しかし、この菊池の走りを霞ませるのが大石で、8.9kmで5位集団に追いつき、10.8kmで3位に躍り出る。
3区はDeNAの上野が2位日立物流に59秒差をつけて襷を渡した(区間2位)。
3位は1分3秒差でトヨタ自動車・大石。大石は37:57(上野を17秒上回る)の区間賞で20人抜きの激走。
4位は1分6秒差でコニカミノルタ・菊池。菊池は区間4位で8人抜き。5位は1分9秒差でHonda。
トヨタ自動車九州は1分24秒差の9位。旭化成は1分28秒差の11位、大六野は区間3位で順位を9つ上げた。
区間賞候補がそのまま3位までを占め、有力チーム5チームは想定の範囲内ではないだろうか?
DeNAは約1分のリードのトップ。2強のトヨタ自動車とコニカミノルタは1分強のビハインドだが、トップがDeNAなので射程内と考えてよいし、注意すべきはお互いと考えているのかもしれない。
4区(22.0km)
最長区間の4区は各チームのエースが揃う。
トヨタ自動車(3区終了時点3位)は、ルーキーの服部勇馬(神野と並ぶ箱根駅伝のトップ選手)。
コミカミノルタ(3区終了時点4位)は、やはりルーキーの神野大地(言わずと知れた三代目“山の神”)
Honda(3区終了時点5位)は、設楽悠太(2年連続4区区間記録更新)
日清食品グループ(3区終了時点6位)は、村澤明伸(元箱根駅伝の代表的実力者)
トヨタ自動車九州(3区終了時点9位)は、今井正人(元祖“山の神”)
旭化成(3区終了時点11位)は、市田孝(昨年は代表から漏れる)
2km付近で2位~5位の日立物流・日下、トヨタ自動車・服部、コミカミノルタ・神野、Honda・設楽がひとかたまりになるが、しばらくして神野と日下が遅れだす。
後方では、旭化成・市田が快調。4.5km付近で6位集団に追いつく。6位集団は今井、村澤、MHPS・井上(昨年この区間3位)の強力メンバーであるが、7.5km付近でこのメンバーをも置き去りにする勢いである。
10km地点、トップDeNA・高木が29分16秒で通過。2位グループにジワジワ差を詰められていたが踏み止まっている。2位のHonda・設楽は28分23秒のペース。差を57秒詰め、両チームの差は12秒(トヨタ自動車・服部も並走)。
また、旭化成・市田は10km付近で神野を捉え、4位に浮上。市田は28分22秒のペースで設楽を1秒上回っている。
日清食品グループ・村澤、トヨタ自動車九州・今井、MHPS・井上も市田に離されたものの、日立物流を捉え、神野を追っている。
11km(4区中間点)、トップはDeNA。16秒差でトヨタ自動車とHonda。31秒差で旭化成とコニカミノルタ。43秒差でトヨタ自動車九州、日清食品グループ、MHPS、44秒差で日立物流と続いている。
12km手前で、2位グループに異変が。設楽が遅れだした。先頭と差が縮まらない状況が続いていたが、どうやら設楽の調子が良くなくてペースが下がり気味で、服部がトップを追うためペースを上げたようだ。これに設楽が全く反応できず、ズルズル後退。
13.8km、市田と神野が設楽を抜き去る。設楽はついていけない。神野は市田に食らいつき、一度、置いて行かれた設楽を逆転。
15km地点、トップのDeNAと2位トヨタ自動車の差は6秒と一気には詰まらない。15kmは高木43分52秒、服部は42分55秒。第一中継車の映像では市田と神野の姿が大きくなってきた。
17km付近で、神野が市田から遅れ始めているようだ。1位と2位の差は8秒とやや開いている。
5位グループは依然トヨタ自動車九州(今井)、日清食品グループ(村澤)、MHPS(井上)の3チーム集団のまま。Honda(設楽)は10秒以上、置いて行かれている。
19.5km、5位集団が神野を捉える。元祖“山の神”の今井と三代目“山の神”の神野が接近遭遇。神野も離されず、ついて行こうとする。
20.9km、今井と井上が神野を捉えた勢いで、市田に追いつく。村澤はやや離されている。市田も今井に必死ですがりつくが、腹痛が起きているようで苦しそう。
21.5km、中継点が近づき、服部が力を振り絞りピッチを上げるが、DeNA・高木がトップを死守してタスキを渡す。
2位は4秒差でトヨタ自動車・服部。
11秒差の3位でMHPS・井上、14秒差の4位でトヨタ自動車九州・今井、17秒差の5位で旭化成・市田、日清食品グループの村澤が粘って22秒差の6位、コニカミノルタの神野は力尽きて7位に下がり38秒差。Hondaの設楽は1分28秒差の10位に沈んだ。
区間賞は
1 市田 孝 旭化成 01:03:06
2 今井 正人 トヨタ自動車九州 01:03:07
3 井上 大仁 MHPS 01:03:14
4 横手 健 富士通 01:03:15
5 服部 勇馬 トヨタ自動車 01:03:18
6 村澤 明伸 日清食品グループ 01:03:28
7 神野 大地 コニカミノルタ 01:03:49
8 山本 憲二 マツダ 01:03:59
9 園田 隼 黒崎播磨 01:04:09
10 米澤 類 中国電力 01:04:12
高木(DeNA)は01:04:17の11位、設楽(Honda)は01:04:36の13位だった。
5区(15.8km)
タスキを受けて400mで、トヨタ自動車の早川がDeNAの永井を捉える。ついに先頭に立ったトヨタ自動車だが、旭化成・村山謙太、MHPS・松村、トヨタ自動車九州・押川の3人ががヒタヒタと迫ってくる。それを察知した早川がペースを上げ、DeNAの永井はついていけない。
追いつかれないようペースを上げた早川だったが、4km手前で追いつかれ5チームのトップ集団となる。
4.6km、DeNAの永井が遅れだす。
6.8km、7位でタスキを受け取ったコニカミノルタ・山本がDeNA・永井を抜き、トップに迫る勢い(トップとの差は9秒)。更に7.8kmで7秒差というレポート。
8.8km、旭化成・村山がスパート。集団の後方で満を持していたかのようなスパート。MHPS・松村が遅れ、トヨタ自動車・早川とトヨタ自動車九州の押川が食らいつこうとする。
早川が一旦、村山に追いついたが、村山が再びスパート。しかし、早川と押川も譲らず、10.5kmで再び一団に。
10.9kmの松原橋の上でスパート。
11kmのチェックポイントで2秒差。4位のMHPS・松村は20秒差、5位コニカミノルタ・山本は26秒差、6位DeNA・永井は47秒。
12.8km、トヨタ自動車九州・押川が食らいついている(3秒差)。トヨタ自動車・早川は9秒差と離された。村山は必死に逃げ、スパートを掛けるが長続きはしない。2、3秒差の押し引きが続く。
結局、スパート力に優る村山(旭化成)が押川(トヨタ自動車九州)7秒差に広げてタスキを渡した。
トヨタ自動車・早川は34秒差、4位は45秒差でコニカミノルタ・山本。52秒差の5位がMHPS・松村、1分37秒差の6位でDeNA・永井。
区間順位は
1 村山 謙太 旭化成 00:46:36
2 押川 裕貴 トヨタ自動車九州 00:46:46
3 山本 浩之 コニカミノルタ 00:47:00
4 早川 翼 トヨタ自動車 00:47:23
5 松村 康平 MHPS 00:47:34
6 高橋 尚弥 安川電機 00:47:55
7 松枝 博輝 富士通 00:47:57
8 三輪 晋大朗 NTN 00:48:00
9 松宮 隆行 愛知製鋼 00:48:01
10 鈴木 卓也 愛三工業 00:48:04
6区(12.5km)
7秒あった差をトヨタ自動車九州・奥野が1kmで追いつき、背中にピタリと付ける。
しかし、オーバーペースだったのか、300mほど並走しただけで早くも離れ出す。その差がみるみる広がり1.9kmで10秒差に。
その後もぐんぐん開き、トヨタ自動車・田中にも追いつかれそうだ。トヨタの田中は2年連続6区区間賞の実力者。入りの2kmを5分26秒と飛ばし、旭化成と34秒あった差を20秒差に詰めていた。
4位でタスキを受けたコニカミノルタ・宇賀地は5位に後退。故障がちで調子が良くないようだ。
6km地点では2位に上がったトヨタ自動車・田中との差は25秒差。一時は18秒差まで詰めたが、入りが速すぎたか。3位のトヨタ自動車九州・奥野は40秒の差をつけられている。
結局、確実に走った市田が区間1位で、後続との差を広げた。
2位トヨタ自動車とは58秒差、3位トヨタ自動車九州とは2分1秒差、4位MHPSとは2分9秒差、5位富士通とは2分25秒差、6位DeNAとは2分30秒差。コニカミノルタは7位で2分45秒差(宇賀地は区間25位)。
旭化成の優勝がかなり濃厚となった。1区で30位と出遅れた富士通が5位まで挽回してきた。
区間順位は
1 市田 宏 旭化成 00:36:32
2 田中 秀幸 トヨタ自動車 00:36:56
2 服部 翔大 Honda 00:36:56
4 前野 貴行 富士通 00:36:57
5 柳 利幸 日立物流 00:36:59
6 藤川 拓也 中国電力 00:37:20
7 黒木 文太 安川電機 00:37:23
8 須河 宏紀 DeNA 00:37:25
9 其田 健也 JR東日本 00:37:31
9 吉村 直人 愛知製鋼 00:37:31
7区(15.5km)
3位以下は2分以上あるので、逆転の可能性があるのは2位のトヨタ自動車だけ。しかし、宮脇を擁するとは言え、58秒差は旭化成の佐々木(リオ五輪マラソン代表)にアクシデントがない限り、逆転は難しい差である。
佐々木は区間2位でしっかり走り、危なげなく優勝のテープを切った。
区間順位は
1 野口 拓也 コニカミノルタ 00:46:08
2 佐々木 悟 旭化成 00:46:22
3 高瀬 無量 日清食品グループ 00:46:25
4 松井 智靖 中国電力 00:46:30
5 宮脇 千博 トヨタ自動車 00:46:31
6 白柳 智也 トヨタ紡織 00:46:37
7 定方 俊樹 MHPS 00:46:41
8 大津 顕杜 トヨタ自動車九州 00:46:44
9 奥谷 裕一 大塚製薬 00:46:47
10 山村 隼 NTT西日本 00:46:48
最終成績は
1 7 旭化成 04:49:55
2 1 トヨタ自動車 04:51:02
3 3 トヨタ自動車九州 04:52:18
4 11 MHPS 04:52:23
5 2 コニカミノルタ 04:52:26
6 12 富士通 04:52:50
7 5 DeNA 04:53:27
8 6 日清食品グループ 04:53:52
9 14 中国電力 04:53:57
10 9 日立物流 04:54:26
2番目の数字はゼッケン(昨年順位)
日本人選手のみチーム、しかも、名門の旭化成の18年ぶりの優勝はうれしい。
4区、5区、6区の区間賞が優勝の主因だが、1区の村山の落ち着きのない失敗気味の走りだったが、13位(11秒差)で留まり、2区の鎧坂も苦しい中、踏みとどまり、20位ながらも上位が見えるタイム差で留まったのが大きかった。
さらに、3区の大六野もトヨタ自動車の大石に置いて行かれる状況の中、自分の走りを見失かったのも勝因の一つ。
出遅れ覚悟の展開ではあったが、トヨタ自動車は2区が不振、コニカミノルタは1区の出遅れと、2強に大きな差をつけられなかったのも大きかった。トヨタ自動車は窪田が故障で不出場、コニカミノルタも宇賀地が完調には程遠かった。
年末の疲れで、元日はぼぉ~としています。そんな中でのニューイヤー駅伝観戦。
正直に言うと、元日はもっとぼぉ~としていたいし、2日、3日は箱根駅伝。3日連続の駅伝観戦でお腹いっぱいになります。ただ、1月はこのあと全日本総合バスケット、春高バレー、高校サッカー、高校ラグビー、卓球日本選手権と盛りだくさんなので、元日でいいのかもしれません。
大会前の評判は、2連覇中のトヨタ自動車と2年連続2位のコニカミノルタ。
トヨタ自動車は窪田が故障欠場ではあるが、ルーキーの服部勇馬がその穴を埋めるポテンシャル。宮脇、大石、田中など他のメンバーも充実している。
コニカミノルタは、2001年~2008年の8年間で優勝6回、準優勝1回と駅伝王者として君臨。その後の8年間も優勝2回、準優勝4回と名手と呼ぶべき実績を重ねている。昨年は犬と接触し転倒するアクシデントがありながら準優勝している。
エース設楽啓太を筆頭に、宇賀地、山本の実力者を揃え、更に、箱根駅伝の“山の神”神野を加え、強力な布陣で臨めそうだ。ただ、設楽と宇賀地の調子が上がっていないとの情報もある。
これを追うのが、トヨタ自動車九州、DeNA、旭化成あたりか。
トヨタ自動車九州は、元祖“山の神”の今井が健在。2013~2014年連続準優勝、昨年も3位とチーム力も高い。
DeNAは、昨年、上野が激走し中盤トップに立った。2区区間賞候補で26人抜きの記録保持者(2014年)のカロキもいる。ただ、若干、層の薄さが気になり、優勝には届かないだろう。
旭化成は、言わずと知れた“名門”。ただ、ここ18年間は優勝から遠ざかっている。昨年はかなり自信を持って臨んだが、前半で遅れて流れに乗れず7位に終わっている。
村山兄弟、鎧坂、大六野と若手実力者に加え、佐々木も安定感がある。この布陣に、今年は市田兄弟が実力アップしている。市田兄弟は、大東大で活躍したが、区間3~5位ぐらいの成績だったと記憶している。昨年入社していたが、起用されなかった。市田孝は10000m27分台にタイムを縮めている。
有力チームの中で、唯一、外国人ランナーを擁しないチーム。しかし、第2区のインターナショナル区間で順位を下げ、波に乗れない展開が続いている(昨年も)。第2区を終えた時点で、10~13位ぐらいで踏みとどまり、上位争いにすぐ加われれば、チャンスがある。
1区(12.3km)
2区で苦戦が想定される旭化成・村山紘太が仕掛けるが、長続きしない。紘太が失敗するパターンだ。
1500mの日本チャンピオンの日清食品グループ・戸田雅稀が区間賞。以下、カネボウ、九電工などがなだれ込み、3秒内に7チームという大激戦。
トヨタ自動車九州は8秒差の9位、トヨタ自動車は9秒差の10位、旭化成は11秒差の13位、DeNAは21秒差の21位、コニカミノルタの設楽啓太は32秒差の28位と沈み、出遅れた。
2区(8.3km)
この区間は、外国人ランナーの参加が認められている区間。特に、五輪ランナー級選手を擁するチームは一気に順位を上げてくる。逆に、日本選手のみのチームはここでかなりのビハインドを覚悟しなければならない。区間賞ランナーとは1分30秒~2分、普通の外国人ランナーとも1分~1分30秒くらい差をつけられてしまう。
区間賞候補はDeNAのカロキ(26人抜き)、日清食品グループのレオナルド(2015年区間賞)、小森コーポレーションのケモイ(リオ五輪1500mケニア代表)、九電工のタヌイ(リオ五輪10000m銀メダル)など。テレビ中継の受け売りだが、タヌイが4番目の候補なのが不思議だったが、アキレス腱を痛めているという情報。
区間賞はカロキ(DeNA)で区間賞に迫る快走で18人を抜き、一気に21から3位に浮上させた。区間2位はディク(日立物流)で、1区の4位からトップに立った。区間3位はタヌイで3位から2位に順位を上げた。日清食品グループのレオナルドは区間4位だったが、1位から4位に順位を下げた。
1区で28位と出遅れたコニカミノルタはムワンギが区間5位で16人抜きで12位に浮上。逆にトヨタ自動車はガディアが不調で、区間27位、10位から23位に順位を落とす大ブレーキだった。
トヨタ自動車九州はズクが区間12位で1区8位からひとつ順位を下げ9位、旭化成は鎧坂が区間25位で13位から順位を7つ落とし20位。一見、鎧坂が不振のように思えるが、日本人トップで、外国人ランナーを6人上回った。タイムは2009年以降では、日本人の歴代3位で、これまで最高日本人記録より3秒下回っただけだった。この区間の構成は、日本人は7人のみで、30名が外国人選手だった。
2区を終了次点で1位日立物流、2位九電工。有力チームでは、DeNAが3位、トヨタ自動車九州9位、コニカミノルタ12位、旭化成20位、トヨタ自動車23位。
3区(13.6km)
3区の区間賞候補は、トヨタ自動車キャプテンの大石(2015年5区区間賞)、DeNAの上野(昨年この区間区間賞)、旭化成の大六野(昨年この区間で7人抜き)。
DeNAの上野が最初から飛ばし2.4kmでトップの日立物流に肩を並べる。3.5kmで日立物流が後退し始めた後も、ガンガン飛ばし後続を置いていく。
区間賞は上野で決まりかと思われたが、後続で上野を上回る走りを見せていたのがトヨタ自動車の大石。最初の1kmを2分30秒と猛烈なペースで追い上げ、5kmで17位に浮上。追い抜かれた旭化成・大六野も大石について行くのがやっとの状況。大石の魂の走りは続き7.5kmで10位まで順位を上げる。大六野も20m近く離されている。
また、12位でタスキを受け取ったコニカミノルタ・菊池も8.6kmで5位集団に追いつく。しかし、この菊池の走りを霞ませるのが大石で、8.9kmで5位集団に追いつき、10.8kmで3位に躍り出る。
3区はDeNAの上野が2位日立物流に59秒差をつけて襷を渡した(区間2位)。
3位は1分3秒差でトヨタ自動車・大石。大石は37:57(上野を17秒上回る)の区間賞で20人抜きの激走。
4位は1分6秒差でコニカミノルタ・菊池。菊池は区間4位で8人抜き。5位は1分9秒差でHonda。
トヨタ自動車九州は1分24秒差の9位。旭化成は1分28秒差の11位、大六野は区間3位で順位を9つ上げた。
区間賞候補がそのまま3位までを占め、有力チーム5チームは想定の範囲内ではないだろうか?
DeNAは約1分のリードのトップ。2強のトヨタ自動車とコニカミノルタは1分強のビハインドだが、トップがDeNAなので射程内と考えてよいし、注意すべきはお互いと考えているのかもしれない。
4区(22.0km)
最長区間の4区は各チームのエースが揃う。
トヨタ自動車(3区終了時点3位)は、ルーキーの服部勇馬(神野と並ぶ箱根駅伝のトップ選手)。
コミカミノルタ(3区終了時点4位)は、やはりルーキーの神野大地(言わずと知れた三代目“山の神”)
Honda(3区終了時点5位)は、設楽悠太(2年連続4区区間記録更新)
日清食品グループ(3区終了時点6位)は、村澤明伸(元箱根駅伝の代表的実力者)
トヨタ自動車九州(3区終了時点9位)は、今井正人(元祖“山の神”)
旭化成(3区終了時点11位)は、市田孝(昨年は代表から漏れる)
2km付近で2位~5位の日立物流・日下、トヨタ自動車・服部、コミカミノルタ・神野、Honda・設楽がひとかたまりになるが、しばらくして神野と日下が遅れだす。
後方では、旭化成・市田が快調。4.5km付近で6位集団に追いつく。6位集団は今井、村澤、MHPS・井上(昨年この区間3位)の強力メンバーであるが、7.5km付近でこのメンバーをも置き去りにする勢いである。
10km地点、トップDeNA・高木が29分16秒で通過。2位グループにジワジワ差を詰められていたが踏み止まっている。2位のHonda・設楽は28分23秒のペース。差を57秒詰め、両チームの差は12秒(トヨタ自動車・服部も並走)。
また、旭化成・市田は10km付近で神野を捉え、4位に浮上。市田は28分22秒のペースで設楽を1秒上回っている。
日清食品グループ・村澤、トヨタ自動車九州・今井、MHPS・井上も市田に離されたものの、日立物流を捉え、神野を追っている。
11km(4区中間点)、トップはDeNA。16秒差でトヨタ自動車とHonda。31秒差で旭化成とコニカミノルタ。43秒差でトヨタ自動車九州、日清食品グループ、MHPS、44秒差で日立物流と続いている。
12km手前で、2位グループに異変が。設楽が遅れだした。先頭と差が縮まらない状況が続いていたが、どうやら設楽の調子が良くなくてペースが下がり気味で、服部がトップを追うためペースを上げたようだ。これに設楽が全く反応できず、ズルズル後退。
13.8km、市田と神野が設楽を抜き去る。設楽はついていけない。神野は市田に食らいつき、一度、置いて行かれた設楽を逆転。
15km地点、トップのDeNAと2位トヨタ自動車の差は6秒と一気には詰まらない。15kmは高木43分52秒、服部は42分55秒。第一中継車の映像では市田と神野の姿が大きくなってきた。
17km付近で、神野が市田から遅れ始めているようだ。1位と2位の差は8秒とやや開いている。
5位グループは依然トヨタ自動車九州(今井)、日清食品グループ(村澤)、MHPS(井上)の3チーム集団のまま。Honda(設楽)は10秒以上、置いて行かれている。
19.5km、5位集団が神野を捉える。元祖“山の神”の今井と三代目“山の神”の神野が接近遭遇。神野も離されず、ついて行こうとする。
20.9km、今井と井上が神野を捉えた勢いで、市田に追いつく。村澤はやや離されている。市田も今井に必死ですがりつくが、腹痛が起きているようで苦しそう。
21.5km、中継点が近づき、服部が力を振り絞りピッチを上げるが、DeNA・高木がトップを死守してタスキを渡す。
2位は4秒差でトヨタ自動車・服部。
11秒差の3位でMHPS・井上、14秒差の4位でトヨタ自動車九州・今井、17秒差の5位で旭化成・市田、日清食品グループの村澤が粘って22秒差の6位、コニカミノルタの神野は力尽きて7位に下がり38秒差。Hondaの設楽は1分28秒差の10位に沈んだ。
区間賞は
1 市田 孝 旭化成 01:03:06
2 今井 正人 トヨタ自動車九州 01:03:07
3 井上 大仁 MHPS 01:03:14
4 横手 健 富士通 01:03:15
5 服部 勇馬 トヨタ自動車 01:03:18
6 村澤 明伸 日清食品グループ 01:03:28
7 神野 大地 コニカミノルタ 01:03:49
8 山本 憲二 マツダ 01:03:59
9 園田 隼 黒崎播磨 01:04:09
10 米澤 類 中国電力 01:04:12
高木(DeNA)は01:04:17の11位、設楽(Honda)は01:04:36の13位だった。
5区(15.8km)
タスキを受けて400mで、トヨタ自動車の早川がDeNAの永井を捉える。ついに先頭に立ったトヨタ自動車だが、旭化成・村山謙太、MHPS・松村、トヨタ自動車九州・押川の3人ががヒタヒタと迫ってくる。それを察知した早川がペースを上げ、DeNAの永井はついていけない。
追いつかれないようペースを上げた早川だったが、4km手前で追いつかれ5チームのトップ集団となる。
4.6km、DeNAの永井が遅れだす。
6.8km、7位でタスキを受け取ったコニカミノルタ・山本がDeNA・永井を抜き、トップに迫る勢い(トップとの差は9秒)。更に7.8kmで7秒差というレポート。
8.8km、旭化成・村山がスパート。集団の後方で満を持していたかのようなスパート。MHPS・松村が遅れ、トヨタ自動車・早川とトヨタ自動車九州の押川が食らいつこうとする。
早川が一旦、村山に追いついたが、村山が再びスパート。しかし、早川と押川も譲らず、10.5kmで再び一団に。
10.9kmの松原橋の上でスパート。
11kmのチェックポイントで2秒差。4位のMHPS・松村は20秒差、5位コニカミノルタ・山本は26秒差、6位DeNA・永井は47秒。
12.8km、トヨタ自動車九州・押川が食らいついている(3秒差)。トヨタ自動車・早川は9秒差と離された。村山は必死に逃げ、スパートを掛けるが長続きはしない。2、3秒差の押し引きが続く。
結局、スパート力に優る村山(旭化成)が押川(トヨタ自動車九州)7秒差に広げてタスキを渡した。
トヨタ自動車・早川は34秒差、4位は45秒差でコニカミノルタ・山本。52秒差の5位がMHPS・松村、1分37秒差の6位でDeNA・永井。
区間順位は
1 村山 謙太 旭化成 00:46:36
2 押川 裕貴 トヨタ自動車九州 00:46:46
3 山本 浩之 コニカミノルタ 00:47:00
4 早川 翼 トヨタ自動車 00:47:23
5 松村 康平 MHPS 00:47:34
6 高橋 尚弥 安川電機 00:47:55
7 松枝 博輝 富士通 00:47:57
8 三輪 晋大朗 NTN 00:48:00
9 松宮 隆行 愛知製鋼 00:48:01
10 鈴木 卓也 愛三工業 00:48:04
6区(12.5km)
7秒あった差をトヨタ自動車九州・奥野が1kmで追いつき、背中にピタリと付ける。
しかし、オーバーペースだったのか、300mほど並走しただけで早くも離れ出す。その差がみるみる広がり1.9kmで10秒差に。
その後もぐんぐん開き、トヨタ自動車・田中にも追いつかれそうだ。トヨタの田中は2年連続6区区間賞の実力者。入りの2kmを5分26秒と飛ばし、旭化成と34秒あった差を20秒差に詰めていた。
4位でタスキを受けたコニカミノルタ・宇賀地は5位に後退。故障がちで調子が良くないようだ。
6km地点では2位に上がったトヨタ自動車・田中との差は25秒差。一時は18秒差まで詰めたが、入りが速すぎたか。3位のトヨタ自動車九州・奥野は40秒の差をつけられている。
結局、確実に走った市田が区間1位で、後続との差を広げた。
2位トヨタ自動車とは58秒差、3位トヨタ自動車九州とは2分1秒差、4位MHPSとは2分9秒差、5位富士通とは2分25秒差、6位DeNAとは2分30秒差。コニカミノルタは7位で2分45秒差(宇賀地は区間25位)。
旭化成の優勝がかなり濃厚となった。1区で30位と出遅れた富士通が5位まで挽回してきた。
区間順位は
1 市田 宏 旭化成 00:36:32
2 田中 秀幸 トヨタ自動車 00:36:56
2 服部 翔大 Honda 00:36:56
4 前野 貴行 富士通 00:36:57
5 柳 利幸 日立物流 00:36:59
6 藤川 拓也 中国電力 00:37:20
7 黒木 文太 安川電機 00:37:23
8 須河 宏紀 DeNA 00:37:25
9 其田 健也 JR東日本 00:37:31
9 吉村 直人 愛知製鋼 00:37:31
7区(15.5km)
3位以下は2分以上あるので、逆転の可能性があるのは2位のトヨタ自動車だけ。しかし、宮脇を擁するとは言え、58秒差は旭化成の佐々木(リオ五輪マラソン代表)にアクシデントがない限り、逆転は難しい差である。
佐々木は区間2位でしっかり走り、危なげなく優勝のテープを切った。
区間順位は
1 野口 拓也 コニカミノルタ 00:46:08
2 佐々木 悟 旭化成 00:46:22
3 高瀬 無量 日清食品グループ 00:46:25
4 松井 智靖 中国電力 00:46:30
5 宮脇 千博 トヨタ自動車 00:46:31
6 白柳 智也 トヨタ紡織 00:46:37
7 定方 俊樹 MHPS 00:46:41
8 大津 顕杜 トヨタ自動車九州 00:46:44
9 奥谷 裕一 大塚製薬 00:46:47
10 山村 隼 NTT西日本 00:46:48
最終成績は
1 7 旭化成 04:49:55
2 1 トヨタ自動車 04:51:02
3 3 トヨタ自動車九州 04:52:18
4 11 MHPS 04:52:23
5 2 コニカミノルタ 04:52:26
6 12 富士通 04:52:50
7 5 DeNA 04:53:27
8 6 日清食品グループ 04:53:52
9 14 中国電力 04:53:57
10 9 日立物流 04:54:26
2番目の数字はゼッケン(昨年順位)
日本人選手のみチーム、しかも、名門の旭化成の18年ぶりの優勝はうれしい。
4区、5区、6区の区間賞が優勝の主因だが、1区の村山の落ち着きのない失敗気味の走りだったが、13位(11秒差)で留まり、2区の鎧坂も苦しい中、踏みとどまり、20位ながらも上位が見えるタイム差で留まったのが大きかった。
さらに、3区の大六野もトヨタ自動車の大石に置いて行かれる状況の中、自分の走りを見失かったのも勝因の一つ。
出遅れ覚悟の展開ではあったが、トヨタ自動車は2区が不振、コニカミノルタは1区の出遅れと、2強に大きな差をつけられなかったのも大きかった。トヨタ自動車は窪田が故障で不出場、コニカミノルタも宇賀地が完調には程遠かった。