臭い飯を食う………
一般に、 「囚人となり刑務所の飯を食う」(意訳的に)「刑務所に入れられる」こと。(by 「コトバンク」など)
「臭い飯」という訳は、簡易トイレしかない服役囚の部屋のにおいが漂う中で食事をすることから来ているようだが、実際に「麦飯と白米」のブレンド米は独特の匂いがするらしい。ホリエモンによるとホリエモン「ヘタなシャバの飯よりよっぽど美味い」らしい。
★冠城と亀井(笹野高史)の食事論
「“刑務所の飯を臭い飯”って言うだろ。あれ、俺から言わせたらウソ。
本当の臭い飯は、一人で喰うわびしい飯のこと」(by 亀井)
「上手いモノは独りで食っても旨いです。いや、むしろ一人の方がしっかり味わえます」(by 冠城)
この論議に、幸子がオチを付ける。
「何を食べるのかも大事ですが、誰と食べるのかも大事だと思いますよ」
亀井が本当に食べたかったのは、おはぎ。
しかも、妻が作ったおはぎを家族揃って食べることだった。
★シャバ(娑婆)は地獄か?
(上述の≪“臭い飯”…“孤独”を感じて食べる飯は不味い≫は、“娑婆は地獄”に繋がる)
「俺にすりゃあ、シャバは地獄だぁ。前科者の烙印を押されてみりゃあ分かるよ。
家族からも目の敵にされるんだぜえ。就職すりゃあ色眼鏡で見られて、前科があるとわかれば、まともに息も吸わせてもらえねえ」(by 亀井)
「確かに、刑務を終えた前科者をこの社会が受け入れる余裕を持てずにいることは事実でしょう。
しかし、あなたの家族や、何より、犯罪の被害者となった方々は、もっと苦しんでいるかもしれませんよ。彼らには刑務所と言う逃げ場もなく、このシャバで苦しみながら生き行くしかないんですよ。
彼らのことを思えば、すべてを社会の不寛容のせいにして済む話ではありません。
塀の中に逃げていては、何にも変わりませんよ。前科者だからこそ、塀の外で強く生きなければならないんです。前科者だからこそ、必死に生きなければならないんですよ」(by 右京)
亀井の取り調べが始まったのは昼下がり。日が傾き、夕陽が部屋に射し込み、右京の言葉が、亀井の心に突き刺さった時には、部屋が薄暗くなっていた。
冠城がスイッチを入れ灯りを点ける。(ちょっと、時間の経過が速過ぎ)
「今度、シャバに戻ったら、また僕のところに来てください。
僕で良ければ食事ぐらい、つき合いますよ。その時は、あなたの好きなおはぎでも一緒に食べましょう」
ドラマの核心部分は、非常に良かった。
しかし、刑期を終えて社会に復帰しようとした時、前科者への社会の不寛容さによるアリ地獄感の描写がなく、亀井の言葉のみだったので“シャバは地獄”感は薄かった。躊躇なく無銭飲食を繰り返している様子には、まったく共感できなかったし。
思うに、冠城と女性オーナーシェフ・しおり(入山法子)の恋話は不要で、しおりの食品偽造告発は簡単に流して、その分を亀井の過去を掘り下げた方が良かった。
そのうえ、しおりの一連の行動は、ストーリー(社長のアリバイ証明や冠城の失恋)のため、“取って付けた”感が強かった。
今回の脚本は池上純哉氏。
氏は、season14 第18話「神隠しの山」、season14 第19話「神隠しの山の始末」によって、“要注意脚本家”から“警戒脚本家”に格上げされている。
氏の脚本は、たまに“まずまず”の時がある。今回は“まずまず”の回(上から目線で申し訳ありません)。笹野さんの演技に助けられた感もある。
【疑問に感じた台詞】
「素行の悪い者も中にはいたかもしれませんが、それは元受刑者に限った話ではないでしょう。
一般社会にも同等な確率で、不届き者がいるものです」……“素行の悪い者”と“不届き者”と程度は違うかもしれないが、“同等な確率”と言ってしまうのは乱暴。
「あの人、ちょっと傲慢なところはありますけど、根はやさしくて、虫一匹殺せないような人なんです。
偽装だって、会社の為を思って、泣く泣くやったことです」……“恋は盲目”とは言え、あの社長の所業を見ていると、とても“根はやさしい”とは思えない。
【追記】
前話では「目撃情報なし」、今話は「遺体が白骨」で、捜査一課のイタミン達は、ほぼ立っているだけ。
『科捜研の女』を観ると、一課の無能さを激しく感じてしまう。
【ストーリー】番組サイトより
大手企業の食品偽装疑惑を白骨化した遺体が告発!?
カギを握るしたたかな累犯受刑者が右京と亘を翻弄する!
郊外の廃倉庫で白骨化した遺体が発見され、捜査一課に捜査要請が入るが、骨だけでは調べようがないため、特命係が捜査を押しつけられる。骨の発見現場にやってきた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、廃品に紛れた遺留品から米の入った袋と紙片を発見。その紙片には、「大手米穀販売会社・タキガワが、主食用の米に加工用米を混ぜて販売している」という主旨の告発が書かれていた。また、骨髄から摘出したDNAの型から、遺体の人物に前科があったことが判明。遺体は、蜂矢(稲健二)という中年男性で、3年の服役の後、協力雇用主制度を利用してタキガワに再就職した人物だった。協力雇用主制度とは、元受刑者の社会復帰を促すために、彼らを雇用した企業に補助金が支給される仕組み。亘が法務省時代、策定にかかわった制度でもあった。
蜂矢は、タキガワの不正を告発しようとして殺されたのではないかという疑惑が浮上する中、右京はタキガワで雇用されていた元受刑者のリストから、蜂矢の失踪と同時期に「逮捕による懲戒処分」という理由で退職している人物を発見。問題の男は、塀の中と外を行ったり来たりしている、亀井(笹野高史)という年老いた累犯受刑者だった。右京と亘は、刑務所を訪れて亀井から話を聞くが、「自分は殺しとは関係ない」と言うばかりで要領を得ない。いっぽう、亘が行きつけにしているレストランの女性オーナーシェフ・しおり(入山法子)にも疑惑が。しおりは、食材アドバイザーとしてタキガワの経営にもかかわっていたのだが、食品偽装の疑いが持ち上がる直前、タイミング良くタキガワから身を引いていた。そんな中、右京と亘は刑期を終えて出所してきた亀井に接触。しかし、亀井は特命係の2人ですら手を焼く老かいな人物で…!?
元受刑者の死と食品偽装疑惑の繋がりとは?
亘が入れあげる女性シェフにも“ある秘密”が!?
特命係が社会のひずみでもがく人々の思いに切り込む!
ゲスト:笹野高史 入山法子
脚本:池上純哉
監督:杉山泰一
一般に、 「囚人となり刑務所の飯を食う」(意訳的に)「刑務所に入れられる」こと。(by 「コトバンク」など)
「臭い飯」という訳は、簡易トイレしかない服役囚の部屋のにおいが漂う中で食事をすることから来ているようだが、実際に「麦飯と白米」のブレンド米は独特の匂いがするらしい。ホリエモンによるとホリエモン「ヘタなシャバの飯よりよっぽど美味い」らしい。
★冠城と亀井(笹野高史)の食事論
「“刑務所の飯を臭い飯”って言うだろ。あれ、俺から言わせたらウソ。
本当の臭い飯は、一人で喰うわびしい飯のこと」(by 亀井)
「上手いモノは独りで食っても旨いです。いや、むしろ一人の方がしっかり味わえます」(by 冠城)
この論議に、幸子がオチを付ける。
「何を食べるのかも大事ですが、誰と食べるのかも大事だと思いますよ」
亀井が本当に食べたかったのは、おはぎ。
しかも、妻が作ったおはぎを家族揃って食べることだった。
★シャバ(娑婆)は地獄か?
(上述の≪“臭い飯”…“孤独”を感じて食べる飯は不味い≫は、“娑婆は地獄”に繋がる)
「俺にすりゃあ、シャバは地獄だぁ。前科者の烙印を押されてみりゃあ分かるよ。
家族からも目の敵にされるんだぜえ。就職すりゃあ色眼鏡で見られて、前科があるとわかれば、まともに息も吸わせてもらえねえ」(by 亀井)
「確かに、刑務を終えた前科者をこの社会が受け入れる余裕を持てずにいることは事実でしょう。
しかし、あなたの家族や、何より、犯罪の被害者となった方々は、もっと苦しんでいるかもしれませんよ。彼らには刑務所と言う逃げ場もなく、このシャバで苦しみながら生き行くしかないんですよ。
彼らのことを思えば、すべてを社会の不寛容のせいにして済む話ではありません。
塀の中に逃げていては、何にも変わりませんよ。前科者だからこそ、塀の外で強く生きなければならないんです。前科者だからこそ、必死に生きなければならないんですよ」(by 右京)
亀井の取り調べが始まったのは昼下がり。日が傾き、夕陽が部屋に射し込み、右京の言葉が、亀井の心に突き刺さった時には、部屋が薄暗くなっていた。
冠城がスイッチを入れ灯りを点ける。(ちょっと、時間の経過が速過ぎ)
「今度、シャバに戻ったら、また僕のところに来てください。
僕で良ければ食事ぐらい、つき合いますよ。その時は、あなたの好きなおはぎでも一緒に食べましょう」
ドラマの核心部分は、非常に良かった。
しかし、刑期を終えて社会に復帰しようとした時、前科者への社会の不寛容さによるアリ地獄感の描写がなく、亀井の言葉のみだったので“シャバは地獄”感は薄かった。躊躇なく無銭飲食を繰り返している様子には、まったく共感できなかったし。
思うに、冠城と女性オーナーシェフ・しおり(入山法子)の恋話は不要で、しおりの食品偽造告発は簡単に流して、その分を亀井の過去を掘り下げた方が良かった。
そのうえ、しおりの一連の行動は、ストーリー(社長のアリバイ証明や冠城の失恋)のため、“取って付けた”感が強かった。
今回の脚本は池上純哉氏。
氏は、season14 第18話「神隠しの山」、season14 第19話「神隠しの山の始末」によって、“要注意脚本家”から“警戒脚本家”に格上げされている。
氏の脚本は、たまに“まずまず”の時がある。今回は“まずまず”の回(上から目線で申し訳ありません)。笹野さんの演技に助けられた感もある。
【疑問に感じた台詞】
「素行の悪い者も中にはいたかもしれませんが、それは元受刑者に限った話ではないでしょう。
一般社会にも同等な確率で、不届き者がいるものです」……“素行の悪い者”と“不届き者”と程度は違うかもしれないが、“同等な確率”と言ってしまうのは乱暴。
「あの人、ちょっと傲慢なところはありますけど、根はやさしくて、虫一匹殺せないような人なんです。
偽装だって、会社の為を思って、泣く泣くやったことです」……“恋は盲目”とは言え、あの社長の所業を見ていると、とても“根はやさしい”とは思えない。
【追記】
前話では「目撃情報なし」、今話は「遺体が白骨」で、捜査一課のイタミン達は、ほぼ立っているだけ。
『科捜研の女』を観ると、一課の無能さを激しく感じてしまう。
【ストーリー】番組サイトより
大手企業の食品偽装疑惑を白骨化した遺体が告発!?
カギを握るしたたかな累犯受刑者が右京と亘を翻弄する!
郊外の廃倉庫で白骨化した遺体が発見され、捜査一課に捜査要請が入るが、骨だけでは調べようがないため、特命係が捜査を押しつけられる。骨の発見現場にやってきた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、廃品に紛れた遺留品から米の入った袋と紙片を発見。その紙片には、「大手米穀販売会社・タキガワが、主食用の米に加工用米を混ぜて販売している」という主旨の告発が書かれていた。また、骨髄から摘出したDNAの型から、遺体の人物に前科があったことが判明。遺体は、蜂矢(稲健二)という中年男性で、3年の服役の後、協力雇用主制度を利用してタキガワに再就職した人物だった。協力雇用主制度とは、元受刑者の社会復帰を促すために、彼らを雇用した企業に補助金が支給される仕組み。亘が法務省時代、策定にかかわった制度でもあった。
蜂矢は、タキガワの不正を告発しようとして殺されたのではないかという疑惑が浮上する中、右京はタキガワで雇用されていた元受刑者のリストから、蜂矢の失踪と同時期に「逮捕による懲戒処分」という理由で退職している人物を発見。問題の男は、塀の中と外を行ったり来たりしている、亀井(笹野高史)という年老いた累犯受刑者だった。右京と亘は、刑務所を訪れて亀井から話を聞くが、「自分は殺しとは関係ない」と言うばかりで要領を得ない。いっぽう、亘が行きつけにしているレストランの女性オーナーシェフ・しおり(入山法子)にも疑惑が。しおりは、食材アドバイザーとしてタキガワの経営にもかかわっていたのだが、食品偽装の疑いが持ち上がる直前、タイミング良くタキガワから身を引いていた。そんな中、右京と亘は刑期を終えて出所してきた亀井に接触。しかし、亀井は特命係の2人ですら手を焼く老かいな人物で…!?
元受刑者の死と食品偽装疑惑の繋がりとは?
亘が入れあげる女性シェフにも“ある秘密”が!?
特命係が社会のひずみでもがく人々の思いに切り込む!
ゲスト:笹野高史 入山法子
脚本:池上純哉
監督:杉山泰一