英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

名人戦第4局 その5 緩みない寄せと意外な感想

2011-05-22 10:44:27 | 将棋

 控え室の研究どおり進み、第7図、「これは相当おかしい」
と言われた局面が出現した。

 羽生名人は▲3三金△同玉に▲2四飛(第8図)と打つ。

 ちょっとぼんやりした飛車打ち。王手ではないし、残りの持駒も銀と歩だけになり、心細く感じる。
 しかし、4三の歩や6三のと金がよく働いていて何とか寄りそうだ。△2三銀には▲3四歩△同銀▲4二銀△4三玉▲5三と、また△3四金なら▲4二銀△同飛▲同歩成△2四金▲3二飛△2三玉▲2四歩で良さそう。
 森内九段は△3四金と打った。以下、想定手順で進み、▲2四歩に△1四玉(第9図)とかわす。△2四同玉と取るのは、▲2七歩が利く(△2七同馬は▲3五飛成)。

 さて第9図、控え室の研究通り進んでいるのだから、寄っているのだろう。6八の角も利いてきそうだ。控え室によると、ここで▲3五飛成が好手とのこと。△3五同馬▲同角……飛車(龍)を消して生角を残す…大丈夫なんだろうか?ちなみに▲3五飛成で▲3五角は△2五玉でややこしくなるそうだ。
 実戦も▲3五飛成△3五同馬▲同角と進み、△3六飛に▲4三角!(第10図)

 え?さらに3五の角まであげちゃうの?解説には「▲4三角が▲2五金の詰めろと5四金取りで一石二鳥」とある。
 △3五飛に▲2六金で後手には受けがないそうだ。「無理やり受ける△2五飛打も▲1七香△1五歩▲同香△同飛▲1六歩で受けなし」
 森内九段は△3七飛と受けたが▲1五歩に投了。


 細い攻めを緩めず寄せ切ってしまった。私なら何回も間違えそうだ。
 ただ、ずっと控え室の研究通り進んだということは、プロなら一本道で当然の寄せだったのだろう。ちなみに、中継サイトの解説では、119手目の▲4二同歩成の時点で後の▲3五飛成の寄せが検討されていて、それを読んでの中継観戦だったので、ドキドキ感が小さくて済んだ。当事者の羽生名人は当然もっと早い段階で読んでいて、寄せを決行していたのであろう。両対局者、控え室の読みが一致したレベルの高い終盤だった(当然か)。
 ただ、羽生ファンとしては、楽勝ムードだっただけに、そこまできわどい寄せをしなくてもいいじゃないかと思った。
 最近は夕方過ぎぐらいから羽生名人の足取りが怪しくなる傾向があるので、本局ももしかするとと思ってしまった。控え室の研究で寄せきっているという手順通り進んでいても間違えるんじゃないだろうかと心配してしまう。羽生ファン失格である。

 さて、当の名人の局後の感想(一部)は、
「攻めが細かったので、ずっと自信のない将棋でした。6三にと金ができて難しくなったかなと。その後も分かっていませんでした。▲4三角を見つけて良くなったと思った」

 私が楽勝と思っていた局面(▲5四歩△4二銀を利かせた辺り)では、悪いと思っていて、▲6三歩成でようやく互角?……慎重すぎるのでは?やはり森内九段や3連敗を意識しすぎているのでは?

 とにかく、第5局の後手番をものにすれば、ほぼ互角。次が大一番です。
コメント (6)
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