英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

やっと1勝 名人戦第4局 その1

2011-05-19 16:15:39 | 将棋
 やっと1勝。
 これで今月一杯は「羽生名人」です。(書きながら、我ながら弱気だなあと)
 夕食休憩前は「楽勝」と思えたのですが、過激に決めに行った為、勝勢ではあるにせよ、一歩間違えば逆転という羽生ファンとしては、ドキドキの展開でした。森内九段も必死に逆転の筋を探ったため、終局は思ったより遅くなり、ドキドキ状態が長かったです。そんなわけで、あまりよくない表現かもしれませんが、「やっと1勝」です。

 常々感じているのですが、羽生名人は森内九段の強さを過剰に意識しすぎているように感じています。この考えは、『将棋世界』6月号山岸浩史氏の観戦記を読み強くなりました。

 第1局、「何故、△5四角と打たないのか?」「理解不能です」と控え室の棋士たちが口々に発した局面があった。問題の局面は下図、

 この周辺の指し手を詳細に書くと、また「その○」と続き、なかなか本題に入れなくなるので、要約します。
 △5四角に折角作った馬を交換するのは右翼の立ち遅れが残り損なので、馬をかわす手になる。
 ▲5六馬や▲6六馬は△8七角成▲同金△同飛成と飛車を成り込まれ悪いので、▲5五馬とかわし、△8七角成の時に▲8二歩を用意する。しかし、▲5五馬には一旦△8五飛と馬に当てながらかわされると、まずい。なので、先手も△5四角の瞬間、▲7一歩成を利かす工夫が考えられる。
 これに対し、①△7一同銀なら先手が良い(以下▲5五馬△8五飛▲9一馬△8七角成▲8六歩△7八馬▲8五歩△7七馬と進んだ時、馬銀両取の飛車うちがある。それで、②△7一同飛と取り、▲5五馬(▲6六馬)に△8五桂で銀が逃げられない(7八の金が抜かれる)ので後手がが指せる。

 よって参照図で△5四角と打てば後手がよさそう。
 しかし、羽生名人の指し手は△3五歩。これが味の良い手とか、厳しい手なら納得できるが、もう一手かけて△3六歩と取り込んでもそれほど先手陣に迫っている感じがしない。それに△3六歩と取り込んだ瞬間に▲3五桂が生じる。実戦も△3五歩以下▲4七銀△3六歩▲3五桂△3四銀▲2四飛と進み、難局となってしまった。△3五歩の意味は△3六歩と取り込んで先手の右桂を抑えておきたかったとのことだが、2手掛けるほどの価値はないように思える。
 そんなわけで(△3五歩がそれほどの手ではない)、よさそうに思える△5四角を羽生名人が見送ったのが大きな謎だった。

 山岸氏はこの謎に切り込んでくれた。有難い。
 真相は、対局中△5四角は▲7一歩成△同飛の時に▲8三馬で悪いと羽生名人は考えていた。以下△8五桂は▲7四桂と飛車を押さえ込まれてしまうと。しかし、▲8三馬には△8一飛で後手良しだと後で気づいたそうだ(以下▲7二馬には△8四飛で次に△7一歩で馬が捕獲できる)。

 ああ、やはり、長くなってしまいました。
 長くなったついでに、羽生名人の局後の結論を紹介すると、△5四角で後手良しかというとそうではなく、▲7一歩成を利かさずに、単に▲5五馬が正着で、△8五飛には▲5四馬△同歩▲3五桂ではっきりしないとのこと。
 将棋に妥協を許さないというか、何という局面の掘り下げ方だろう。

 それはともかく、対局中は羽生名人ただ1人、△5四角▲7一歩成△同飛▲8三馬を読み、予定の△5四角を断念してしまった。
 深い読みの故、▲8三馬が見えてしまったわけだが、その結論(△3五歩)を出した根底には、森内九段の強さを意識し過ぎた故の読みのブレがあるような気がする。予定(第一感)を変更し、先手の右桂の活用を警戒し過ぎて、△3五歩に至ってしまった。羽生名人の読みにどこか力みがあるように感じます。

 やはり、続く。
コメント (4)
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歳時メモ(山藤)

2011-05-19 11:37:06 | 歳時メモ
 山藤は今が盛り。
 つつじも満開。
 フランスギクも今が盛り、ハルジオンもあちこちで。
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