カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

世界銀行 カンボジア経済アップデート 経済回復の兆し

2021年12月16日 | 経済
 12月9日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2021年12月:新型コロナとの共生」を発表しました。
 カンボジアの成長率予測については、若干引き下げましたが、2020年のマイナス3.1%から、2021年2.2%(6月予測4.0%)、2022年4.5%(同5.2%)、2023年5.5%(同6.0%)に回復すると見ています。新型コロナの影響は、特に観光業や建設・不動産業で深刻でしたが、縫製品や部品等の輸出や農業が堅調であったことから、経済回復の途上にあるとしています。特に、電気・電子・自動車等の部品製造業が頭角を現していることや、食品加工業の輸出が伸びていることを指摘しています。また、ワクチンについては人口の8割以上に接種が進んでおり、経済の再開を開始していると評価しています。
 物価上昇率は、世界的な原油価格の上昇の影響はあるものの安定的で、2021年3.5%、2022年3.8%、2023年4.2%と予測しています。対外収支は、金の輸入の急増等から予想以上に悪化し、2021年の経常収支赤字(対GDP比)は26.9%まで拡大すると予測しています。ただし、この赤字の大半は堅調な海外直接投資等で埋め合わされて、2021年9月末の外貨準備は若干減の193億ドル(輸入の約10か月分)と非常に安定的です。ドルと現地通貨リエルの為替レートも、中央銀行の介入もあって1ドル4100リエル近辺で安定的です。また、対外債務も問題ない状況としています。財政については、新型コロナ対策で歳出が増加したことから、赤字(対GDP比)が6.1%まで拡大すると予測しています。
 貧困については、内需の落ち込みもあって、地場の中小零細企業の回復が遅れており、雇用状況も回復せず、貧困率は感染拡大前のレベルに戻っていません。しかし、2021年10月現在で、約68万世帯(世帯の約19%)がカンボジア政府の現金支援を受領したことを評価しています。
 カンボジア経済のリスクとしては、新型コロナ感染の再拡大に加え、世界的な規制強化の継続等による観光業の回復の遅れを挙げています。また、民間貸付の急速な伸び、特に建設・不動産業への貸付集中、今後数年で予想される後発開発途上国からの卒業による特恵関税資格の喪失等も指摘しています。対応する政策としては、新型コロナ対策の「ニューノーマル」に対応した規制の明確化、観光業の回復に向けた規制緩和と財政支援、新投資法の実施促進、金融機関の不良債権の監視強化等を提言しています。
 なお、特別フォーカスとして、「新型コロナの教育・所得へのインパクト」と題する調査報告も含まれています。

世界銀行の発表(英文です)
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2021/12/08/cambodia-country-economic-update-december-2021-cambodia-is-now-living-with-covid-19


↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へ
にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする