世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

ホームレス part 2

2007年01月27日 | 
サンフランシスコのダウンタウンに、テンダーロインという地区がある。ステーキ街ではない。低所得者層が集まる地区だ。

サンフランシスコにしては、珍しく冷える夜だった。
僕は、ありったけのものを着込んで出かけた。
長袖のアンダーウエアーにタートルネック。厚手のブルゾンの上からマフラーを巻きつける。タイツにニットの帽子。まるでスキーに行くような重装備だ。

それでもこの夜は芯から冷えてくる。

ミュート(地下鉄)を降り、路上に出た途端あちこちにホームレスの姿がある。
一瞬身がこわばる。
周りを警戒しながらも、通りを歩く。

歩道にうずくまるホームレス。すれ違った男からかすかなマリファナの臭い。

町の一角に、女性を含めた10人ほどの場違いな集団がいる。
手に手にバッグを持ち三々五々に散らばる。

ホームレスに声をかける。バッグから靴下を取り出し彼らに手渡す。
「お祈りしてもいいですか」
ホームレスの肩に手を置き「神のご加護を」と真摯に祈りをささげる。
聖書を手渡され、涙を流すホームレス。

こうした異様ともいえる光景が、町のあちこちで一時間以上続けられた。