京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【一点雪】

2008-11-17 | Weblog
これから寒い冬へと向かいます。冬のお茶会に参りますと【紅炉一点雪(こうろいってんのゆき)】というお掛け物に出合うことがあります。この句は碧巌録からの引用で、『紅炉上如一点雪(こうろのうえいってんのゆきのごとし)』を略したもので、そのままの意味は「真っ赤に燃え盛る暖炉の上に一片(ひとひら)の雪が舞い落ちて来て一瞬にして解け消えゆく」ということです。真っ赤な炎に真っ白な雪のコントラストを想像するだけで美しく思います。
人の一生も、地球や宇宙の時間からみれば、この雪のごとき一瞬のものです。そんなはかない命やからこそ、精一杯生きて天寿をまっとうしたいもんです。
禅的な解釈は、碧巌録に「荊棘林透衲僧家、紅炉上如一点雪」とあり、修行僧が荊(いばら)の林を通りぬけて来ても、解けてしまう一点の雪のように何の痕跡も残さないというものです。衣がボロボロになって、如何にも大変な道を苦労して歩んできたように見えるのは修行が足りないということで、どんなに苦しく困難な道を歩んで来ても、そんな様子は些かも見せずに、涼しい顔でいるというのが、修行の目指す姿であるといった意味でしょう。
確かに生きていくことは、辛く苦しいこともいっぱいありますけど、この教えのように生きていきたいもんです。
『碧巌録』とは、全十巻に及ぶ中国宋時代のもので、その中から抜粋された様々な句が、お茶席の掛け物によく用いられます。うちにも春屋宗園の掛け物があります。春屋宗園(1529~1611)とは大徳寺の111世で、塔頭三玄院と龍光院を開山し、千利休・古田織部・小堀遠州等の帰依を受ける。利休の孫宗旦を育てたとされる臨済僧です。

もみじがり

2008-11-17 | Weblog
京都は至るところに紅葉の名勝があり、只今錦秋真っ盛りです。
ぼくは、毎年【神護寺】に紅葉狩に行って、その見事な景勝を楽しんでます。
そして、茶席のお干菓子も今の時期ならではの『吹き寄せ』です。茶室の空間に、ぱぁーと綾錦の雰囲気が漂います。亀屋伊織さんのお干菓子は、いつもながらほんまに素晴らしいなぁと思います。