京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【薫物】

2015-04-26 | Weblog
平安貴族は独自で練香をブレンドし、[薫物(たきもの)合わせ]で披露し、洗練された香りを楽しんでました。

沈香 薫陸 安息香 簷糖香 白檀 丁子 甘松香 霍香 甲香 麝香 鬱金 没薬 竜脳 桂皮 大茴香 霊陵香 竜涎香 などの香木や香草に粉炭 蜂蜜 酒 梅酢なんかをつなぎとして練り込み丸めて熟成させます。

平安時代の代表的な[六種の薫物(むくさのたきもの)]とは、黒方(くろぼう) 梅花(ばいか) 荷葉(かよう) 侍従(じじゅう) 菊花(きっか) 落葉(らくよう)。梅花は正に梅の花の香りで春。荷葉は清々しく爽やかな蓮の花の香りで夏。侍従は秋風の懐かしい香りで秋。菊花は菊の被綿の菊の露の香りで秋から冬。落葉は敷紅葉やすすき野をイメージした優しくしみじみとした香りで冬。黒方は深く高貴な香りで冬もしくは四季を通じて。源氏物語には黒方 梅花 荷葉 侍従の4種が登場します。

この時節、うちでは黒方を主に用いております。

【茶事】

2015-04-23 | Weblog
昨日の道楽 瑞相庵における茶事は、今季炉の季節最終の行事となります。

懐石は、魯山人と寛次郎の器を用い、道具の取り合わせは明治時代頃のもんに揃えました。

お向こうは鱒の昆布締め、椀盛は伊勢海老、焼物はマナガツオ西京焼き、強肴は塚原の朝堀竹の子、預鉢は春菜の松の実和え、箸洗いは一寸豆、八寸はアスパラ生ハム巻き・カラスミ、香の物は小蕪、胡瓜、岩菲人参、西瓜奈良漬。主菓子は、道楽製 無花果の甘夏餡包み。

花は古備前に羽団扇楓に白山吹。季節と共に在る悦びを感じる花となり、大層お喜びいただきました。

主客が心通う素晴らしいひとときに、深く感謝致しております。

【穀雨】

2015-04-20 | Weblog
本日、4月20日は二十四節気の穀雨。旧暦では、3月2日にあたります。春の季節最後の二十四節気で、百穀を春雨が潤す頃 という意味。ほんまに雨降りの日が多く、田畑を潤し穀物の成長を促します。また、この時期の長雨を菜種梅雨というたりします。

明日は、旧暦の上巳の節供、所謂雛祭りです。改暦によって、随分と季節感が変わったもんですね。

「雲静にして日月正し」四季の流れやお日さん・お月さんの運行が正しく順調に営まれることによって、我々は平穏無事に生活を送ることができるんです。

【つばくらめ】

2015-04-13 | Weblog
ツバメは、四月のはじめ頃に日本に渡ってきて、軒に巣を作ってヒナを育ててるのを目にします。六月半ば頃には、二番ヒナの子育てなのか、街中を飛び廻ってなにやら慌ただしい様子。秋めいてきたら、子達と一緒に巣立ちの準備。知らん間に南へと去ってしまいます。

ツバメのことは、竹取物語には「つばくらめ」と書かれています。竹取物語は平安時代前期の成立といわれ、仮名で書かれた最古の物語。仮名文学・物語の祖とされてます。
大言海には、「つばくら」は鳴き声で「め」は群れとあり、「翅黒女」と解されることもあります。玄鳥とも書かれ「玄」は翼の色の事。

まさに、ツバメの行動は季節の流れと共にあり、軽やかで美しく、爽やかで愛らしく、残された空の巣は、物悲しく寂しくもあります。

2015-04-08 | Weblog
今日4月8日は、お釈迦様がお生まれになられた日。

早朝に目が覚めて、外を見渡せば、春雨の中、東山三十六峰に霞がたなびいて雲と入り交じり、何とも幽玄な光景を目にしました。

「桜花 夢かうつつか しら雲の 絶えてつれなき 嶺の春風」家隆

〔桜の花は、夢であったのか現実であったのかわからないが、花の白雲はすっかり消えてしまい、花を散らす無情な春風が嶺を吹いている〕

「花さそふ 比良の山風吹きにけり 漕ぎ行く舟の 跡みゆるまで」宮内卿

〔桜の花を誘って散らす比良の山風が吹いたのだなぁ。漕いでいく舟の航跡がはっきり見えるまでに、湖上一面に花びらが浮かんでいる〕

毎年のことですけど、花の時分の京都は何処も彼処も、ものすごい賑わいとなります。

【茶の湯】

2015-04-01 | Weblog
本日は、花残月の茶事でした。
あいにくのお天気ではございましたが、皆様にはごゆっくりとお過ごしいただくことが出来、休心しております。

初炭のあと、懐石は以下の通り。

〇向附 了入 兜向附
琵琶鱒昆布〆 菜種 土筆 山葵

〇汁 時代根来四つ椀袱紗味噌仕立 蓬麩 湯葉 芥子
〇飯

〇煮物椀 時代絵替源氏物語蒔絵椀
塚原筍 鳴門若布 木の芽

〇焼物 萩灰被俎皿
二色田楽豆腐

〇強肴 白井半七 青楓鉢
豚白菜

〇強肴 永楽和全 西王母鉢
青干し薇卯の花和え

〇小吸物 時代梅小吸椀
桜花

〇八寸 秋田杉木地八寸盆
アスパラ 鮑

〇香の物 北大路魯山人 藤原啓共作 火襷手鉢
胡瓜 小蕪 人参

主菓子 飛来一閑縁高
花手鞠 道楽謹製

中立の後、濃茶。
釜は名越昌次 三友紋繰口釜 宮崎寒雉識箱、茶入は瀬戸焼肩衝 不見斎識箱、茶杓は瑞巌宗碩、仕服は時代小花紋緞子、茶碗は二代道年の黒茶碗。

後炭の後、薄茶碗は安南絞り手 万古長寿茶碗 近藤悠三識箱、替 時代彫三島茶碗でした。

春雨の中、幸せなひとときを主客で過ごすことが叶い、心より有難く思います。お忙しい中、はるばる御出座しいただきました方々に、深く感謝致しております。