京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

「にゅうめん」

2013-10-25 | Weblog
本日のT&T連載[うちでの料理]は「にゅうめん」です。

「にゅうめん」とは煮麺が変化した呼び名で、茹でた素麺を炊いた料理です。

素麺は鎌倉時代に中国より伝わったとされ、室町時代には素麺作りの職人がいて、当時のにゅうめんは茹でた素麺を味噌煮込みにしてたようです。

江戸時代に醤油を用いて煮るようになり、茹でた素麺に葱や炊いた椎茸やぎんなん等をのせて葛餡をかけた「葛にうめん」や濃く仕立てた味噌汁をかけた「こくせう麺」なんかもありました。

蒸したり焼いたりした鯛をのせてたり、鯛のアラでとったお出汁を用いた「鯛にゅうめん」はであいもんですね。

《秋の野山の空気を》

2013-10-22 | Weblog
京の町を囲む山々には、肌寒い空気が漂ってまいりました。

人の手で栽培ものとは異なり、山で摘んできた白菊(竜脳菊)は気品に溢れてます。本日は花釘に土器を掛け、黄葉した山の芋の蔓と合わせてみたら、すがすがしい秋の山の空気が茶室の空間に漂いました。

「柚の色づくを見て囲炉裡に」という利休さんの教えどうり、柚が色づき始め開炉の時期が近づいてまいりました。

炉が開かれる頃には、早咲きの椿と照葉を入れますけど、この時季を告げる最も相応しい取り合わせのひとつです。

《スモークサーモンのムース》

2013-10-18 | Weblog
本日のT&T連載 うちでの料理は、スモークサーモンのムースです。

燻製は、古くより世界各地で保存食として作られてきたもんですけど、現在では食材に染み付いた燻煙やスパイスの香りを楽しむ料理法でもあります。

燻製の作りの工程は、塩漬け・塩抜き・乾燥・燻煙となり、燻煙の仕方は温度によって、冷燻・温燻・熱燻に分けられ、それぞれ燻す時間も違てきます。

手間隙かかりますけど、いろんな食材を、ヒッコリー・サクラ・リンゴ等々のいろんな材質のチップを用いて、自分流に作ってみたら楽しいもんです。

直ぐに食べたいときは、保存性はありませんけど、中華鍋等を用いて熱燻にしたら、比較的短時間でお手軽にできますね。

TomaTown vol.42

2013-10-16 | Weblog
京都新聞TomaTown2013.10に、十一月季節の料理として「空也蒸し」と「空也餅」を以下の通りご紹介しております。

11月13日は空也忌。空也上人(903~972)は、平安中期の天台宗の僧で、市聖(いちのひじり)・阿弥陀聖(あみだひじり)とも称せられた、空也念仏の祖。京都を中心に貴賤を問わない口称念仏の布教を展開した。948年に比叡山で受戒し、戒名は光勝。諸国を巡り、浄土教の普及に努めるかたわら、道を開き、橋を架け、堂の改修、難民救済などに尽力した。空也上人が晩年、東国に向かう際、「今月今日寺を出る日を以て忌日とせよ」言い残した事から、11月13日を忌日とし、11月の第2日曜日には、堀川蛸薬師の空也堂極楽院で法要が営まれ、踊躍(ゆやく)念仏と六斎念仏が奉納される。応和年間(961~964)に西光寺(現在の六波羅蜜寺)を建立。ここの有名な空也上人木像は、鎌倉時代の康勝の作。

空也上人ゆかりの食が空也蒸し(空也豆腐)と空也餅。
空也蒸しは、空也派の僧侶が創製した京都に伝わる昔ながらの料理で、お豆腐を具に茶碗蒸しを作り、熱々の葛餡をかけたもの。肌寒くなる時節、身体が温(ぬく)たまる。
空也餅は、餅米を蒸して半搗きにし、中につぶし餡を鋳込んで丸くくるんだ素朴な味わいのお菓子。椿の葉で挟んだら椿餅、桜の葉で包んだら桜餅に。

空也蒸し・空也餅の画像は、小生撮影のものです。

《干瓢鶏味噌和》

2013-10-11 | Weblog
本日のT&T連載うちでの料理は、干瓢鶏味噌和。

「夕顔に かんぴょうむいて 遊びけり」松尾芭蕉が旧東海道宿場町五十番目の水口宿(現在の滋賀県甲賀市水口町)へ訪れ詠んだ俳句です。

水口の干瓢は安藤広重の浮世絵にも描かれ江戸時代には大変有名でした。水口岡山城主の長束正家が慶長の初めに干瓢を作らせ、正徳元年に水口藩主の鳥居忠英が、下野国(現在の栃木県)壬生に国替えになった際、種子・栽培法を伝えたんで、現在では栃木県の干瓢が全国生産量の98%以上を占めてます。

夕顔の実は瓢(ふくべ)と呼ばれ、それを干したものなんで干瓢というわけです。

栄養的には、カルシウム・カリウム・リン・鉄分等が多く含まれ食物繊維も豊富で、優れた健康食品なんですね。

《米国メディア》

2013-10-10 | Weblog
昨夜は、外国人記者の方々による取材及び食事会がございました。
発行部数1500万部の「reIish」はじめ、「Intermezzo Magazine」など計4社の方々がお越しくださいました。

料理のご説明には、かなりの時間を要しましたが、通訳者の女性が非常に優秀な御方で、英訳しにくい専門的なお話にもかかわらず、実にスムーズに分かり易くお伝えくださいました。

外国人記者の方々は、料理・器・設えなど大層お気に召されお喜びいただき、ひと安心致しました。私どもにはもったいないお褒めの御言葉をたんと頂戴致し、誠に光栄に存じますとともに深く感謝申し上げます。

アメリカ人の御家庭向けに作った、伝統京料理レシピも2品ご紹介させていただきました。

これからも機会がございましたら、国内外に関わらずに、日本料理の本質を発信し続けていこうと思っております。

《料理教室》

2013-10-07 | Weblog
本日の料理教室の内容は、以下の通りでした。

◆だつと干湯葉のおしたし

◆鮭と北あかりの鶏ガラ汁

◆糸よりの照り焼き

◆揚げ蓮餅の餡掛け

◆小柱茶漬け

◆シャンパンケーキ

お料理も満喫賜り、ゆっくりといろんなお話をさせていただき、ぼく自身とても楽しいひとときでした。

ありがとうございました!

《魚捌き教室》

2013-10-03 | Weblog
本日の魚捌き教室は鯖と鮃。

鯖は真サバとゴマサバ(マルサバ)があり、それぞれの旬が違て、真サバは秋 ゴマサバは夏です。

「サバの生き腐れ」と言われるように、鮮度が落ちるのが速く、エラの色が鮮紅色で、目が澄み、腹がしっかりしたものを選びます。腹が薄っぺらなものは、概して脂ののりがよくないですね。

料理は、きずし・サバずし・煮付け・味噌煮・塩焼き・船場汁などがええでしょう。

鮃の旬は秋から冬(9月~2月)。

料理は刺身・求肥巻・煮付け・酒蒸し などがよく、縁側は珍重され、味は白皮(裏側)より黒皮(表側)が優ってます。

鮃と鰈の見分け方は、口の大きさが鮃の方がかなり大きく、例外はありますが目の位置が前方から見て左にあるのが鮃で、右にあるのが鰈、「左鮃の右鰈」などと言われてます。

釣りが御趣味の男性で、前回より御参加されてます方は、かなり上手に捌かれてました。

教室終了後、直ちに夜席の段取りと明日の仕込みに追われました。

《芒》

2013-10-01 | Weblog
床の間に生けられたらすすきは、秋の風情を漂わせます。秋にかぎらず、夏は青すすき、冬は枯すすきと呼ばれ、屋根を葺くのにも用いられていた、遠い昔より日本人の心に宿る草です。

日本の芸術家たちは古より秋草を描き、その中でもすすきは秋の趣を放ち、ひいては生命の儚さを醸します。
尾形光琳・俵屋宗達、そして琳派の画家達、乾山の器などにもすすきが目を引く作品が多々ございます。

高浜虚子は「目さむれば貴船の芒生けてありぬ」と詠みました。目が覚めたら貴船の芒が生けてあった。まさに秋の空気、目がさめるような新鮮な感じに身を包まれたことでしょう。

すすきは、お月見には団子といっしょにお供えされ、初田植えには田の神の依代とされ、また身を守り厄除けの力が宿ると信じられてました。
日本人にとって暮らしの中で息衝き、ふるさとの野山や河原の風景、懐かしさが心によみがえる秋草なんです。