京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

《週刊T&T》

2012-09-30 | Weblog
京都新聞の毎週金曜日に新聞と一緒に配達される情報誌「週刊トマト&テレビ京都」で、十月より[道楽‘味’外伝 飯田知史のうちでの料理]という連載が始まります。初回は十月五日の金曜日となります。

以前、京都新聞本誌で一年間連載しておりました「京のおまわり」は、おかげをもちまして大変ご好評にあずかり、只今京都新聞出版センターより発売中でございます。

今回の連載では、これまでにぼくが出版しております料理本で掲載されてない料理レシピばかりをご紹介しておりますので、ご笑覧いただきますれば心より幸いに存じ上げます。

《鰈》

2012-09-29 | Weblog
鰈は孵化したときは、ふつうの魚と同じく頭の左右に目が付いてますけど、体長1cmくらいから左目が頭上を越えて右側に移動して、これを機に海底での生活を始める不思議な生態です。

京都では、若狭の子持ち柳虫鰈を生干ししたもんを「ささがれぇ」というて、大変珍重してます。酒をサッと塗って炭火で焼いた味わいは、正に美味佳肴。

鰈は、刺身では薄作りや洗いにしますし、種類によって煮付け・唐揚げ・焼きもん・酢のもんなんかにもします。

甘手鰈や目板鰈や石鰈はあらかた夏場が旬ですけど、真鰈はこれからです。

昨日、北海道産の2Kgを超える真鰈を入手して、そぎ造りにしたところ、おろした身もかなり厚みがあって、最高の味わいでした。

《秋の茶事》

2012-09-27 | Weblog
本日は、秋の茶事を執り行いました。

待合は「秋の夕」画賛。本席は頼底和尚筆、大鑑慧能の偈、横物の大軸です。

懐石は、永楽焼をはじめ、すべて京焼で揃えました。煮物椀・小吸物椀も薄手の時代京蒔絵を用いました。
一品一品、秋を感じる料理と器を意識して御献立を考えて供しました。

秋晴れの天候に恵まれた一日で、露地のお腰掛けにも気持ちよくおはこびいただけ、大変スムーズに進行することができました。

皆様とご一緒に有意義なひとときを過ごすことができ、とても嬉しく心より感謝しております。

《おみそ》

2012-09-26 | Weblog
おみそは、麹菌を繁殖させ、蒸し大豆と塩と水を加えて、長期間にわたり発酵・熟成させてつくります。

麹には、炊いた米・麦に麹菌を加えた、米麹・麦麹、蒸した大豆に麹菌を加えた大豆麹があり、米麹を用いてつくったもんが「米みそ」、麦麹でつくったら「麦みそ」、大豆麹でつくると「豆みそ」となります。
白みそは主に米麹、赤みそは大豆麹、麦みそは麦麹からつくられてます。

米・麦は熟成する間にデンプンが分解されてブドウ糖などの甘味成分に変わり、大豆は熟成する間にタンパク質がアミノ酸などの旨味成分に変わります。

米みそは甘口で、京都の白みそ・信州みそ・仙台みそ・江戸みそ なんかが有名です。
麦みそは甘口・辛口どちらもあって、田舎みそと呼ばれてるもんが多いです。
豆みそは辛口赤みそで八丁みそ・三州みそなどがあり、赤だしみそは、赤みそにほかのみそをほどよく調合してあります。

みそ汁は日本人のふるさとの味でもあり、栄養面でも植物性タンパク質が豊富で、ごはん(白米)食で不足しがちな必須アミノ酸を補ってくれるんです。

てっぱい(辛子酢味噌和え)・西京焼き・みそ漬け(漬け物)・田楽・みそ煮・みそ餡……など日本料理に欠かせない昔ながらの調味料です。

《料理教室》

2012-09-24 | Weblog
「鯛白板巻き」は、鯛の身を開いて、中心に長芋・人参・胡瓜を射込んで、白板昆布で巻いて2cm厚さに切ります。

「土瓶蒸し」は、活鱧と国産松茸に三つ葉です。

「焼目近(鮭)の野菜餡」は、甘塩目近を霜降りして鱗をとり、酒をかけて焼きあげたんに、野菜餡をタップリとかけます。

「烏賊と里芋の炊いたん」は、鯣烏賊の捌き方、烏賊の塩辛の作り方も同時にレクチャーしました。

「大和茄子田楽」は、白田楽味噌の炊き方、茄子の下処理・焼き方です。

「イクラ御飯」は、イクラの漬け方を説明し、土釜で炊きたての御飯とイクラ、香の物・小吸物を供しました。

皆様、お楽しみでいろいろとお尋ねいただき、とても嬉しく存じております。

《片栗粉》

2012-09-23 | Weblog
料理屋では、とろみをつけるのに、吉野本葛(大和葛)を使いますけど、ご家庭では主に片栗粉が用いられてます。

片栗粉は、カタクリの鱗茎から採った澱粉です。鱗茎とは地下茎の一種で、タマネギやユリネのように短縮した茎の周囲に、養分を貯えて厚くなった葉が重なって球根のようになったもんです。

この片栗粉は、明治期まで一般に用いられてましたが、大正時代にほとんどなくなってしまいました。

今の片栗粉は、ほぼ100%が、ジャガイモ澱粉から造られたもんです。

《秋分》

2012-09-23 | Weblog
昨日は、秋分の日です。例年、九月二十三日と認識しておられるむきも、たんといたはりますが、正確には太陽が黄経一八0度の秋分点を通過するときをいいます。
日々の暦のズレは四年に一度の閏年で調整してますけど、この調整にもズレが生じ百何年かぶりに、九月二十二日が秋分となったようです。

この日の太陽は真東から昇って、真西に沈みます。西方浄土という阿弥陀仏の極楽浄土につながって、ご先祖さんを敬い感謝し、御霊を偲ぶためにお墓参りに行く日です。

また、春分と同様にお昼と夜の長さがちょうど同じになります。

夏の暑さの名残があるため、春分と比べると平均気温は十度以上高いですけど、‘暑さ寒さも彼岸まで’の言葉通り、暑さもすっかりやわらいで、過ごしやすい一日となりました。

《種無し葡萄》

2012-09-20 | Weblog
明治にアメリカからやって来たデラウェアを、日本で昭和三十年代に種無しにする手法があみだされました。

開花前の葡萄の房をジベリン液に浸けて、種が出来たと認識させ種無しにして、開花後に再びジベリン液に浸けて実の成長を促します。

巨峰・マスカットや巨峰とマスカットを掛け合わせたピオーネにも、種無しのもんが増えてきました。

ちなみに、種無し西瓜は、コルヒチンというアルカロイドのの一種を用いて、染色体の数を変えて作られてるもんが多いです。

《甘味》

2012-09-19 | Weblog
昨今「スイーツ」が大流行ですが、大昔に人間が食べた甘いもんは何でしょうか。
蜂蜜、干し柿、甘酒、麦芽飴…

お砂糖は、奈良時代の正倉院文書「種々薬帖」に‘蔗糖’の文字があることから、唐から伝わったようですが、室町時代になっても一般には普及しなかったようです。

サトウキビが江戸時代の初めに奄美大島に移植されて、八代将軍吉宗が栽培を奨励し、その後寛政年間には九州・四国で生産されるようになりました。江戸時代のお砂糖はかなり高価で、お菓子を除くと料理に砂糖を用いる記述は実に少ないです。

明治になって洋式製糖法の導入により、現在のような上白糖を食べるようになるんですけど、高級感はまだまだ続いて、戦後しばらくは、上白糖が御中元・御歳暮など贈答品の人気ナンバーワンでした。

《観音様》

2012-09-18 | Weblog
毎月の十八日は、観音様の縁日。縁日由来の観音講は、清水さん(清水寺)の清水講が有名です。

観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)は、勢至菩薩(せじぼさつ)とともに、阿弥陀如来の脇侍(わきじ)で、慈悲深い徳があって救いの求めに応じて、楽を与え苦を抜く大慈大非を垂れるとされてます。

古より、清水寺・六波羅蜜寺・六角堂・蓮華王院・吉田寺・河崎・革堂の京都七観音は有名で、七観音詣が盛んに行われてきました。
一般には、西国三十三所観音霊場や三十三カ所の寺院を廻る観音巡りが広く知られてますね。