京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【芒(すすき)】

2016-08-28 | Weblog
いつの間にか日が暮れると虫の音が聞こえてくる季節となりました。

花入に芒を入れると、部屋の空気も俄然秋めいて涼しげになります。

芒は町中ではほとんど見られへんようになりましたけど、川辺や野山どこにでもあって、身近でいてどことなく懐かしい草です。

「秋の野おしなべたるをかしさは芒こそあれ」枕草子にあるように、古より秋の野といえば、芒の風景に代表されます。

琳派の武蔵野図や乾山の染付金彩芒文蓋物なんかも、侘びた秋の風情が漂います。

芒は「尾花」「乱れ草」「袖振草」「茅」など様々な日本的な趣深い名が付けられ、中秋の名月には萩と共にお供えし、田植え初めの際は、田の神の依代にする慣わしがあるように、凡庸かつ神聖、まさに日本的秋草です。

【初秋】

2016-08-27 | Weblog
「暑さ寒さも彼岸まで」暦の上では二十四節気の立秋から処暑までが初秋。でも秋が実感できるのは、やっぱりお彼岸を過ぎてからでしょうか。お彼岸の頃の季節感、秋の気配・秋の雰囲気を表す「秋され」という言葉は、侘びた情緒の味わい深い言葉です。

ハウス栽培のなかった時代は、野菜や果物の旬が明確で、名残の食材を用いた料理は、今年最後の味わいかもと思って、いただく者もそれなりの心持ちで有難く賞味したもんです。

秋茄子もありますけど、お茄子は夏の季語とされてます。
「もぎたてのなすびの紺や籠に満てり」星野立子
「秋茄子の色手のひらに染みにけり」滝井孝作
「茄子紺」の色合い、その名称は、実に滋味深く実に日本的です。

【処暑】

2016-08-24 | Weblog
二十四節気の処暑。

暑さがおさまり、涼風が吹きはじめる初秋の頃とされてますが、残暑は年々長く酷しくなってきてます。

昔から、処暑の頃は二百十日と並んで台風襲来が多く、暴風雨に要注意とされてますが、今年も相次で被害が出てます。

まだまだ残暑が酷しい砌、食材を吟味して、涼やかさを感じる食べ易い料理を考え、器も硝子や銀器や青竹、薄手の平たい磁器もんなんかを主に用いてます。

間も無く九月。花は最も季節の移ろいを現します。夏の花に替わり、薄、秋明菊、桔梗、杜鵑草、秋海棠、萩などの秋草を入れ、掛け物も秋らしくなります。

【京北町へ】

2016-08-22 | Weblog
酷しい残暑の中、久しぶりに車で「京北町」へ。

朝早うから、保冷バッグに氷やお茶やおにぎりなんかを詰めて出発。市内を北西に向かいます。眩しい太陽、碧い空と周りの山々、ゆく夏の雲は、まるで美しい名画のよう。子供の頃、夏がくる度に視た景色そのものです。

「鷹峯」。本阿弥光悦が家康より、この辺り九万坪を与えられて移り住み、芸術村を造った地。琳派四百年、盛上りましたね。

若狭や小浜で捕れた海産物を京の町に運んだ道、「若狭街道(西の鯖街道)」を通って「京見峠」を越えると「氷室別れ」。氷室は、かつて宮中で行われた氷の節供の氷を夏まで蓄えたところです。

「周山街道」から北山杉を通り抜け、二つトンネルをくぐって京北町に到着。このあたりの道路も年々整備され、随分走り易うなってます。

緑に覆われた山の空気は、爽やかで涼しくて超美味。静寂の中の川のせせらぎ・鳥の鳴き声が実に心地ええです。時が経つのを忘れ、川海老 沢蟹 鮴なんかを捕まえたりして、童心に還り身も心も洗われました。

薄、山萩、野草を少し採ってから、道の駅で新鮮で立派な鷹ヶ峯唐辛子やオクラや真桑瓜、秋明菊や杉苔なんかを買おて帰路につきました。

【日々感動】

2016-08-19 | Weblog
毎晩のオリンピック観戦で、ぎょうさんの人が、毎日寝不足のことでしょう。

超寝不足の日々もあと僅か。今大会絶好調の日本、水泳、柔道、卓球、バドミントン、レスリング……毎晩感動の連続。このリオに至るまでの何年間にもおよぶ、想像を絶するトレーニングが伝わってきます。

レスリングの吉田沙保里選手は、まさに日本の誇りそのもの。日本女子レスリングのものすごい強さは、吉田選手の生きざまそのものにあると思います。

【五山の送り火】

2016-08-17 | Weblog
昨夜は五山送り火通称「大文字」でしたが、大雨洪水警報が発令され豪雨のなか、点火されました。
五山送り火とは、お盆に家に帰ってきたはったご先祖さんの霊をあの世にお送りする伝統行事です。

あいにくの激しい雨で、如意ヶ嶽の大文字はほとんど見えへんかったんで、遠いとこから観にきはったお人は、ほんまにお気の毒でした。

ぼくが子供のころは、翌日の17日におかあちゃんから、「大文字の炭ひろ(拾)といで」と言われて、如意ヶ嶽を登って焼かれたあとの木片をひろて持って帰ったもんです。この炭には家内安全、無病息災の御利益があるて言うたはりました。

最近は、仕事をしもっては京都の行事に参加することがなかなか叶わず、さびしく残念です。いまは普段の生活の中で、無理せんと出来る範囲で、いろんな行事に触れていけたらええなぁと思てます。

【流れ星】

2016-08-13 | Weblog
今夜は、綺麗な筋を残す美しいペルセウス座流星群がたんと観られました。

ペルセウス座あたりから放射状に飛び出す流星群で、ペルセウス座は明るさが変化する食変光星の代表アルゴルを含む星座です。

「ペルセウス」と言えば、先ずチェリーニ作のブロンズ像が思い浮かびます。
右手に剣を握り、左手にメドゥーサの首を掲げるギリシャ神話の英雄。

そのギリシャ神話によると、

アルゴスのアクリシオス王は娘のダナエの生む子に殺されるという神託の予言を阻止するため、ダナエを青銅の地下室に幽閉するも、ゼウスが黄金の雨となってダナエのところへ訪れ、ペルセウスが生まれる。生後間も無くペルセウスは、アクリシオスによって母ダナエと共に箱に入れられ海に流される。

やがてセリフォス島に漂着し、この島の王ポリュデクテスの兄弟の漁師をしているディクテュスに助けられ、その家で養われる。王ポリュデクテスは、ダナエに思いを寄せるようになり、ペルセウスが邪魔になって亡きものにしようと、ゴルゴ三姉妹(ステノ、エウリュアレ、メドゥーサ)のメドゥーサの首を取ってくるよう命じる。ゴルゴとは、フォルキュスとケトが結婚してもうけた三姉妹で、頭に生きた蛇を宿し、牙を持ち、手は青銅、黄金の翼を持ち、にらんだ者を石にしてしまう女怪。

ペルセウスはアテナとヘルメスに教示を受け、ゴルゴの姉妹で三人でひとつの目と歯を持つ女怪グライアイから目と歯を奪い、それを返すかわりに、ゴルゴの首をとるのに必要な魔法の品を持っているニンフのところへ行く道を聞き出す。

魔法の品を手に入れて、アテナに助けられながらゴルゴ三姉妹のメドゥーサの首を取ることを成し遂げた。

帰る途中、エチオピアで怪物の餌食となりかけていた王女アンドロメダを助けて結婚に至る。

セリフォス島に着くとポリュデクテス王を家臣と共に石にして、母ダナエを救い出した後、祖父アクリシオスの認知を受けるためアルゴスへ向かった。
ペルセウスがラリッサで競技中に投げた円盤が祖父アクリシオスに命中し、神託の予言どおりアクリシオスは死んでしまう。

ペルセウスはアルゴスにもどることをはばかり、ティリュンスの王である従兄弟のメガパンテスと領国を交換して王となり、アンドロメダとの間にアルカイオス、ステネロス、エレクトリュオンをはじめとする子達をもうけた。

という実に面白いお話です。

【陶器市と六道さん】

2016-08-11 | Weblog
七日から始まった陶器市と六道まいりも十日まで。

毎年、五条通りの川端から東山線まで、お店が並びだすと、またこの季節が来たんやなぁと思います。

六道さんもおんなじ時期で、ぼくが通った中学校のねきにある「六道の辻」は、鳥辺野に近く、冥土とこの世の境目。おしょらいさんを迎えるため迎え鐘を打ちに、よおけの人が六道まいりに並ばはります。精霊が宿る高野槇は、神聖で清浄な香り。平安の昔、小野篁は六道珍皇寺の井戸を通じて冥土の閻魔さんのとこへ行って、てっとうたはったと聞いたことがあります。なんでもあの世に行く霊が地獄に落ちひんように、ええ行いを閻魔さんに伝えたはったとか。

お盆もじきにやってきますさかいに、この辺のお人は、来る夏の行事に、せわしのうしたはります。

ぼく自身、お正月や桜の頃と同様に、今年もなんとか無事にこの時期を迎えられたことに感慨を覚え、感謝します。

【懐石料理マナー勉強会】

2016-08-10 | Weblog
本日は、懐石料理マナーを勉強する会でした。

道楽侘屋にて、料理のいただき方、主菓子のいただき方などを一緒に勉強致しました。

床には大徳寺管長の横掛け、時代籠に木槿など真夏の花。

盛夏の懐石料理
向付 古染付耳付草花紋向付 *ぐじ昆布〆

汁 輪島塗汁椀 *満月北あかり オクラ

椀盛 時代波紋煮物椀 *鱧 蓴菜

焼物 三浦竹軒 六角金蘭手鉢 *時知らず 鷹ヶ峯唐辛子

強肴 浜田庄司 皮鯨銅鑼鉢 *冷し炊き合わせ 南京 もぎ茄子 高野豆腐 椎茸 人参 絹莢 柚子

強肴 清風与平 青緋色窯磁鉢 *阿茶羅漬 小蕪 胡瓜 生木耳 帆立貝 パプリカ

小吸物 独楽椀 *海ぞうめん

八寸 秋田杉八寸盆 *蛸の子葉山椒 無花果生ハム巻

香の物 西岡小十 黒絵唐津鉢 *覚也:沢庵・茗荷・青紫蘇 西瓜奈良漬

御菓子は道楽謹製の「桃羹」を飛来一閑の縁高に。

皆様、お召し上がりになりながら、忙しく筆記しもって、大変御熱心に受講くださり、とても有難く存じております。

季節と共にある京料理と、脈々と伝承される慣わし、深々とした日本文化は実に素晴らしいもんです。

【一日、大阪で】

2016-08-04 | Weblog
昨日は大阪にお招きに与り、お昼は日本料理、夜はお寿司をいただきました。

お昼の料理は季節感にあふれ、器もええもんを用いておられました。ご主人は寡黙な料理人。

食後に中之島の国立国際美術館へ。「始皇帝と大兵馬俑」
贏政(えいせい・後の始皇帝)が治め、小国から巨大帝国となる秦王朝の軌跡。その始皇帝の陵墓の側に埋められた8000体もの兵馬俑。実物を間近に観ると紀元前の底知れぬパワーに感銘を受けました。

お茶をしてホッコリ一息ついてからお寿司さんへ。

ネタは全て新鮮そのもの。ええもんばっかりで、お腹いっぱいになるまでいただいてしまいました。

このところ仕事に追われる日々が続き、久しぶりに勉強・リフレッシュできる一日で、心より感謝致しております。