京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【京料理の科学】

2019-01-31 | Weblog
京都府立大学における今期の「京料理の科学」講義が終了致しました。

日本人が遠い昔から培ってきた季節の流れと共にある料理、独自の感性や美的感覚を、渋川春海が編纂した大和暦による貞享暦七十貳候を用いてお話し、また京焼を主に多くの名品に実際に触れていただき、料理と器の調和についてのお話もしてまいりました。

レポートの課題は、受講生には何としても覚えていただきたいものから、毎週15回にわたりこの講座を履修し「京料理」をどう捉えたかを問うものまで、様々に出題致しました。

料理は毎日いただくもので、そこに情緒や風情などふかぶかとしたものを感じるとることが出来れば、その味わいや楽しみは人に豊かな心情や幸せなひとときをもたらし、また健康維持にもつながることでしょう。

昔から今の京に伝わる食の慣わし、季節のうつろいや行事・祭事に纏わる料理、器との調和を大事にしてきた料理は、若い方々に受け継がれ、はるかな未来へ繋がってほしいと願っております。

また、京都府立大学文学部和食文化学科、来期の講義でのご縁を楽しみに致しております。

【河井寛次郎記念館】

2018-04-27 | Weblog
昨日は、道楽京料理勉強会のメンバーと河井寛次郎記念館に寄せていただき、民藝についていろいろと学んでまいりました。

寛次郎先生のお孫さんで、河井寛次郎記念館学芸員をされてます鷺珠江氏に御家族ならではのお話をおうかがいしました。

来客が絶え間なかったという河井家の褻でありながら晴れでもある日常生活。民衆的工藝を略した民藝という言葉。鐘渓窯での作陶の歴史や柳宗悦氏 濱田庄司氏を初めとする親交のお話、等々非常に興味深く面白い内容で講話いただき、お陰を持ちまして大変有意義で楽しいひとときを過ごさせていただきました。

その後、数々の寛次郎先生の御言葉、作品、登り窯などを拝見し、人が生きていくということを改めて考えさせられました。

【啓蟄】

2018-03-06 | Weblog
「艶陽の気に誘はれて諸虫地上に出ずるなり」
本日より十五日間が、二十四節気の[啓蟄]。そのあと[春分]、いよいよ桜の季節となります。

この時期は、花粉等々で大変ですけど、近頃は有効なお薬もあって、ほんまに助かります。

毎年の大相撲春場所観戦も楽しみですし、プロ野球の開幕も、もうじきですね。中央競馬も春のクラシック戦線に向けたレースが始まってますし、古馬たちのG1含めワクワクします。初めて本馬場へ行ったのは、テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス、たちが当時でいう四歳の時代。もう何十年も本馬場には行けてないですど…。

さて、料理は桜がテーマとなって、食材・器も含め、如何に春らしさを表現するかが焦点となります。

季節感やストーリーは大切ですけど、やり過ぎて、えずくろしい感じにならへんように気いつけて、常に'さりげなく上品に'を心がけて料理せなあきません。

【上巳の食】

2018-03-06 | Weblog
上巳の節供は三月三日ですけど、京都では旧暦でしはるとこもございます。
今年は四月の十八日が旧雛祭り。

お雛さんの日の食卓には、蛤のお汁、赤貝・鳥貝のてっぱい、蜆の炊いたん なんかの貝類をいただいて、笹がれえの焼いたん、だし巻き、かまぼこ、ばら寿司 なんかが並んで、「ひちぎり」というお菓子をいただきます。

今回の伝統料理勉強会は、
〇ぼんぼりの蓋物に粟麩の赤味噌と蓬麩の白味噌田楽の二種に桃枝を添え

〇口取は黄交ちの菱皿に、菱餅豆腐・出汁巻き・筏白魚雲丹焼き・蕗の薹衣揚げ・タラの芽・一寸豆・大白豆・捏芋桜羊羮・花びら百合根・かしわ八幡巻き を盛り込み、蛤の香合に車海老・螢烏賊・蛇腹胡瓜の黄身酢かけを盛りました。

〇螺鈿桜椀には、鯛に道明寺をきせかけ、桜の葉で包んで蒸し上げて餡かけにし、蕨を添え、桜の花・花びら独活を散らし、山葵を添えた「桜蒸し」。

〇春告魚と山城竹の子の炊いたんに蕗と桜麩を添え、木の芽を香りに。赤絵蓋物に盛り合わせました。

〇お漬けもんは萩焼手塩皿に菜種漬、菜種を一晩昆布押しにしたもんです。粕汁は蕗の薹蒔絵椀に芹をたっぷり添えて。

〇ご飯は、穴子蒸し寿司。寿司飯には椎茸・蓮根・牛蒡・金時人参・煎り胡麻を混ぜ、たっぷりの錦糸玉子と穴子の炊いたんをのせ、絹莢を添えました。

〇水物は、硝子器に莓ムースとマンゴームースとレモンゼリーを層に重ねて流し、サンドマングカカオのチョコレートとミント添え。

床は雛祭りに沿う掛物。桃と菜の花を信楽焼の手付花入にいれました。

【大寒】

2018-01-20 | Weblog
本日は、寒の入りから数えて16日目、冬の最後の二十四節気「大寒」。

来週は再び大寒波襲来との予報で、一年を通して最も厳しい寒さの時節です。

一方、蕗の薹があちらこちらで出で、柳が芽吹き始め、春は間近に迫って来てるのを感じます。

八百屋さんの店先には、たらの芽や蕗の薹やこごみ、芹や独活なんかも見られ、間もなく京都の春を代表する食材「竹の子」が出回り始めることでしょう。

【寒の入り】

2018-01-06 | Weblog
昨日は二十四節気の「小寒」。
冬至から十五日目にあたり、この日をもって「寒の入り」とします。

節分までのおよそ卅日間が「寒の内」で「寒中見舞い」を出す時節で、かなり厳しい冷え込みとなります。

「小寒の氷、大寒に解く」といわれるように、このあとの一年で最も寒い時節とされる「大寒」よりも冷たいことも少なくないです。

寒の入りから四日目を「寒四郎」とよび、この日の天候が収穫に影響を及ぼすと信じられてきました。また、九日目は「寒九」で、この日の雨を「寒九の雨」とよび、豊作の兆しと信じられてました。

七十二候における自然現象の推移は、芹の苗が出盛り、雉が鳴き始め、泉の水がぬるんでくる時節となります。

【京料理展示大会】

2017-12-14 | Weblog
お正月の段取りを始める「事始め」。上方では陰暦師走十三日、江戸では八日。

毎年この日と翌日、京都の料理屋さんは、みやこめっせで開催される【京料理展示大会】に出品し、手分けして運営しはります。

小店も「祝鯛」を永楽正全の高坏に、「都春錦」を永楽妙全の染付鶴重に盛り付けて出品し、入場券のチケットもぎを手伝わせてもらいました。

久しぶりに上七軒のおかあさんともお目文字叶い、大変嬉しく思います。

毎年のことですけど、京料理展示大会が終わったら少しずつおせちの段取りもしていかなあきません。

【大雪】

2017-12-07 | Weblog
今日は大雪。冬将軍が訪れ、冷たい日々が続いてます。

底冷えの京都では、「ぐぢの蕪蒸し」がごっつおーですね。「ぶりだいこ」や「まちかぶら」もあったまってほっこりします。

先達ての料理勉強会では、前菜十種・蕪蒸し・かますの昆布〆焼霜造り・烏賊の酒盗和え・胡桃豆腐・海老出汁袱紗味噌汁・鶉ごはん・章姫パパイヤ氷室 などを勉強しました。

冬至に向かって、一層寒さは増し、ますます日の出は遅く、日の入りは早くなっていきます。

今年も残りわずか。日々追われてますけど、なんとか気張って乗り切りたいですね。

【小雪】

2017-11-21 | Weblog
明日は二十四節気の「小雪」。
立冬から15日目にあたります。
「雪まだ大ならず」、僅かながら雪が降り始める頃という意味で、冬の到来を感じさせられる時節です。

七十二候では、「虹蔵不見 にじかくれてみえず」。空に陽気もなくなり、虹も見かけなくなる時節となります。

このところ急に冷え込んできて、京盆地特有の「底冷え」となりました。

冷たい頃の代表的な京料理には、ぐじ・百合根・銀杏・木耳なんかを入れた「かぶらむし」がありますね。体の芯から温たまって、かぶらと山葵の香りが鼻にぬけ、季節感漂う冬の京の「ごっつぉー」です。

【立冬】

2017-11-07 | Weblog
蕪村の俳句に〈炉びらきや雪中庵の霰酒〉があります。

霰酒は、かき餅を焼酎に浸し乾燥させ、味醂に浸け込んで密封し熟成させた奈良県のお酒です。

開炉の季節となり、今日は二十四節気の立冬。あったかかったんで「冬浅し」という言葉がピタリとくる日でした。

これから、だんだんと満目蕭条へ向かい虚無感が深まって「冬ざれ」となります。

料理や噐も、秋から冬へと向かう季節感を盛り込んで拵えます。