京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【不易流行(ふえきりゅうこう)】

2015-11-18 | Weblog
松尾芭蕉の俳諧の理念のひとつに『不易流行』があります。

不易とは永遠に変わらないもの。流行とはその時代において変わっていく新しいもの。不易を確立することは、時代の推移に応じた新しみを表現していくことで、新しみを求めて変化を重ねていく流行性こそ不易の本質。不易と流行は根本においてひとつであるという考え方です。

ぼくは予てより、日本料理においても、不易流行の考え方が大事やと思ってます。現代の日本は世界の食に触れる機会が多く、食のグローバル化が進み、日本人の味覚も若い人からどんどん変化してるように感じます。古来の日本食は日本人の身体に優しく、大変健康的なんで、欧米化に流され過ぎないような、日本食における不易流行を考えてます。幽玄・閑寂を重んじ、さび しおり ほそみ かるみ を尊ぶ蕉風の美的理念を忘れんようにして、時代に合う新しさを加味していく料理を心がけております。

【伸先生の花器】

2015-11-18 | Weblog
先だって、かねてより御交誼を賜り、事ある毎に御世話になっております御方より、藤平伸先生の花入を二点授かり、恐悦至極に存じております。

伸先生の前作らしく、実に力強く、ユニークで不思議なフォルム、何とも言えない奥深さを漂わす、とても素敵な作品です。先生には御生前大変お世話になりまして、優しく魅力的なお人柄にはいろいろと學ばせていただきました。

この花器は、インパクトは強いんですけど、お床にしっくりと収まり、お客様より「素敵な花器ですが何方の御作ですか」とお訊ねいただいてます。このところは、万作・榛・衝羽根なんかに白玉や西王母の椿を入れて用いております。

京の旧家の御方々は、味わいある‘ほんまにええもん’をたんとお持ちで、只々感心するばかりでございます。

【秋から冬へ】

2015-11-17 | Weblog
立冬から十日程が過ぎ、暦の上では冬になりましたけど、穏やかな気候が続いております。秋の食材も名残となり、根菜を中心とした冬の食材へと移ってきました。

今年は秋ならではの食材、栗の渋皮煮・無花果の葡萄酒煮・子持鮎焼浸などを例年よりたんと炊きました。お気に入りのケーキ屋さんの、栗の味わいが際立つモンブランもたんといただきました。

料亭の日本料理は、お床・食材・器はもちろんの事、建具等に至るまで、季節の移りとともに成立しており、日本人古来の美意識に溢れております。

冬の比叡おろしによる底冷えの京の町では「ぐぢのかぶらむし」をはじめ、様々な独自の料理が生まれ受け継がれております。

【KBS京都おせち 古都の食摘(くいつみ)福福】

2015-11-17 | Weblog
道楽で監修させていただいておりますお節料理の一つ『KBS京都オリジナルおせち‘京の食摘 福福’』。

すでにKBS京都テレビでのおせちCMが始まっており、たんとの御注文を賜り厚く御礼申し上げます。

前年より品数も三品増えて三十三品。三種の祝肴 数の子・ごまめ・叩きごんぼをはじめ、種々の縁起物を京都らしく素材の持ち味を活かし優しい味わいに仕立て、彩りよぉ盛り込んでおります。
『京の食摘 福福』は、量より質を重んじた、贅沢な味わいのおせちとなっております。

本日午前中に、KBS京都テレビの番組内でご紹介いただきます『京の食摘 福福』のVTR収録がございまして、道楽の露地にて撮影致しました。

お求めの際は、販売数に限りがございますので、くれぐれもお早めにお申し込みくださいますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

【伝承料理勉強会】

2015-11-10 | Weblog
今回の料理勉強会のメニューは以下の通りです。

〇かぶらむし
糸縒鯛 木耳 銀杏 百合根 葛溜 山葵

〇筑前炊き
かしわ 里芋 蓮根 牛蒡 絹莢

〇種々くさびら霙和え 平茸・占地茸・椎茸・舞茸・榎茸・エリンギ・葱

〇牛肉大根の味噌煮込み 三度豆

〇焼茄子溶卵汁
露生姜

〇白菜 鮪昆布 沢庵

〇鮭・いくら御飯


〇無花果葡萄酒煮
ミント

皆様には、全ての料理を絶讚賜り、また料理家として大変嬉しいメールを拝受致し、本当に有難く存じます。

今年の伝承料理勉強会も次回が最終回。
僕は予てより、自身が培ってきたものを余すことなくお伝えし、御家庭料理の一助としていただき、季節と共にある大切な食のひとときをより豊かなものにしていただければ幸いと考えております。

来年は【講話と京料理の会】の開催も増やす予定でおりますので、どうぞ宜しくお頼み申し上げます。

【茶会】

2015-11-02 | Weblog
昨日は、道楽にて開炉の茶会が催され、全室貸切状態でした。

御料理は150人分。うちで懐石をお出しする場合は大抵5名様ぐらいですんで、この人数はぼくも初めてです。

瑞相庵が本席で久世・葉室が薄茶席、雲鶴・葵・呉竹・栂尾が控え室。青雲の間に立礼席で24席ご用意して、12名様がお揃いになられたら、順次懐石がスタートし、終了後直ぐにセットし直し次のお客様を御案内していきます。

一、向付(模乾山 龍田川繪替向付)
◇鯛昆布〆 菊花 水前寺海苔 山葵

一、煮物(光琳波蒔絵煮物椀)
◇蟹參薯 どんこ椎茸 陸蓮根 松葉柚子

一、焼物(三浦竹泉 楓樹游鹿鉢)(大樋長左衛門 蕪兜鉢)(華光山窯 椿手鉢)
◇かます若狭焼

一、預鉢(永楽和全 堂つ多鉢)(永楽正全 鶴鉢)(真葛香斎 竜田川透鉢)(白井半七 秋草之画鉢)
◇茄子と三度豆胡麻よごし

一、小吸物(朱塗雲錦椀)
◇榧の実

一、八寸(秋田杉木地八寸盆)
◇干柿百合根射込 春子焼浸

一、香の物(奥谷秋石 彫三島平鉢)(大樋長左衛門 飴藥四方鉢)(白井半七 乾山写大根繪鉢)(矢口永寿 椿鉢)
◇柚香巻白菜 沢庵鰹塗 小蕪昆布押

一、留(佐野長寛写 富貴長命蒔絵椀)
◇水雲雑炊

献立をお配りして、以上の料理をお出し致しました。料理はスムーズに運び、先生より「お客様も大変お喜びでした」とおうかがい致し、とても嬉しく、心より有難く思います。

御床を拝見致し、御掛物と花の調和には、心が震えるほどの感動を覚えました。御道具も素晴らしいものばかりで、目のご馳走をたんとよばれまして、厚く御礼申し上げます。