京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【きょうの味どころ】

2016-06-28 | Weblog
高島屋さんの「きょうの味どころ」にて、この一週間昼食を供しに行っておりました。

おかげさまで、たんとの御方におでましいただき、心より御礼申し上げます。

一週間に3回お越しいただいた御方が5名様、2回お越しいただいた御方が3名様もいらっしいまして、大変幸せなことでございました。

また、御予約のみで完売となった日にお運びいただいた御方には、ほんまにわるいことで申し訳ございませんした。

お客様に、次回はいつ頃なんか、よくおたずねいただきましたが、来年にいつの時期かまた一度入れるかなぁと思っております。

【料理勉強会】

2016-06-06 | Weblog
今回の料理勉強会の内容は、以下の通りでした。

〇焼穴子の胡瓜もみ
明石の焼穴子と茗荷の胡瓜もみ。合わせ酢が決め手。

〇鱸の洗い
淡路の2.8kgの活鱸を用いて、おろし方・お造りの引き方・洗いのやり方を実演。硝子の向附にすりたての山葵を添えて、旨酢と合わせ醤油で。

〇氈瓜と鴨肉の炊合せ
氈瓜の下処理と炊き方。フランス産鴨抱き身の下処理と炊き方。すりおろした新生姜を添えて。

〇翡翠茄子と新小芋の冷製茶碗蒸し
小茄子の皮を剥いて、翡翠色に炊き上げます。新小芋は皮をきれいにこそげとり、塩蒸しにします。
翡翠茄子と新小芋を入れて、ギリギリ固まる割合に合わせた卵液を注ぎ入れて蒸し上げて冷やし、冷たい銀餡をかけ、すりおろした柚子の皮をふりかけます。

〇鱧のばら寿司と湯葉の赤出汁
干瓢・牛蒡・人参などを具材に寿司飯をとり、鱧を付焼きにして刻み、新蓮根と枝豆と共に混ぜ入れた夏のばら寿司。オクラとパプリカを彩りに散らして。
生巻き湯葉と三つ葉の赤出汁、香りに粉山椒。

〇水無月と薄茶
氷の節供に因んだ伝統の御菓子水無月。道楽伝承の特製水無月の作り方と薄茶は半七の茶碗で。

今月は夏に向けて、さっぱりと食べやすいヘルシー料理をテーマにしました。
皆様、大変お喜びくださり有り難く思います。

次回は暑気払いの料理です。

【水無月の茶事・後】

2016-06-05 | Weblog
懐石に続いて、初炭。

灰は遠山に作り、香木は上質な白檀。炭斗は唐物、灰器は了全、火箸は浄益、羽箒は梟、鐶は釜と合わせ踊り桐の象篏、香合は時代の彫漆 芭蕉に蛙の意匠で、堆朱・堆黒・堆黄・堆緑などが用いられてます。

主菓子は、飛来一閑の縁高に、道楽謹製の「苔錆」という鶯粉をまぶした黒糖餅です。

御菓子をお召し上がりなったら、お腰掛けに中立していただき、席中を改めていきます。

掛物を巻き上げて、花を入れます。竹板をUの字に曲げた時代掛花に、白・青・赤紫の三種の沢紫陽花を入れ、茶筅でたっぷりと露を打ちます。ころどころ虫食い葉などもあって、趣深い床となりました。

水指は湖東焼、茶碗は朝鮮唐津、小袱紗は龍村織物の天正歌留多、茶銘は喜雲、茶入は章洲窯呉須手(スワトゥウェア)、茶杓は瑞巌宗碩「雲静日月」、仕服は時代印度更紗です。建水は砂張の餌畚、蓋置は切り立ての青竹を用いました。

後炭の風炉中は、ええ具合に炭がおこって、風情たっぷりでした。水次薬鑵は彫金 西王母(桃)。

莨盆は一閑の行李蓋、火入は三代大樋の飴釉。干菓子は季節の落雁や干錦玉など八種を盛合せて、涼やかに時代蓋物大徳寺弁当箱に入れました。

薄茶碗は、安南絞り手寿茶碗。近藤悠三の箱書で素敵な仕服に入れてあります。
替には古信楽の平茶碗。

棗は、時代螺鈿高蒔絵平棗です。伊勢物語第九段の故事を意匠化した八つ橋に杜若、内側全面に流水紋蒔絵が施された見事な棗です。長いこと輪島に修理に出してたもんが帰ってきました。

とてもお喜びいただき、幸せな時を主客共に過ごせましたことに、心より感謝致しております。

【水無月の茶事・前】

2016-06-05 | Weblog
先達て、道楽 瑞相庵にて水無月の茶事がございました。

待合の掛物には、奥谷秋石の初夏の涼しげな軸。汲出は番浦史郎の伊賀焼にしました。本席には、元伯宗旦の夏山狂言。釜は時代桐紋尾垂釜。
懐石はまず、お向に魯山人の青織部長四方向附。淡路の活あこうです。針に打ったオクラと茗荷を添えてすり山葵です。この魯山人の器は小山冨士夫の箱書です。汁は袱紗仕立てで、翡翠茂木茄子と新小芋に落とし芥子。飯は蒸らし過程の一文字飯。四つ椀は時代輪島塗。
銀器の燗鍋に福井県の九頭龍というお酒。燗上がりで美味しい大吟醸です。そして飯器を持ち出して汁替。

煮物は時代輪島塗宝相華蒔絵煮物椀に、牡丹鱧 新蓴菜 ふり柚子。宝相華とは唐代によく用いられた意匠で、蓮華・石榴・牡丹・パルメットなどを組み合わせた空想上の花文。日本では奈良時代によく使われ、正倉院宝物の文様にも多くみられます。

燗鍋を預け、焼物は琵琶湖の天然活鮎に甘藷栂尾煮。鉢は須田菁華の倣仁清扇面鉢。

強肴は魯山人の赤絵兜鉢。この鉢は魯山人の共箱ですけど、矢口永寿との合作で永寿印もみられます。氈瓜を炊いたんに新生姜をすりおろして留めました。

次に預鉢として、大車海老・アボカド・水前寺海苔の黄身酢和え。清風与平の青磁鉢を用いて、和えたてを清々しく盛りました。

飯器に、じゅうぶんに蒸らされたご飯をつけます。

小吸物は地の紫蘇の花。ごく淡く僅に昆布と梅の風味をつけました。繪替游唐子蒔絵小吸物椀。

燗鍋と共に八寸を持ち出します。秋田杉木地筋目八寸盆に、海のもんは、日高の鱒に一休寺納豆を古酒でのばして挟んだもん、山のもんは紫小蕪をうちの糀に漬けたもんです。略千鳥としました。

湯斗と香の物。香の物は、沢庵・西瓜奈良漬・胡瓜浅漬を黒唐津の足付鉢に盛りました。

お箸を落とす音を聞き、折敷を引きに出て、懐石を終えました。

器・料理とも大変お喜びいただき、誠に光栄に思います。