京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

《T&T連載料理》

2013-03-29 | Weblog
本日の「うちでの料理」は、鳥貝のお酢のもんです。とり貝の名前の由来は、肉質が鳥肉のようだからとか、曲がった貝足が鳥の首のようだからとかいわれてます。

見た目は赤貝に似た薄い殻の二枚貝。瀬戸内海や伊勢湾のもんもええですけど、夏に出回る京都のブランド「丹後とり貝」は、超肉厚で味も価格も最上品。初めて見たときは、ほんまにびっくりしたもんです。

酢のもんの合わせ酢は、飲んでむせかえるほどやときつすぎますんで、お出汁や煮きり酒で割って、美味しく感じるほどに。彩りよう海老・菜種・ホタテ貝なんかを合わせて、生姜酢でサッパリと仕上げましょう。

《花》

2013-03-28 | Weblog
桃や桜の花色は、優しくやわらかく、なんとも匂やかです。

今年の旧暦上巳節(ひな祭り)は、四月十二日。自然の桃の花は若葉が萌え出て本来の姿になってます。中国では「柳緑花紅(やなぎはみどり はなはくれない)」「千里 鶯ないて 緑紅に映ず」のように花といえば桃を指し、古より詩人は桃の花を詠じてきました。

日本では、桜の花に特別な心情を抱きます。古事記には大山祇(おおやまづみ)神の娘、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめ)が、天照大神の孫、にに杵尊(ににぎのみこと)の妃となります。稲の神と桜の精が結ばれ、稲の豊穣をもたらす神話です。後世、木花之佐久夜毘売は富士山の神(浅間大神)として祀られます。

京の町で愛でる枝垂れ桜はいかにも風雅で艶麗、山桜は飾り気のない元来の美しさ。三十数年前に、初めて吉野山の見渡すかぎりの桜を目の当たりにしたときは、味わったことのない心の震えを感じました。

桜の開花時、日本人の心は弾み、春の歓びの気が漂います。潔く、直ぐに散りゆく切なさ、寂しさも含め、桜の美意識は日本人の心の奥に深く根付いてます。

今年は梅の開花が遅く、花哲学の道沿いにある大豊神社などで、梅と桜が同時に咲く珍しい光景が観られます。

《桜》

2013-03-26 | Weblog
今年も、お彼岸のお墓参りをすませたら直に桜時です。
代々継がれております道楽のお墓は、明治廿年代にとても大きな墓石に建て替えられ、今に至ります。

さて桜は、日本の国花で、古くは花といえば桜を指してました。
この時期の魚の呼び名も「桜鯛」「桜鱒」「桜烏賊」「桜石斑魚(うぐい)」「桜魚(小鮎・公魚)」…などとなります。料理名は、桜肉(馬肉)・桜鍋(馬肉を用いた鍋物)・桜味噌(牛蒡生姜などを混ぜたなめ味噌)・桜餅・桜蒸し(桜の葉で魚などを包み[桜色に染めた道明寺粉を用いることもある]蒸して餡掛けにしたもの)・桜漬(塩漬けの桜花)・桜干し(味醂干し)・桜飯(茶飯)・桜湯(桜漬けに湯を注いだもの)…。

京都は桜の名所が実にたんとあります。
うちの近くの鴨川沿いの桜はほぼ満開、今年の開花は、ちょっと早いように思います。

来月には各花街のおどりも始まり、みるみるうちに京の街は華やかに賑わいます。

《料理勉強会》

2013-03-25 | Weblog
◇鳥貝巻き⇒鳥貝に切れ目を入れ、独活・椎茸・三つ葉を巻き込み、生姜酢をかけ菜種を添える。

◇鯛白子豆腐の鼈甲餡かけ 蕨添え⇒鯛と豆腐に玉子を加えてすり合わせ、蒸し固めて、鼈甲餡をかけて木の芽をとめ、蕨を添える。

◇鱒のムニエル茗荷ソース⇒鱒に塩・胡椒をし薄力粉をうち、バターで焼き上げ、茗荷と青紫蘇のバターレモンソースをかける。蒸かした北あかりとブロッコリーを添える。

◇精進ちり蒸し⇒器に真昆布をしき、絹漉し豆腐・しめじ茸・えのき茸・新わかめ・生湯葉 を盛り付け、調味汁をはり、蒸し上げる。大根おろし・浅葱・一味唐辛子を加えたちり酢を添える。

◇じゃこ豆ごはん⇒土釜でえんどう豆・ちりめんじゃこ・おあげさん・針生姜を加えてごはんを炊き上げる。味噌汁⇒蓮餅・芹・大根。香の物⇒桂瓜のかくや。

◇キルシュバヴァロ 苺ソース⇒卵黄とグラニュー糖を合わせ、バニラスティックを入れた牛乳を温めて加え、漉して煮詰める。ゼラチンとキルシュを合わせ、生クリームを混ぜ、型に流して冷やし固める。器に盛り付け、宮崎パパイヤと苺ソースを添え、ラム酒に浸けたサルタナゴールデンレーズンとミントをとめる。

床:逢茶々遇飯々
花:黒文字 春咲きクリスマスローズ
花入 備前火襷壺
敷板 桐板

本日の料理勉強会は、以上の内容でございました。

《うちでの料理》

2013-03-23 | Weblog
先週の連載うちでの料理は、「サーモンの黄身青菜焼き」。上掛けの黄身青菜ソースは、胡麻油やひまわり油やオリーブ油など、油を変えることで、様々な香りを楽しむことができます。焼き魚にかけてもええし、野菜サラダにもおすすめ。

今週は、「鯛茶漬」。レシピは、桜鯛を用いてお煎茶をかけましたけど、焙じ茶やお出汁をかけてもええもんです。すりたてのわさびをのせていただきましょう。

《春場所》

2013-03-18 | Weblog
本日は、大相撲に御招待賜り、大阪府立体育館へ行ってきました。

相撲茶屋の人が、席まで案内してくれて、お土産やお弁当の入った袋をもらい、飲み物を選びます。

枡席は向正面の三列めで、とても観やすい所でして、袋の中身は、天津甘栗・枝豆・焼き鳥・焼き貝干物・京老舗菓子匠の求肥饅頭・老舗料亭の二段弁当・フルーツ・京老舗菓子匠の餡蜜・老舗のかりんとう・特選銘柄和牛カレー・相撲せんべい・京老舗菓子匠の土俵の華(4種の菓子)・相撲皿セット・京の柿の種……など豪華な内容でした。

ちょっと早めに出向いて、14時頃から観戦し始め、一番一番パンフレットと番付で力士の情報を確認しながら、ゆったりと楽しませていただき、いっぱいのお土産を持って帰路につきました。

久しぶりの相撲を満喫できましたこと、誠に有り難く、心より感謝致しております。

《真味倶楽部》

2013-03-16 | Weblog
◆座付 (和全 繪高麗碗)飯蛸 えんどう豆 蕨

◆造り (時代京焼つぼつぼ透向附) 金目鯛[和歌山] 縞鰺[伊根] 黒鮪かまとろ[和歌山] 鯛[淡路] 鮃[淡路] 赤貝[三重] グリーンアスパラ 岩茸 山葵

◆椀盛 (時代東海道五十三次蒔絵煮物椀)油目[淡路] 菜種 木の芽

◆凌ぎ (京焼菱形向附) 若狭鯖ずし

◆焼物 (京焼仁清写繪替舟形長皿) かます[淡路] 大黒占地 ブロッコリー

◆中皿 (須田菁華 染付筒向附) 茄子 胡瓜 胡麻和え

◆炊合せ (即全 交趾吉野桜蓋物) 目張[若狭] 聖護院蕪 畑菜 金時人参

◆強肴 (半七 焼〆向附) 車海老[長崎] アボカド 一寸豆 黄身和え

◆香の物 (慶入 桃小皿) 白瓜 壬生菜 大根

◆小吸物 (時代月に桜蒔絵筒椀) 厚揚げ なめこ 三つ葉 袱紗仕立

◆御飯 (時代飴釉土鍋 安南蓋物) 近江牛時雨御飯 九条葱

◆水物 (銀皿) クラウンメロン 紅ほっぺ

◆御菓子 (時代黒織部皿) 葛桜 編笠柚子 道楽謹製

薄茶 黄伊羅保茶碗

以上が本日の御献立でした。
とてもお喜び賜り、誠に有り難く、嬉しく存じ上げます。

【T&Tの撮影】

2013-03-14 | Weblog
世界フィギュア男子ショートプログラムでは、三年連続世界王者を狙うパトリックチャン選手が、圧巻のスケーティングでショートでの世界最高得点をマーク、ほんまに見事な演技で感動しました。フリーでの日本選手の巻き返しに期待です。

さて、本日はT&Tの「うちでの料理」の撮影がありました。
他国の料理も取り入れてほしいという御要望に応え、フレンチ イタリアン チャイニーズなどの要素も時折加味しております。

時代の流れとともに、日本にもさまざまな異国の食文化が取り入れられ、日本的に改良され、根付いていくと同時に、日本人の嗜好も変化してまいりました。

伝統を守りつつも、時代に即応した料理を作ることが、料理家のつとめでもあると存じて「うちでの料理」のレシピ作りに取り組んでおります。

《料理教室》

2013-03-11 | Weblog
◆赤貝・独活・分葱のおてっぱい

○赤貝の下処理の仕方。○ヒモ・ハシラ・肝のそうじ。○唐草赤貝の切り方。○分葱・独活の下拵え。○味噌の炊き方。○芥子酢味噌の合わせ方。

◆海老しんじょ 蕨 菜種の椀

○海老しんじょの作り方。○蕨のアク抜きの仕方。○吸地の作り方。

◆飯蛸とえんどう豆の炊き合わせ

○飯蛸の目・口・墨袋の除き方。○飯蛸の塩揉み・霜降り・炊き方。○えんどう豆の下拵えの仕方。○えんどう豆の葛溜の作り方。

◆梅鰹蕗昆布

○蕗の下拵えの仕方。○梅鰹蕗昆布の炊き方。

◆穴子茶漬け

○穴子の焼き方。○煎茶の入れ方。

◆ラムレーズンパウンドケーキ アッサム茶

○ラムレーズン・オレンジピールの浸け方。パウンドケーキの作り方。

床のおたずねもございましたので、自画賛の掛け物、濱田庄司の花入れに名残の日本水仙、等のご説明もさせていただきました。

以上が、本日の講習内容でした。

皆様方、大変御熱心に受講賜り、お喜びくださいましてとても光栄に存じます。

《京焼》

2013-03-07 | Weblog
滋賀県守山の佐川美術館で、京焼 技と美の継承展が開催中です。

赤沢露石・浅見五郎助・井上春峰・小川長楽・叶松谷・久世久宝・澤村陶哉・杉田祥平・諏訪蘇山・高木岩華・高橋道八・粟生屋東洸・松林豊斎・三浦竹泉・宮川香齋、各京焼陶家の代々受け継がれてきた技が展示されていて、現代の名工の手になる京焼が満喫出来ます。

先日行ってきましたが、半数ほどの陶家さんのお道具は、うちの店でも折にふれ使わせていただいておりますので、とても親近感をもって拝見させていただきました。

明後日の9日から、甲賀のMIHO MUSEUM にて「古代ガラス-色彩の饗宴-大英博物館の名宝・特別出展」が始まります。
すでに紀元前数世紀に、美しく、妖しく、神秘的な輝きを放っていたガラス。
そこで、いったいどんな文明が存在し、どのように作られていたのか… ほんまに不思議だらけです。

ちょこっと古代人の美意識に触れることが出来たらなぁ と大いに楽しみにしております。