京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

《杜若》

2013-04-30 | Weblog
炉を閉じ、畳や道具を風炉用に入れ替えて、五月を迎えます。
三月頃までは、花入の水も控えめに入れ、暑さが増すにしたがって水の量も増やしていきます。
五月の花入には端午に因んで「えびら」「やなぐい」なんかの武具を見立てたり、粽形のもんを用いたり、中頃を過ぎると籠も使い始めます。
薫風に揺れる 杜若(かきつばた)・菖蒲(あやめ)・花菖蒲(はなしょうぶ)の花色は、高貴な天与の紫。天に向かい真っ直ぐに伸びる姿は清廉そのもの。古くより「杜若は葉の中に花を引込、花の軸を葉にてかくす也」「あやめ草は花を高くぬき出すべし」とされ、花入によっては葉先の美しさをより強調するよう葉組をし直して入れることもあります。
遠い昔より日本で培ってきたこの美意識や情緒は、大事にしたいもんですね。

《うちでの料理》

2013-04-26 | Weblog
連載中の「うちでの料理」、本日は「豚と野菜の味噌炒め」でした。

豚肉とピーマン・筍・生姜は、相性のええ食材で、疲労回復、老化予防、美容にもよく、胃腸を整え、風邪予防、貧血にも効果大。

毎度、読者の方々より、京都新聞出版センターへ、「うちでの料理」に関するたくさんのお便りをいただいており、誠に有り難く存じ、心より感謝致します。

「薬食同源」感謝して美味しくいただくと同時に食養生し、医者いらずの豊かな人生を。

《本日の料理教室》

2013-04-22 | Weblog
○掻鯛茗荷青紫蘇檸檬ソース
[銀彩向附]

○寄せ竹の子若布汁
[時代紫陽花蒔絵椀]

○勢多豆腐 空豆 オクラ
[古染付草花向附]

○蕗湯葉巻と鯛の子の炊合せ
[黒楽碗]

○胡麻豆腐 滑子 三つ葉の袱紗仕立
[時代朱塗草花蒔絵椀]

○天丼(海老 茄子 南京 万願寺唐辛子)
[金彩青葉蓋碗]

○紅ほっぺアイスクリーム パパイヤ バナナミルクゼリー リンゴコンポート サルタナラムレーズン ビターチョコレート ミント
[オランダ滲み手筒碗、真鍮製敷皿・スプーン]

以上でございました。

皆様、お料理・器・掛け物・花 等大変お喜びくださり、心より幸いに存じております。

《ゆく春くる夏》

2013-04-21 | Weblog
本日より壬生寺で、重要無形民俗文化財の壬生狂言が始まり、廿九日まで行われます。

節分に厄除招福を願って奉納したほうらくが、壬生狂言「ほうらく割り」で落とし割られます。

毎年行くようにしてますけど、ものすごい人出です。

さて、二週間後には「立夏」となり、季節は夏へと移ります。
床は、行く春を惜しむ炉の花から、来る初夏の清やかに風薫る風炉の花へと更衣(ころもがえ)。
今日は鳶尾(いちはつ)を時代の手桶に。俄然爽やかな初夏の気が漂ってまいりました。

《穀雨》

2013-04-20 | Weblog
本日は、春の季節最後の二十四節気「穀雨」です。穀雨とは、穀物を潤す春雨をのことで、この時期の長引く雨を「菜種梅雨」といいます。

次の二十四節気は五月五日の立夏、季節は初夏を迎えます。

一昨日は夏ような暑さでしたが、今日は一転肌寒くなり、料理も一番初めから身体があったまるもんをご用意致しました。

《本日の真味倶楽部》

2013-04-20 | Weblog
◇[座付] 虎魚葛溜【古萩向附】

◇[造り] 鶏魚 皮剥 煽烏賊【清水六兵衛 焼締向附】

◇[煮物] 寄せ竹の子 若布【時代野菜高蒔絵椀】

◇[焼物] 近江牛A5ヒレ炭焼【古染付平皿】

◇[強肴] 勢多豆腐 空豆 胡瓜もみ【川瀬竹春 唐草四方向附】

◇[強肴]蕗湯葉巻 上人麩 屈み 車海老 鯛の子【京焼 金彩青葉蓋碗】

◇[香の物] 道楽謹製 柴漬け 壬生菜 沢庵【旦入 柏手塩皿】

◇[小吸物] 袱紗仕立 焼茄子【時代京蒔絵草花蒔絵椀】

◇[御飯] 鶉飯 三つ葉【銅釜・清水六兵衛 赤繪蓋茶碗】

◇[水物] 紅ほっぺ氷菓 宮崎パパイヤ 煮林檎 バナナミルクゼリー【祥瑞舟形蓋物】

◇[御菓子] パンナコッタ・アル・カフェ【クリストフウィドマン銀器揃】

以上でございました。
大変お喜び賜り、何より光栄に存じます。

《うちでの料理》

2013-04-20 | Weblog
今回の「うちでの料理」は、梅風味の蕗昆布です。

出汁昆布は、ちょっと奮発してええもんを用い、出汁をひいた後のお昆布もほかさんと、あれこれ工夫して、全部おいしくいただきましょう。

干すか冷凍にして保存し、溜まってきたら、「蕗昆布」「山椒昆布」「鰹昆布」などの常備菜や、身欠き二シンと炊いて「二シン昆布」なんかにするのがええでしょう。

《藤》

2013-04-15 | Weblog
藤の花は、日本の固有種で、万葉の昔より日本人の美的感覚に響く美しさ。
山野に自生する藤の蔓は力強く絡みつきながら天に向かって伸び、花房は長く垂れ下がる。その魅力的な風姿はまさに優雅で濃艶で気品に溢れます。

花房が風になびく姿の「藤浪」は日本人の心を揺さぶり、雅やかな藤色はまさに天与の美しさ。
古事記では「春山之霞壮夫」を象徴する花とされ、枕草子には「藤の花はしなひ長く、色濃く咲たる、いとめでたし」と記され、源氏物語においても藤の花の美しさが表されてます。万葉集には「恋しけば形見にせむとわが屋戸に植ゑし藤浪いま咲きにけり」とあり、正岡子規は「瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゞかざりけり」と詠んでます。

炉塞ぎの砌、名残の「袋藤(紫に色づく前)」・「玉藤(開花前)」、初風炉の枝垂れ花は、茶席に清麗かつ高貴な気を漂わせ、花の後できる細長い「藤豆」も風情を漂わせます。

《根深焼飯》

2013-04-12 | Weblog
本日のT&Tうちでの料理は、根深焼飯。

「易水にねぶか流るる寒さかな」「ねぶか買うて枯れ木の中を帰りけり」蕪村の俳句にあるように、ねぶかの旬は冬です。江戸時代初期の井原西鶴の好色一代女にも「ねぶか」の記述はみられます。もともとは、関東の土中に深く作る白葱を「ねぶか」と称し、関西の地上で長く緑の葉をのばして作る葱は「はねぎ」と呼ばれてましたが、いつしか「ねぶか」が葱の別称となったようです。ちなみに「ねぶか汁」は、葱を汁の実としたおつゆのこと。葱とご飯は相性のええもんで、江戸時代のいくつもの料理書に葱飯が記載されてます。肉類が入らない根深焼飯は正にたっぷりの葱が主役、葱の香り・甘み・辛みがご飯と相俟って、シンプル且つ淡白な美味しさです。

《旧上巳節・雁風呂》

2013-04-12 | Weblog
明日は「旧ひな祭り」なんで、今日の床の花は、若葉が芽吹いた桃とたっぷりの菜の花を入れました。以前、藤平伸先生に十種作っていただいた鉢を花器に見立てました。

七十二候では「鴻雁北」。秋から冬にかけて飛来した雁などが北へ去りゆく季節。「雁風呂のもえぬ木をふく涙かな(高田蝶衣)」秋に日本へ渡って来る雁は、木片をくわえてきて、その木片を海上に浮かべ羽を休める。その木片を青森の外ヶ浜あたりに落として飛来し、春に帰る時に再びそれをくわえて北へ飛び去る、という言い伝えがあります。
外ヶ浜の人たちはその流れ木を拾い集めて持ち帰り、お風呂を炊いて、北へ帰ることが叶わなかった不運な雁を思い供養します。
「雁風呂」は、人の世の儚さに通ずる、ゆかしい習わしです。