京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

『きらずいり』

2009-08-31 | Weblog
京都の商家では、毎月の晦日(みそか)に『きらずいり』を作っていただく慣わしがあります。
「きらず」とは「おから」のことで、この呼び名には、お客様との縁(えにし)が切れないよう来月も変ることなく続きますように、という思いがあります。おからを「炊く」ことを「炒(い)る」と言います。「炒る」は「入る」に通じ、「晦日払い」で集金に廻る際に、お金がきちんと入りますようにという願いが込められています。「(縁を)切らず」「(お金が)入る」で『きらずいり』というワケです。『きらずいり』は安うでたんとできるし、残り物も全て小そう切って一緒に炒めて炊いてしまいますので、冷蔵庫の大掃除にもなるのです。

『はばかり』

2009-08-30 | Weblog
『雪隠』「せっちん」と読み、トイレのことを指します。近頃では「せっちんはどちらでしょうか」とお伺いしても御理解いただけないことも多くなりました。
「はばかり」も同様にトイレの意味で使われます。「はばかり」に「さん」をつけて「はばかりさん」となると、「ご苦労さんです」「お世話さんです」「ごめんやす」「恐縮です」とかいうようなニュアンスでお礼・感謝の意も込めて用いられます。曖昧でその場のムードによっていろんな意味合いに使える、京都らしい都合のええ言葉のひとつです。

『ひろーす』

2009-08-30 | Weblog
関東で「がんもどき」とか「京がんも」と呼ばれてる精進もんを、京都では「ひろーす」と言うてます。
ぼくは、椀物にするのが好きです。
美味しい絹ごし豆腐の水気をきって裏ごし、すりおろしたつくね芋を加えすり鉢で混ぜ合わせます。そこへ人参と木耳(きくらげ)の千切り、笹掻き牛蒡、百合根をたっぷり加えて丸(がん)にとります。野菜をつなぐのに豆腐の生地があるくらいの感じです。湯がいた銀杏(ぎんなん)を2つずつ中へ入れて、紅花油でゆっくりとキツネ色に揚げアツアツをお椀に盛ります。葛をひいた吸地[清し汁]をはって、生姜汁を入れ、よく流水に晒した針葱を留めます。
もちろん揚げたてをそのまま天つゆでいただくのも、薄味にサッと炊いて溶き芥子でいただくのも美味しいのですけど、秋から冬にかけては、この「吉野仕立」のお椀がええですね。

《名工の器と京料理》

2009-08-30 | Weblog
今秋発売予定の【楽・永楽・京焼に盛る(仮題)】に先立ちまして、実際に登場する名品に盛りつけて伝承京料理をお楽しみいただく御食事会を開催致します。
【日時】:10月10日(土)①11:00~14:30 ②17:00~20:30
【会場】:道楽
【会費】:\23,000円(飲.サ税込)
※TEL・FAX・MAILにてお申し込み下さいませ。
※受付後当社よりご確認の御連絡を致します。〈恐れ入りますが御連絡が無い場合はお問合せ下さいますようお願い申し上げます〉

【宋胡録】

2009-08-30 | Weblog
茶事の炭点前(すみでまえ)の香合(こうごう)拝見の際、「宋胡録(すんころく)」と呼ばれる香合に出会うことがあります。
「宋胡録」とは、タイのメナム川中流の地方「スワンカロク」で主に焼かれていたもんで、地名の「スワンカロク」が転じた呼び名です。14~15世紀頃にたんと作られて、一般的には素地に白釉を施し簡素な画を鉄絵で描いた合子(ごうす)のことを言います。
日本へは、「茶の湯」隆盛期の桃山時代から江戸初期に持ち込まれ、さりげなく侘びた趣(おもむき)が茶人に好まれ賞用されました。
今ではタイの古陶全般を指すようになってます。

『くらわんか』

2009-08-29 | Weblog
『くらわんか』と呼ばれる器があります。
江戸時代後期、大坂の淀川を通る三十石船の客を相手に、「飯くらわんかぁ、酒くらわんかぁ」と大きな掛け声で飲食物を売って商いをしてた船のことを『食らわんか舟(ぶね)』と呼んでいました。
そこで客が呑み喰いし終わった食器は、ほとんどが惜しげもなく川に捨てられました。
この酒食器は、砥部(愛媛県伊予郡)や肥前(有田,伊万里,唐津,波佐見)で焼かれた安もんの染付磁器で『くらわんか』と呼ばれています。
雑器の持つ飾らない常の美が、今の時代には捨てがたいええ感じとなって映っています。

ぐぢ(甘鯛)

2009-08-28 | Weblog
京都の人にとって、『ぐぢ』は特別なお魚で、たまらんごっつぉー(ご馳走)です。おそらくお魚の中では、一番好きなんやないでしょうか。「お造り」「昆布締め」「酒蒸し」「若狭(わかさ)焼」「椀盛」…何にしても上品でコクのある味わいは、他の何物にも変えられません。
近年は、輸入物も出回っていますが、その美味は『地甘(じあま)』と呼ばれる近海物に限ります。若狭産はもちろんですけど、長崎の西泊(にしどまり)あたりのも超上物です。
底冷えの冬場には何と言うても『蕪蒸し』でしょう。餡に山葵をたっぷりのせて、アツアツをフゥフゥしていただくと身体の芯から温ったまります。薄塩をあてて昆布で挟んだんを千枚漬で巻いてもええし、つくね芋をすりおろしておだしでのばしたんをかけるのも乙(おつ)な料理ですね。
なんせ、『ぐぢ』は滋味溢れる深ーい味わいなんです。

初秋の御献立

2009-08-27 | Weblog
本日は同業の大勢様のお食事会がありました。
初秋の御献立で、座付「スッポンと百合根の玉締」、前菜「無花果燻鮭巻・唐墨・枝豆芥子茶巾・オクラ味噌漬・凍蒟蒻・アマゴ焼浸し・鴨ロース・小松菜胡麻和・小倉蓮根・海胆しんじょ・焼菊南京・粟麩オランダ煮・車海老など」、造り「若狭ぐじ昆布締・岩茸」、椀盛「鱧葛叩き・岩手松茸」、焼物「上桂鮎・田中唐辛子・甘藷」、炊合「にしん茄子」、強肴「和交(あいまぜ)」、香の物「かくや(沢庵,水菜,茗荷)」、御飯「穴子蒸寿司」、水物「メロン・幸水・ピオーネ」という内容です。
焼物は、魯山人や永楽などの鉢に盛り込んで取り回していただきました。
皆様お喜びいただき、諸先輩方よりお褒めの御言葉を頂戴致しまして、とっても有り難く存じますとともに、心より嬉しく思います。

炙笑果(せきしょうか)

2009-08-27 | Weblog
毎年、秋になると無花果の焼いたんを作ります。
御好評賜っております道楽伝承の「炙笑果」というお菓子で、来月の初旬より販売が始まります。
ぜひ一度御賞味下さいませ。

【鯖寿司】

2009-08-25 | Weblog
昨日販売いたしました【道楽謹製・鯖寿司】が「美味しかった」というお喜びと御礼の電話・メールを頂戴致しまして、恐悦至極に存じ、心より感謝申し上げます。
次回(9/14)にも再度御予約賜りました方々には、重ねて厚く御礼申し上げます。