[用例研究 157] 〈假定法-條件節省略③〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 How did you come up with the batter for these salmon cakes?
1 I keep experimenting until I’m satisfied.
2 My first three husbands would have loved them and I’m sure this one will too.
2 You’ve had four husbands?
3 Yes, I do husbands like you do salmon cakes.
[解説]
1
・come up with~: ここでは「~を考へ出す」「~を生み出す」の意味。
・batter: [bǽtər]「こね粉」(小麥粉、牛乳、卵などを水でこねたもの)。(※ butter [bʌ́tər]「バター」)
・salmon cake: 平たく丸いかたち(a flat round shape)にして調理した salmon 料理。ここでは「サーモンだんご」としてみました。(※ a fish cake 「魚肉だんご」、a cake of soap「石鹸一個」)
・keep ~ing: 「~し續ける」
2
・would have loved: 〈would、could など助動詞の過去形+have+過去分詞〉のかたちは「假定法過去完了」の歸結節に見られるものです。そのひとつの例は、過去における、事實とは異なる何らかの状況を「もし~であつたなら」「もし~してゐたなら」などと條件節で假定して、歸結節でその結果を「~であつたらう」「~したであらう」などと推定する文體です。ここでは條件節が省略されてゐますが、假に補ふとすると、例へば「もし前の夫達がこのサーモンだんごを供されてゐたなら」でせうか。
假定法過去完了のこのタイプは「假定法の讀み方(8)」(2011年6月15日掲載)で扱つてゐます。
□參考例文
If you had worked harder, you would have passed your exam.
もつとよく勉強してゐたら、あなたは試驗に受かつただらうに。
・this one: 現在の husband を指してゐます。
・you’ve had ...: = you have had ... 現在完了形は日本語には無いもので、解釋には注意を要します。現在の状態や行爲を中心に、過去のある時點から現在までの經驗・繼續・完了・結果を含めて表はす文體です。ここで You’ve had four husbands? といふと、現在四人目である夫と過去の三人の夫を含めて表現してゐることになります。「これまで、(現在の夫をいれて)四人の夫を持つてこられたのですか」と(驚いて)問ひ返したのでせう。「御主人が四人も」とすると誤解(「一妻多夫」?)されかねないので、[意味把握チェック]では「今の御主人が四人めなんですか」としてみました。
現在完了時制については、「英文讀解のヒント(78)」(2017年7月26日掲載)で解説や例文を紹介してゐます。
3
・do: 「(料理などを)作る」「こしらへる」
・like: (話し言葉で接續詞として)「~と同じやうに」「~のやうに」(※ as / just as のやうな使ひ方です)
[意味把握チェック]
1 「どうやつてこのサーモンだんご(用)のこね粉を思ひついたんですか」
1 「滿足のゆくまで試し續けるんです」
2 「最初の三人の夫たちはこのサーモンだんごが氣に入つたことでせうね、そして今の夫もきつと(氣に入るわ)ね」
2 「今の御主人が四人めなんですか」
3 「ええ、あなたがサーモンだんごをこしらへるみたいに私は夫をこしらへるのよ」