[用例研究 158] 〈假定法-條件節省略④〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 This proposal you wrote is horrible! You butchered it!
1 Could you have written it better?
2 I don’t have to do things better than you! I’m the boss!
3 Boy, I sure wish I had a good answer for that one!
[解説]
1
・butcher: 「~を(へまをやつて)だいなしにする」
・Could you have written it better?: 〈助動詞の過去形+have+過去分詞〉のかたちは假定法過去完了の歸結節に多く見られます。ここは疑問文になつてゐます。條件節がありませんが、主語 you に條件が仄めかされてゐるやうにも見えます。條件を補つてみると、例へば「あなたなら」とか「もしあなたが(ぼくの)代はりに書いたなら」でせうか。それで「あなたは提案書をもつとうまく書けたでせうか」と問ふことになります。
□參考例文:主語に條件が仄めかされてゐる例文です。
A true friend would have acted otherwise.
本當の友達ならさうはしなかつたでせう。
※ if s/he had been a true friend の意味が主語にこめられてゐます。
□參考例文: could の例文で、條件節がうしろにつくケース。
You could have caught the train if you had hurried.
もしあなたが急いでゐたら列車に間に合つたのに。
□參考例文: could の例文で、had が短縮形になるケース。
If he'd run a bit faster, he could have won.
彼がもう少し速く走つたら、勝てただらうに。
3
・boy: 間投詞で「まあ」「おや」「やれやれ」などの意味。
・I sure wish I had a good answer: had が假定法過去の動詞として使はれてゐます。實際には「うまい囘答がない」のですが、「持つてゐればなあ」と事實と異なる願望を述べてゐます。
□參考例文:
I wish I were a billionaire.
私が億萬長者であればなあ。
このかたちは 「假定法の讀み方 (7)」 (2011年6月8日掲載)で解説し、例文を紹介してゐます。(※ 參照するには下線部をクリックしてください)
・one: 前出の answer の言ひ換へです。that one は2コマめの社長の囘答を指してゐます。「あの囘答に對するうまい囘答(/應答)があればなあとホント思ふよ」
・sure: 副詞として使つてゐます。「確かに」「ほんたうに」「全く」
[意味把握チェック]
1 「おまへの書いた提案書はひどいもんだな。だいなしにしたな」
1 「あなたなら(/社長なら)もつとうまく書けたでせうかね」
2 「わしはおまへより上手に物事を處理しなくていいんだ。わしはおまへの上司なんだぞ(/わしが社長なんだからな)」
3 「やれやれ、あの囘答に對してうまい囘答があればなあとホント思ふよ(/チェッ、あの應答にうまく切り返せればなあ)」