・110.1 Culture to the Rescue
Culture to the Rescue
In the final phase of World War II, the U.S. Office of War Information invited Ruth Benedict,* a social anthropologist at New York’s Columbia University, to write a cultural analysis of Japan. This was not purely an academic exercise but an attempt to understand an unknown enemy and seek answers to the life and death questions: Would the Japanese accept defeat easily or fight to the last man? How would Japan react to the U.S. occupation?
In 1946 The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture was published. Although she had never set foot in Japan, Benedict produced her picture of the “Japanese character” through various means: historical studies of political, economic, religious and cultural beliefs, interviews with Japanese-Americans, and analyses of movies and propaganda films. The book soon became a must-read for generations of Japan scholars, and is still praised for her deeper insights, especially for (1)her broad cultural perspective on Japan.
問1 ベネディクトはどのようにして、下線部(1)のような見方を確立したのか述べなさい。
[正答へのアプロウチ]
・下線部は「(ベネディクトの)日本についての幅廣い文化理解/文化の觀方」といつた意味ですから、それを得た方法についての記述をさがせば解答が得られます。第2パラグラフの through various means で手法に言及し、コロンの後に具體的手法を列擧してゐます。
[解答(例)]
・政治、經濟、宗教、文化に關はる信條の歴史的研究、日系アメリカ人との面談、そして映畫や國策宣傳映畫の分析といつた手法を通して(、ベネディクトは日本についての幅廣い文化理解を果たした/文化の觀方を得た)。
[語句・構文等]
1.1 invite ~ to-不定詞(…) ~に…するやう(ていねいに)請ふ
1.2 <not ~ but …>: 「~ではなく…」この構文では~が否定され…が肯定されます。力點は…に置かれます
2.2 set foot in ~(/on ~) ~に足を踏み入れる / ~に上陸する
2.2 means (通例 means として)手段 / 方法
2.2 analyses 發音注意 ( 單數形は analysis )
2.2 character (主に道徳的・倫理的な特性を指します)
2.3 must-read 必讀書
2.3 praise 發音注意
2.3 perspective (全體的に正しく把握する觀方をしてゐることを示してゐます)
[意味把握チェック]
第二次世界大戰の最終局面で、アメリカ合衆國戰時情報局はニューヨークのコロンビア大學の社會人類學者である Ruth Benedict に對し、日本の文化分析を執筆するやう要請した。これは純粹に學術的な營爲ではなく、知られざる敵を理解し、死活的に重大な疑問に對する答をさがす企てであつた。つまり、日本國民は敗北を容易に受け容れるであらうか、それとも徹底抗戰するであらうか、日本はアメリカ合衆國の占領にどう對應するであらうか、といふ疑問に對する答を。
1946年に『菊と刀 - 日本文化の型』が刊行された。Benedict は日本の土を踏んだことはなかつたが、さまざまな手法を通して「日本人の特性」像を生みだした。つまり、政治、經濟、宗教、文化に關はる所信の歴史的研究、日系アメリカ人との面談、そして映畫や國策宣傳映畫の分析といつた手法を通して。その書物はほどなく日本學者代々の必讀書となり、著者の(從來より)一層深い洞察ゆゑに、特に日本についての幅廣い、文化面での(的確な)展望のゆゑに、今なほ稱讚されてゐる。
(※本文の解説や用例研究は2011年11月28日、12月2日付の拙稿を參照してください)